
4月11日は「世界パーキンソン病デー」です。震えが続くというこの病気に、メスも使わない画期的ともいえる治療が、岐阜県美濃加茂市の中部国際医療センターに導入されました。
■60代パーキンソン病患者も効果を実感
美濃加茂市の中部国際医療センターに、2025年3月の治療を経て、この日、診察に訪れた60代の田中さん(仮名)は、脳の異常から手足の震えや筋肉がこわばり、体を動かしにくくなるなどの症状が特徴のパーキンソン病の患者です。
【動画で見る】症状収まり驚く患者も…手足震える“パーキンソン病”をメス使わず改善 画期的な『集束超音波治療』とは

発症は50代を超える中高年に多く、薬での治療が一般的ですが、それでも不十分な場合は脳に電極を埋め込み、電気的な刺激を与える手術などで改善を図ります。
田中さん(仮名 60代):
「自分の意思で止められるから。とにかくうまくいってよかったなと思って」
■中部国際医療センターが導入した画期的な「集束超音波治療」
この医療センターでは、”画期的”ともいえる震えの治療が、岐阜県で初めて導入されました。
2025年2月、70代の男性が治療の前後で図や字を書く様子を撮影した映像では、治療前は震えでガタガタしていたペン先が、治療後は文字もしっかりと書くことができるようになり、円や線も安定していました。

この医療センターで行われているのは、日本にわずか20台しかない装置で行われる「集束超音波治療」です。

どんな治療なのか、この日、右手や足に震えの症状を抱える70代の男性の治療を見せてもらいました。
男性はあお向けの状態で頭を装置に固定し、そのままMRIの中へ。医師らが脳の画像を見ながら念入りに位置を確認すると…。

中部国際医療センターの中坪大輔医師:
「今から1回目の照射をしていきます」
震えの原因となる部位に超音波が集められ、段階的に温度を上げて熱で固めていきます。様子を見ながら照射すること10回。
医師の指示に従い、手を伸ばしたりするなどして確認すると、治療前と比べても変化は一目瞭然。右手と足の震えは収まり、男性も驚いた様子で手の感覚を確かめました。

70代男性:
「大したもんですね。ありがたいです」
■脳にメスを入れる必要がないなど…「集束超音波治療」のメリット
この治療では脳にメスを入れることがないうえ、患者と対話して副作用を確認しながら進めることが出来る点も、メリットだと医師は話します。

中部国際医療センターの中坪大輔医師:
「手術の場合は心理的なハードルが高いので、今まで諦めていたような方にとっても、治療の選択肢として提示できるのが期待」