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岐阜の訓練所にいる1頭の犬。雑種のオスで名前は“じゃがいも”。福島第一原発の事故から3か月後、福島県飯舘村で生まれた。飼い主の避難生活の末、岐阜に引き取られることになった。“じゃがいも”の新しい飼い主は、山口常夫さん66歳。山口さんは犬の訓練所を運営し、“じゃがいも”のほかにも、飼育環境がままならない被災地の飼い主から45頭を預かった。東日本大震災から6年。この間にも、巨大地震は列島を襲い、熊本からも犬を預かるなど地道な活動を展開してきた山口さんだが、“じゃがいも”と被災地への思いは、変わらず持ち続けていた。
「故郷、被災地の犬たちの代表として、復興のシンボルになってほしい」
“じゃがいも”を災害救助犬にすることを目指して試験に挑み続けてきた。しかし、なかなか合格しない。時には、九州の試験会場まで足を運んだが、受験回数だけが増えていった。
今年3月31日、飯舘村の避難が解除された。それでも、なかなか戻れない住民たち。ふるさとは復興できるのか…。この6年、新しい里親に引き取られ、新たな生活を始めた犬もいるし、今も飼い主と離ればなれの犬たちもいる。そして、ふるさとから遠く、老いてあの世に召された犬もいた。岐阜にいる犬たちが、復興いまだ半ばと訴えているのかも知れない。故郷の避難解除から2か月後の今年6月、“じゃがいも”は、11回目の試験にチャレンジした。もう、試験を取材に来るテレビ局もいない。しかし、“じゃがいも”は、ようやく合格を手にした。努力は、犬を裏切らない。故郷の飯舘村は今年8月14日、“じゃがいも”に“飯舘村わんダフルまでい大使”(※)という称号を贈った。
※「までい」とは飯舘村の方言で、「ていねい」などの意味
じゃがいも大使☆~災害救助犬への奮闘記~
更新日 : 2017/08/25 17:33