『師弟コンビ』の今後は…河村たかし衆院議員が後継の広沢名古屋市長に“注文”「飲み込まれないように」
2024年11月の名古屋市長選から1カ月余りが経ち、当選した広沢一郎市長は、大村秀章知事との関係改善に動き出すなど「広沢カラー」を出し始めている。広沢市長を“後継者”として指名した河村氏からは不満の声も漏れる中、“師弟コンビ”は今後どうなるのか、両者の話を聞いた。
■「役人は増税するのが楽しみ」国会議員になっても変わらぬ『河村節』
2024年12月4日、東京の赤坂にある国会議員宿舎から現れたのは、前名古屋市長の河村たかし衆議院議員だ。
河村たかし衆院議員:
「グットモーニング。『(議員宿舎は)ベルサイユ宮殿みたいでいかん』と昔は言っとったんだが、あいちトリエンナーレがあってから大きいなこれ。色々脅迫とかね、ようけあるんですわ。関係する人は、民間アパートは絶対やめないかんと」
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かつては都心の宿舎を「議員特権」と批判していたが、いまや国政政党の共同代表だ。警備の関係などで、入居を求められたという。
宿舎は、まだ荷物が片付いていない状態ということだ。
事務所のある議員会館までは歩いて10分。事務所の本棚は、“ほぼ空っぽ”だ。
河村たかし衆院議員:
「(Qまだ部屋に何もないですね)自分の頭に入っとる。そっち(議員用の机)はほとんど座らんですわ。あんなもん恰好つけとるだけで、威張っとるとこみせたいんじゃないの」
事務所では、各省庁から政策についての説明を受けるが、相変わらずの『河村節』に官僚も苦笑いだ。
河村たかし衆院議員:
「5%減税、日本中で名古屋だけだわ。役人は増税するのが楽しみだもんで。上司の天下り先を作らな出世でき―せんもんで」
昼ご飯は、事務所で食べることが多いという。夜の“付き合い”のためにも、食べる量は少なめにしている。
河村たかし衆院議員:
「夜飲まないかんもんで、昼間からようけ食っとるといかん。総理にならないかんで、協力してちょーと。一杯飲もうかと」
食事中にも、地元の愛知県保険医協会から保険証についての陳情が…。
愛知県保険医協会の担当者:
「愛知県保険医協会から参りました。紙の保険証を残してほしい。現行の保険証を残してほしいということで」
河村たかし衆院議員:
「もっとガンガンにやってちょー。ああいうもの(マイナンバーカード)は共産主義だって」
国会でも、「河村節」が炸裂する。12月17日の政治改革特別委員会では、初めて質問に立った。
河村たかし衆院議員:
「総理を狙う76歳、アゲイン、河村たかしでございます」
政治資金の電子決済について、自民党の小泉進次郎議員らを追及した。
河村たかし衆院議員:
「それだけ公開公開言うならね、なんで電子決済しないんですか。あんたたち、『おれたちは上級国民だ』と思っとるんじゃないの、これ」
小泉進次郎衆院議員:
「大変刺激的な発言が多くありましたけども…。ともに政治改革を前進させることが大事なことだと思っております」
15年ぶりの国会でも存在感をアピールする河村議員だが、名古屋市政について飛び出したのは“意外な言葉”だった。
河村たかし衆院議員:
「本人にも聞いてらってもいいけど、注意しとるんですわ。“広沢流”というやつだから、それはそれでやってきゃいいけど、飲み込まれないようにせないかんわな」
自身の後継者、名古屋市の広沢一郎市長に注文があるというのだ。
■河村前市長の方針から方向転換? “愛弟子”の広沢市長に苦言
2024年11月の名古屋市長選では、河村路線の継承を訴えて二人三脚の選挙戦を制した広沢一郎さんだが、就任後はさっそく「広沢カラー」を打ち出し始める。
就任翌日の11月26日には、大村秀章愛知県知事とおよそ30分会談し、冷え切っていた県と市のトップ同士の関係改善に動き出した。
名古屋市だけが参加を見送り、大村知事と河村前市長の不仲の象徴だった「県民の日学校ホリデー」については、参加の可能性に踏み込んだ。
広沢一郎名古屋市長(12月5日):
「県と市の連携は欠かせないものであると考えておりますので、県との共同事業においてしっかりと歩調を合わせる」
12月5日には、国際会議を共同で誘致すると並んで記者会見し、カメラの前でがっちりと握手して見せた。
さらに、河村前市長肝いりの『名古屋城の木造復元』をめぐっても、自民党市議の質問に答える形で、「エレベーターは2階まで」という河村前市長の頑なな主張を方針転換するととれる発言をした。
自民党 成田隆行市議(12月5日):
「広沢市長も『エレベーターを付けない』というこだわりがあるのでしょうか?」
広沢一郎名古屋市長(12月5日):
「小型昇降機をできる限り上層階まで設置することについてチャレンジし、史実性とバリアフリーを両立させたいと考えております」
この答弁には、河村さんも不満を隠さない。
河村たかし衆院議員:
「誤解を受けますわね。一番上までエレベーターか昇降機をつけると誤解されると、みんながっかりしちゃうから、それはいけないと。名古屋の宝は、福祉とは別なんです。言い切らないといかんです。ようやっとらっせると思いますけど、ぜひ市民の顔を忘れずに、議場で議員の顔を見とると立派に見えるけど、その裏にある名古屋市民の顔を常に思って。『死んでもええ』と言っとったがね、自分で。そういう気でやらなあかん」
■“師匠の苦言”に対し…広沢市長「その都度1番ベストな選択する」
広沢市長は毎朝、お気に入りのコーヒーを淹れるのが変わらないルーティーンだ。市長就任1カ月、大きな気負いはないように見える。
広沢一郎名古屋市長:
「朝は急いで食べるので、基本的に寡黙に食べるんですよ」
妻の真理さん:
「たぶん、スケジュールとかを頭の中で考えていのかなと思って」
大村知事や市議会とも融和ムードだが、河村前市長が使ってた軽乗用車の公用車はしっかりと継承している。
広沢一郎名古屋市長:
「河村さんの時からの引継ぎです。いいですよ。背が高くて乗り込みやすいですし」
河村前市長の“苦言”についてどう考えているのか。
広沢一郎名古屋市長:
「継承というのは、いわゆる理念であるとか主な政策は継承するけど、『後は思うようにやりなさい』という、(河村前市長は)そういうタイプです。日々新たな課題も生まれますし、状況がどんどん変わってきますので、その都度その都度で1番ベストな選択をするのが私の役目ですので。特段そこには『河村さんだったらどう考えるか』とかそういう観点は全くなく、私なりの考えで決めていきたいと思っています」
■乾杯の場で交わした「これからの2人」
12月7日、広沢市長と河村前市長は、YouTubeの生配信で市長選を振り返った。手元には、河村さんが愛してやまないハイボールだ。
広沢一郎名古屋市長:
「SNSで相当盛り上げていただけたいうのは、ほんとに勝因の一つだと思いますので。まだまだこれからやらなきゃいけないことがいっぱいありますので、是非ご期待を頂きたいと思います」
話題は自然と、2人の“これからの関係”のことになった。
河村たかし衆院議員:
「いろいろ継続性もあるし、それはそれで国でも盛り上げないかんし、それは相談しながらやらないかん部分もあります」
広沢一郎名古屋市長:
「アドバイスはいただくかもしれないですけど、『ああせい』『こうせい』というこれはやっぱり、いただけないので。これはどなたからでも。この辺はちゃんと線引きをしたい。私も基本的には物腰柔らかにいくんだけれども、ここは譲れないなってとこは譲れないので、そこに行き当たるまでは基本的にはマイルドにいきます」
河村たかし衆院議員:
「悪いやつがおるでよ、気付けてちょーよ」
2024年12月25日放送