飲食店では、看板メニューと一番人気が全く異なる「なのにグルメ」の店があります。愛知県尾張旭市の「いなや」は、うどん店なのに一番人気は、「みそ味の中華そば」です。

■1日1000人以上来店する日も…尾張旭市の「いなや」

 愛知県尾張旭市の「いなや」は創業60年で、「ジャンボきしめん」という看板が特徴的な麺処です。

【動画で見る】うどん店なのに「中華そば」が…店のジャンルと全く異なるメニューが人気の“なのにグルメ”愛知県尾張旭市の「いなや」 東海ナルホド調査団

ランチタイムには、50席ある店内はほぼ満席になり、多い日には1000人が訪れる超人気店です。

長年にわたって地元の人たちから愛されてきた「いなや」は、麺類のみのメニューで、約30種類あります。

定番のうどんは、カツオにムロアジ、サバのダシがきいたつゆに、麺は自家製でコシがあり、つるっとしたのどごしを楽しむことができます。

看板にもなっている「ジャンボきしめん」。

通常の倍以上の厚みがある、自家製の極太麺が特徴で、もっちりとした食感で、食べ応えのある一杯です。

■「看板」は看板メニューじゃない…1番人気は「みそちゅう」

 しかし「看板」のジャンボきしめんは、一番人気のメニューではありません。客の注文を聞いていると「みそちゅう」という声が、ほとんどです。

「みそちゅう」とは「みそ味の中華そば」のことで、ダシがきいた味噌スープに、もっちりした自家製中華麺と、もやし、ネギ、ハムがついて540円です。

「いなや」は、うどんときしめんが看板メニューですが、一番人気は多い日には500食出るという「みそ中華そば」です。

男性客:
「味噌ラーメンとは違いますね。コクのある、その中でもさっぱりしているのがみそ中華」

作り方を見せてもらうと、つゆのベースとなるダシは毎朝とっていて、うどんやきしめんと同じ、カツオベースで仕立て、3種類の赤みそを独自にブレンドして溶かして入れます。

みそ煮込みうどんのようですが、隠し味で「鶏の脂」を使うことで、味にコクと深みが出るということです。

麺は自家製で、スープがよく絡むようにと、細目に仕上げられています。この地方ならではの、赤みそで作る中華そば「みそちゅう」。

常連客は、手作りのかき揚げ天ぷらをトッピングする「みそ中 天ぷら」がオススメだといいます。

■うどん店で「みそ味の中華そば」を考案した納得の理由

 うどん店で中華そば、しかもみそ味のメニューを始めたきっかけを聞きました。

いなや3代目の原専さん:
「もともと『みそうどん』とか『みそきしめん』、それとしょうゆの中華そばというのがあったんですけど、そこで赤みそと中華麺を合わせるのが珍しいかなと思って、作ってみたら人気が出ました」

もともとメニューにあった中華そばは、冬になると注文する人が少なくなっていたことから、寒い時期に人気のみそきしめんからヒントを得て、赤みそと合わせてみたところこれが大ヒットしたということです。

女性客:
「昔からこの辺りは赤みその文化じゃないですか、だからなじみがあるというか」

男性客:
「名古屋でもここしか(みそ中華は)聞いたことがない」

みそと中華そばの相性がよいうえ、珍しいと一番人気のメニューになりました。

「ジャンボきしめん」と書かれた大きな店の看板については、そのまま続けていくということです。

いなや3代目の原専さん:
「変える気はないですね。(みそ中華は)口コミで広がっているので変える必要はないかな。これからも幅広いお客さんに愛される商品であり続けたい」

2024年12月5日放送