
日本を訪れる外国人観光客は2024年、過去最高を記録し、インバウンド需要が急激に回復しています。人気の中心は東京都や大阪府、京都府などですが、東海地方を訪れる外国人もいます。この地方で外国人観光客はどこを訪れているのでしょうか。
■アメリカから来た夫婦が最も感動したものは
2025年1月、日本に来た外国人観光客はおよそ350万人で、2024年に比べて27%アップ。東海地方の訪問者数も、ここ5年でV字回復し、新型コロナ前の水準に戻りつつあり、岐阜県の飛騨高山や白川郷といった人気観光地には、多くの外国人観光客が訪れています。
しかし、訪れるのはメジャーな観光スポットだけではありません。東海地方の空の玄関口「セントレア」で外国人観光客に行き先を聞きました。
名古屋大学に通う息子に会いに、アメリカから初めて日本を訪れたという夫婦は名古屋についての印象を「美しく清潔で、友好的、食べ物もとてもおいしい」と高い評価です。
【動画で見る】「あえて名古屋に」と訪れる…中部空港を使う外国人観光客はドコへ?“カプセルホテル”にハマったアメリカから来た女性も

訪れたのは、名古屋市熱田区の「熱田神宮」でした。

アメリカから来た夫婦:
「大きな神社でとても美しかったです。どこに行こうか調べたら、名古屋で訪れるべき施設の1つに挙げられていました。アメリカでは教会などの宗教施設がビルの中にあることが多いのですが、ここは外にあり、自然や太陽や空を感じることができます」
しかし一番感動したのは、熱田神宮の近くの屋台で買ったという「たい焼き」です。

アメリカから来た夫婦:
「たい焼きはアメリカで有名です。おいしかった。スバラシイ」
たい焼きはいま、ニューヨークで若者たちを中心に流行っていて、本場の日本で食べられたのが嬉しかったと話していました。
■空港に着いてすぐに韓国から来た男の子が飛び込んだ場所は
韓国から来た家族がいました、目的地は意外な場所です。

韓国から来た一家の女性:
「子供はかなり日本のコンビニに興味を持っているので」
バッグの中から取り出して見せてくれたのが「日本のコンビニマスター」という1冊の本です。

韓国から来た一家の女性:
「日本のコンビニマスターという本で、どこのコンビニで売っているのか、種類も全部載せています。言葉も(韓国語の言い方も)」
韓国にもコンビニはありますが、季節の新商品や限定メニューなど、日本ならではの魅力があるといいます。
韓国から来た一家の子供:
「韓国のコンビニと違い、特別な品ぞろえがある」
韓国から来た一家の子供:
「(子供は)焼きそばパンとかにも興味を持っている、カレーパンとかプリン」
この後、さっそく空港内にある「ファミリーマート」へ。

本に載っていた「ジャージプリン」を買って、家族でおいしく食べたということです。
■「アメリカに持ってきて」カプセルホテルに感動した女性
フィリピンから来た男性の目的地は、人気の観光スポット岐阜県白川村の「白川郷」です。南国では珍しい「雪」を見ることを楽しみにしていました。

しかし、この翌日に白川郷への道が通行止めになる可能性が出てきたため、行き先を変更しましたが、「雪」がどうしてもみたいと、急遽選んだのは、岐阜県中津川市の馬籠宿(まごめじゅく)でした。

そして愛知県犬山市の犬山城も訪問し、雪景色を満喫したようです。

これから帰国するアメリカ人の女性がいました。名古屋市東区の「文化のみち二葉館」と「橦木館(しゅもくかん)」。を訪れたといいます。

どちらも和洋折衷のデザインが外国人には好評のようです。

帰国するアメリカ人女性:
「西洋と日本の伝統的な家が合体していて 構造が素晴らしかった。驚くべき体験ができました」
この女性は、名古屋の歴史建造物に魅了されていましたが、もう1つ気に入ったものが「カプセルホテル」です。

帰国するアメリカ人女性:
「すべて(気に入りました)。価格は安く、バスルームも良く、とてもきれいで、ベッドも快適でした。機能性抜群で完璧、カプセルホテルをアメリカに持ってきてほしいです」
1979年に日本で生まれたとされる「カプセルホテル」の機能性に日本らしさを感じたといいます。
■ビンテージ扱う「コメ兵」は世界各国の観光客が賞賛
空港を離れ、訪れたのは外国人にという「コメ兵」です。中区の店舗には、大勢の外国人観光客がいました。

オーストラリアから来た人:
「不用なものを誰かにあげるのはいいことで、オーストラリアでもポピュラーなことです」
韓国から来た人:
「ビンテージショップで服を買うのは、10代・20代で流行っています」
海外でも中古はポピュラーのようですが、特に日本の中古品は質が良くて人気なんだといいます。
ブラジルから来たという男性は、交際相手にプレゼントするバッグを探していました。“中古”という点は、気にならないのでしょうか。

ブラジルから来た男性:
「値段も状態もいいので気にならないです。ブラジルには大きな店があり、ブラジルでは中古はポピュラーです」
探すこと10分、お目当てのモノのは見つかったのでしょうか。
ブラジルから来た男性:
「わからない、彼女にメッセージを送ったけど寝ていて返事がありません」

彼らがあえて名古屋へ中古品を買いに来るのには、きっかけがありました。
韓国から来た人:
「グーグルやYouTubeで(見ました)。大須は(中古が)有名」
オーストラリアから来た人も、コメ兵はもともと知っていて、オーストラリアでも「まあまあ有名」だといいます。
1947年に創業し、日本の中古品買い取りの先駆者的な存在とされる名古屋発の「コメ兵」は、海外にもその名が轟いているようです。
コメ兵の担当者:
「先月(2025年1月)ですと、7割ぐらいが外国人観光客の売上になっています。増えていると感じています。日本の中古品はとてもきれいというのと、信頼されてご購入されるというお客様がとても多いです」
“お値打ち文化”が根付いた名古屋の代表格ともいえる中古品の販売店は、いまや観光資源の1つになっているようです。
■名古屋のことは知らないがオーストラリアからの一家が「あえて来た」目的地
そして「あえて名古屋に」と観光客が訪れるスポットは他にもあります。オーストラリアから来た家族は、子供たちの希望で名古屋市港区のレゴランドへ。

海外にもレゴランドはありますが、国内の都市や観光名所が再現された「ミニランド」など、独自の展示も海外の人たちには魅力的に映っています。

別のオーストラリアから来た家族は「アニメショップ」に訪れたといいます。ドラゴンボールの作者、鳥山明さんの出身地ということもあって愛知にやってきて、アニメショップで、たくさんフィギュアを買ったということです。

ただ、1つ心残りがあるといいます。
オーストラリアから来た家族:
「時間がなくて、鳥山明のバードスタジオに行けなかった」
「次来た時に行く」
■お茶にカプセルトイやメイド喫茶…大須は外国人からも大人気
今回の取材で、最も人気だった名古屋のスポットは、中区の「大須商店街」です。ギリシャとオランダから来た女性2人組についていくとほうじ茶の香りに誘われ、老舗のお茶店へ。無料サービスのほうじ茶を味わいました。

ギリシャから来た女性:
「おいしい、ほうじ茶は好きです、ローストの香りが」
オランダから来た女性:
「初めて飲みました、ゴージャスで苦みが少ないです」
試飲のサービスは海外で珍しいといい、2人はほうじ茶パックを購入していました。

土産店では、フィリピンから来たカップルが、家族にお土産を選んでいました。
2人がたくさん手に取っていたのは、ご当地マグネットです。

フィリピンから来た男性:
「フィリピンではお土産にマグネットを買うことが一般的です。小さくてかばんに入り、親族に直接渡すこともできます。もらった人は冷蔵庫に貼って使います」
大須おみやげカンパニーの担当者:
「東南アジアの方は特にマグネット好きですね。世界的にいろいろな観光地でそれぞれのマグネットを集める人が多いと思います」
手ごろな値段であることも、マグネットが人気な理由のようです。
大須ではほかにも、それぞれの楽しみ方をしている外国人がいました。韓国から来た女性は、ガチャに夢中でした。この日、大須の街で20個以上のカプセルトイを買ったといいます。

韓国から来た女性:
「ほしいものが出なくてたくさん買っています」
このとき狙っていたのは漫画「DEATH NOTE(デスノート)」のキャラクターのキーホルダーでしたが、10回やっても出ず、両替して11回目のチャレンジでとうとう当てました。
韓国から来た女性:
「ラッキー!めちゃラッキー」

わざわざ旅先でカプセルトイに夢中になった理由は。
韓国から来た女性:
「韓国にないものがここにあったから」
ガチャガチャも立派な日本文化になっています。
そして韓国からの男性3人組が訪れたのはメイドカフェの「maidreamin(メイドリーミン)」です。

maidreaminの店員:
「ご主人様ご入国です、ようこそ」

3人とも緊張した表情です。

maidreaminの店員:
「失礼します、アイスカフェモカ。一緒においしくなるおまじないをお願いしたいと思います。私が『せーのっ』て言ったら『おいしくなーれ、萌え萌えきゅん』ってお願いしたいです。ぜひかわいくお願いします、『せーのっ、おいしくなーれ、萌え萌えきゅん』。とってもかわいいです、ありがとうございます」

Q.やってみてどうでしたか
韓国から来た男性:
「すごくいいですね、本当においしくなった気がします」
Q恥ずかしくなかったですか
一緒に来た男性:
「楽しかったです」
歴史スポットはもちろん、お値打ち文化やディープな大須のカルチャーが外国人に人気の名古屋ですが、他にも名古屋が選ばれる理由がありました。
フィリピンから来た人:
「東京と大阪は混んでいます、人が多すぎる」
ベルギーから来た人:
「東京、大阪、沖縄にも行きやすい、とても便利」

韓国から来た人:
「よく調べたら手羽先とかも有名だし、味噌とんかつも有名だし、そういった小さいところでもまだまだ知られていないことがあると感じました」
東京や大阪、京都ほど混雑してなく、西にも東にもアクセスがいいなど、独特の魅力が外国人を引き付けているようです。
2025年2月6日放送