
人生の一大イベントが突然中止に。カップルからは戸惑いと怒りの声が上がっています。愛知県常滑市の結婚式場『ビアンカーラ・マリーナテラス』を運営する会社が、予約済みのカップルに突如「式の中止」を通告し、破産の手続きに入っていることがわかりました。
「建物に欠陥が見つかった」と連絡してから音信不通になっていた、結婚式場運営会社の社長を直撃しました。
■突然結婚式場から届いた一方的に「中止決定」告げるFAX
怒りの声を上げるのは、2025年5月に結婚式を挙げる予定だった愛知県内の新婚カップル、佐藤夫妻(仮名)です。
【動画で見る】直撃取材に社長は…結婚式場の運営会社が予約客へ『中止』と通告し音信不通に 憤るカップル「なぜ嘘ついた」

佐藤さん(仮名):
「いや、なんで?って感じでしたね。僕らとしては、納得するわけにはいかないですよね」
ウエディングドレスも選び、式を待つばかりだった2人に、2月に届いたのが予約していた常滑市の式場からのFAXです。

<結婚式場からのFAX>
「予定しておりました結婚式につきまして、中止することを決定いたしました」
式の中止を一方的に通告する内容のFAXです。
佐藤さんの妻(仮名):
「海がバックの所がいいとなって、チャペル前面が後ろが海、それも気に入ってもうここだねって」
佐藤さん(仮名):
「デートする時も昔から海を見たり、将来ももはや常滑に住みたいよねっていう話をしているぐらい、すごい好きだったんで」

1月には2人で見学し、気に入った海の見える式場でしたが、建物の配管が破損し大規模な工事が必要になったため、結婚式は挙げられないという説明でした。

佐藤さんの妻(仮名):
「自分の家族とかみんなに協力してもらって電話をかけたんですけど、つながらないので。仕事が手につかなかったりとかもするんですけど」
■運営会社と連絡はとれず式場にも人の気配なし
その後、運営会社とは連絡がつかなくなり、ホームページも削除されてしまいました。一体何があったのか、その結婚式場に向かいました。

式場の入り口にはチェーンがかかっていて、中に入ることはできません。中は電気がついておらず真っ暗の状態で、営業時間内のはずですが、人気は全くないように見えました。
佐藤さん夫婦(仮名)が予約していたのは、セントレアの対岸、常滑市りんくう町にある「ビアンカーラ・マリーナテラス」です。
運営会社の住所もこの式場と同じですが、建物は真っ暗で人気はなく、必要なはずの大規模な工事をしている様子もありません。
■社長の自宅を訪れ謝罪や説明の意思について尋ねるも…
本当に配管の破損があるのか、運営会社の社長の自宅を訪ねました。

社長:
「すみません、全て弁護士の先生にお任せしておりますので、そちらへお願いいたします」
Q.社長から直接謝罪をする意向はありませんか
社長:
「弁護士に聞いていただいていいですか」
社長は「弁護士に聞いてほしい」と繰り返します。
Q.式場を突然キャンセルされてしまった方が直接理由を聞きたいということですが、社長から説明はありませんか
社長:
「…」
担当の弁護士に電話すると、会社は破産の手続き中だと明かし、突然カップルに伝えられた、建物の欠陥や工事の必要性はウソだった可能性があります。
■苦境続くウェディング業界
“ナシ婚”や“ジミ婚”などと言われる結婚式離れに苦しむ会社が多いとされるウェディング業界。帝国データバンクによると2023年度、式場運営業者の35.6%が赤字経営でした。
2025年2月は、福岡県などで5つの式場を運営する会社も破産申請の準備に入り、多くのカップルに影響が出ています。

登記簿などによると、常滑市の「マリーナテラス」の運営会社は、4年前に式場の前の運営会社から運営権を譲り受けて営業を始めたとみられますが、コロナ禍からの回復のあてが外れたのでしょうか。
■夫「マイナスの意味で忘れない」
佐藤さん(仮名):
「なんで嘘をついた?というのはありますね」
佐藤さんの妻(仮名):
「率直にしっかり謝罪があったりとか、ちゃんとしたケアをしてくださっていれば、まだこんなに執着していないんだろうなと思うんですけど」

サーフィンや釣りで互いの仲を深めた常滑の海での挙式が叶わなくなった佐藤夫妻。プランナーに支払っていた代金は、別の会場での式に充てることができましたが、急な手配だったこともあり、トータルの費用はおよそ3倍に膨れ上がったといいます。
佐藤さん(仮名):
「僕たちの心には、何かしらのしこりが残ります。これから生きていく上では、マイナスな意味で忘れないと思いますね」
問題の式場を予約していたカップルの数や、それぞれへの返金の有無などはわかっていませんが、会社の弁護士は今後、個別に謝罪する意向があるとしています。