名古屋市中区の東別院は初詣を前に、全国で初めて「PayPay」によるお賽銭を導入しました。現金のお賽銭を続ける神社もありますが、「賽銭は気持ちが大事」と話しています。

■問い合わせ受けて…PayPay導入した名古屋の「東別院」

 名古屋市中区の東別院では、初詣シーズンを前にした12月13日、「PayPay」によるお賽銭を全国で初めて導入しました。

【動画で見る】ついにここまで…『PayPay』でお賽銭 背景にキャッシュレス需要の増加 “決済音”は寺に馴染むよう相談

真宗大谷派名古屋別院の真野一道さん:
「実際に『納める時にクレジットカードを使いたい』であったり『QRコードでできますか?』といったお問い合わせが、近年増えてきている実感があります」

キャッシュレス需要が年々増すなか、東別院は2022年に「auPAY」のお賽銭を導入していましたが、PayPayの導入にも踏み切りました。

40代:
「びっくりしちゃって。キャッシュレスで手軽にできるのはいいことかなと思う。『古き良き』と考えるのであれば(現金を)投じるとかいろいろあるんですけれども、多様化としては素晴らしいことだと思います」

70代:
「こういったのは持ってない。時代でしょうね。(小銭を)直接さい銭箱へ」

真野さん:
「自分自身のお財布であったり、自分自身の気持ちを1つ御懇志として形にする機会としてあるかと思います。ぜひQRコードであっても現金であっても、それは変わらないことだと思いますので」

利用には、PayPayアプリで本人確認が完了していることが必要で、QRコードは屋外の賽銭箱だけでなく、本堂など複数箇所に設置してあります。

決済音については、お寺の雰囲気になじむよう調整できないか、相談していくということです。

■“つながり”を大切に…電子マネー導入しない選択肢

 名古屋市・西区にある創建380年近くの「浅間(せんげん)神社」は、正月3が日には500人ほどの参拝客が訪れるといいます。

浅間神社では、防犯上の理由で毎日、賽銭箱の中身を回収しています。現金は防犯上、心配な面もあるためです。

浅間神社氏子総代会の若山憲男会長:
「盗難にあったり。能登半島地震の義援金箱を設置したんですけど、たまったところで盗まれちゃって。現金は心配は心配なんですけど」

PayPayなど電子マネーでの支払いについては、参拝客に古くからのお年寄りがいて電子マネーに慣れていない人が多いことや、氏子も顔を合わせて仕分けする“つながり”を大切にしている人も多く、現金のお賽銭を続ける方針です。

若山憲男会長:
「この神社は氏神様の小さな神社なので。皆さん現金で小銭をおさい銭として入れてみえるものですから、変わらなくていいんじゃないかなと。(電子マネーのお賽銭は)気持ちがあるかないかの問題で、PayPayだって気持ちがあればいいと思うんですよね」

デジタル時代、お正月のお賽銭も多様化を迎えています。

■「不適切」としていた京都仏教会も表現変える



 お賽銭をデジタル化すれば、硬貨を集めなくていいため、計算・集計が楽になります。また、小さな神社の場合は「賽銭泥棒」の被害を防ぐことにもなります。

しかし、「お金を賽銭箱に投げ入れ、チャリンという音を聞いてお願いごとをする」という、古くからの参拝の慣習が崩れることに違和感を感じる人も多いと思います。

実際、京都仏教会は2019年、「宗教活動に不適切」と言っていましたが、2024年6月には「信教の自由に配慮し慎重に考慮を」と表現を変えました。