岐阜県関市が2000万円の補助金を出した「ご当地映画」で、兵庫県の淡路島で2025年3月28日、上映を開始しましたが、観客からは厳しい感想が聞かれました。映画を巡っては、市が全額返還を求める動きとなっていて、制作会社側は「近日中に記者会見を開く」としています。


■客の出入りは10人ほど…トラブルの中で上映始まる

 関市からおよそ300キロ離れた、兵庫県の淡路島にある映画館「洲本オリオン」で28日、映画『名もなき池』が公開されました。映画のタイトルは、関市にある観光スポット「モネの池」にちなんでいます。

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公開初日ですが、客の出入りは10人ほどとまばらでした。

岐阜市から来た客:
「岐阜県民なら誰もが知っている美しい池でどのような映画ができるのか、純粋に見てみたかった」

客:
「報道を見ていたら、市役所との連携ができていないなと思いました」

この映画を巡っては、関市が2023年、観光PRを目的に「ご当地映画」の制作を募りました。兵庫県内の企画会社「イロハ・スタンダード」の提案を採用し、合わせて2000万円の補助金を交付しています。

しかし「3月末までに複数の映画館で4週間以上上映する」という条件の達成が見込めないとして、市は3月27日、イロハ・スタンダードに対し、補助金2000万円全額の返還を求める通知を出していました。

■映画の感想は…「口と音声がずれている」「BGMがおかしい」の声

 淡路島での上映は、急きょ決まったといいます。

どういう映画なのか、事前情報がほとんど出ていないため、実際に記者が映画を見てみました。映画では、刀鍛冶職人の父親と、将来に不安を抱える娘が心を通わせる物語となっていました。

映画を見た客:
「BGMが明らかにおかしいなというところがあって、会話を遮っているシーンもあったりとか」

映画を見た別の客:
「口と音声がずれているところがあった。PR活動にはそこまでなっていなかったなというのが率直な感想ですね」

一連の騒動に、岐阜県関市の人たちは…。

70代の関市民:
「何でもっと相手(映画制作会社)を調べなかったのかなと思って。こっちで先に上映するのが筋じゃないですか」

30代の関市民:
「関市民なのにそんな話は全く知らない。映画は楽しむものなので、悲しい思いはしたくないなと思います」

映画制作事務局は27日、X(旧Twitter)で「様々なところで報道されている事実には誤りや、一部出演者による見解に過ぎないものが多く含まれております。現在、弁護士に委任し、事実関係の調査と今後の対応を協議しております」と投稿しています。

今回のご当地映画は、観光のPRが目的だったはずが、違う形で注目を集めてしまいました。今後、制作会社側は「近日中に記者会見を開き、事実関係と今後の対応を明らかにしたい」としています。