二桁ビハインドからクロスゲームに持ち込むも1点差の惜敗
12月11日、刈谷市体育館で「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25シーズン」のB1リーグ第11節が開催され、シーホース三河はファイティングイーグルス名古屋に83-84で惜敗。連勝は5でストップとなった。
この日は序盤のリズムが悪く、スコアラーのジェイク・レイマンが欠場となった影響も大きかったのか、三河は1Qを終えて20-32と先手を奪われてしまう。それでも2Qから追い上げを見せ、クロスゲームに持ち込めたのは今の三河の底力といえる。特に4Qは一進一退の攻防で、勝敗はどちらに転んでもおかしくはなかった。
試合後、ライアン・リッチマンHCは1Qの入り方を課題に挙げた。「今日のゲームに関しては、ディフェンスが自分たちのベストゲームではありませんでした。1Qが良くなく、12点のリードを与えた状態で開始となると、なかなか簡単なゲームにはなりません。2Q、3Q、4Qと取り戻してプレーできましたが、1Qのビハインドでタフなゲームになってしまいました」と振り返る。
西田優大も「今日は出だしが悪かった」と話す。
「ディフェンスをアイデンティティとしているチームなのに、1Qで32点も取られてしまった。追いつくのはとてもエネルギーが必要です。ビハインドから追いついて、そこからひとつ上に行けるのは僕たちの強みではあるんですけど、エネルギーを使ってしまった分、最後のタフな状況になったときに細かい部分を遂行し切れないところが出てくるのかなと。スタートである僕たちがしっかりとゲームを作れなかったのが反省点です」
連勝は止まってしまったが、悲観する内容ばかりではなかった。なぜなら、エース・西田優大の活躍が光ったからだ。
西田優大 積極的な姿勢で今シーズン最多のアテンプト数を記録
今節の収穫は、西田優大の復調した姿が見られたこと。開幕から「らしくない」プレーが続いていたことは、周囲も本人も感じていた。しかし、11月下旬に行われた日本代表のゲームでは、2試合連続で21得点を記録するなど、ここ最近は本来のキレが戻ってきた。
「シーズン当初は体が変わり始めたタイミングで、以前の僕の感覚とすり合わせきれない部分がありました。ここ最近、やっと体と感覚が合ってきて、コンディションも良いので、それがようやくプレーに現れてきたのかなと感じています」
FE名古屋戦ではクラッチタイムにボールを託され、最後まで果敢に攻めた。マッチアップするのは、同じくFE名古屋のエース、アーロン・ヘンリー。今節までで平均23.0得点を誇るリーグ屈指のスコアラーだ。そんな外国籍選手を相手に西田は臆することなく挑み続け、今シーズン最多のアテンプト数15を記録、15得点を上げたのはエースの意地だろう。
「今日はシュートタッチが良かったですし、アーロン選手はディフェンスに対してレイジー(気を抜く)なところもあるので、そこはチームとして突こうと話していました。だから、チームのためにプレーした感じです。リーグでトップレベルの選手ですし、そうした選手とマッチアップできるのは楽しいですね」
ゲーム終盤はまるで西田VSヘンリーのゲームで、双方のエースが得点を重ねていく。そんな中、残り33秒、ヘンリーが西田のコンテストを受けながら再逆転の3Pシュートを決めたシーンがあった。タフなシチュエーションで決め切ったヘンリーを褒めるしかないプレーだったが、西田は「防げる失点だった」と悔やむ。
「あの3Pシュートは、アーロン選手にボールを返させちゃいけなかった。まずはボールを持たせないプレーをすべきで、チームとしてもそうですし、僕も詰めが甘かった。チームファウルがたまっていたので難しい状況でしたが、もう少し自分たちのプレーを遂行できたら止められたと思います」
二桁のビハインドから追いつき、最後はクロスゲームの接戦だったが、こうしたわずかな差が勝敗の分かれ目となった。ただ、「チームとしてやっていることを大きく変える必要はない」と西田は胸を張る。
チームを勝たせることができなかったが、今日の西田の姿を見ると、さらなる期待を寄せてしまう。この積極性が継続できるのならば、もう「完全復活」と捉えていいだろう。シーズン前、リッチマンHCから「モンスターになれる」とポテンシャルを評価された西田優大。これまで以上に進化した姿がもうすぐ見られそうだ。