3日(土)23:40~
「柳瀬光三に会ってください。――あなたのご両親とおじいさんを殺した男です」その女性の言葉に、若手弁護士・浅利祐介は凍りついた。
東京・下町にある法律事務所。祐介は、所長の澤田陽一郎の下、忙しく働く毎日を送っていた。ある日、事務所に河村礼菜(谷村美月)という女性が祐介を訪ねて来る。彼女はなぜか祐介の素性を知っていた。
実は、祐介の両親と祖父は30年前、柳瀬光三という男に殺害され、赤ん坊だった祐介は、母親の姉夫婦に養子として育てられてきたのだった。裁判では、柳瀬は無実を訴えたが、3度もの再審請求を棄却され、現在死刑囚として服役中の身となっていた。
祐介に対し礼菜は、驚くべき依頼をする。「あなたでなければできない仕事だから」
柳瀬は、末期がんで余命わずかな礼菜の母・河村あかね(横山めぐみ)の最初の夫だったという。柳瀬との間には、事件を境に行方不明になっている光男という子どもがいて、礼菜は母のために光男の行方を捜したいと願っていた。事件の生き残りである祐介なら柳瀬から真実を聞き出すことが出来るはず――それが礼菜の考えだった。
死刑囚への面会は、再審を担当する弁護人に限られる。礼菜が言っているのは、被害者遺族である祐介に柳瀬の再審弁護人になってほしいということと同じであった。
「冗談じゃない!」祐介は礼菜を追い返してしまう。
長年にわたり親の仇と信じていた男の弁護など出来るものか…一度はそう思った祐介だったが、そんな彼に江戸っ子気質のベテラン弁護士・澤田は声をかける。「だがな祐介、弁護士である以上、感情に流されて可能性をつぶすことは断じて許されねえぞ。それが親を殺した相手であってもだ」。その言葉に我に返った祐介は、弁護士としての本分を思い出し、事件に向き合う決意をする。
祐介は、改めて礼菜に事件の話を聞く。初めて耳にする事件の犯人・柳瀬の背景。祐介の育ての母・由美子(いしのようこ)は、殺害された実母の姉だ。事件を追うことは、本当の息子のように育ててくれた今の両親を苦しめることになりはしないか…その心は乱れるのだった。
ある日の東京中央拘置所。そこに祐介の姿があった。
柳瀬の独房に、刑務官の声が響き渡る。
「柳瀬、面会だ」。
家族の旅路
更新日 : 2018/01/31 17:43