この年賀状には改善点が5か所も…『コロナ禍の年賀状』 プロに聞いた気をつけたい言葉や写真の使い方
12月21日更新
愛知県の介護士で40代のテッシーさんから「年賀状」に関する質問をいただきました。
「『年賀状はこのコロナ禍で出しても失礼になりませんか。例年通りに出したいと思う反面『相手側にご迷惑をかけるのでは』とも思ってしまいます。コロナ禍では年賀状も自粛したほうが良いのでしょうか』という内容です。
「コロナ禍の年賀状」はどうしたらいいのか気をつけたいポイントを「日本語のプロ」に聞きました。
取材班が実施したLINEアンケートでは「出す」と答えた人がおよそ7割。コロナ禍を考慮して、出さないという人はわずか32人という結果になりました。
「コロナ禍の年賀状」はどんな点に気をつければよいのか?新聞の“最後の砦”とも言われる「校閲部」に所属する中日新聞の記者・藤原大希さんに伺いました。
記者が書いた原稿に誤字脱字や固有名詞の間違いがないか紙面に載るすべての文字を厳しくチェックする「日本語のプロ」です。
藤原さんに今回チェックしてもらったのがこちらの年賀状。
【年賀状の内容】
旧年中はコロナ禍で会えず残念でした
今年は病が収束しお会いできることを楽しみにしています
3密に気を付けお元気でお過ごしください
藤原さんは、コロナ禍の『禍=わざわい』や『病=』という字はマイナスのイメージがあり、年賀状は新春のあいさつでもあるため、「こうした漢字を文面にいれるのは避けた方がよさそうです」と話します。
では、どんな字だったらいいのかについては、コロナ禍は『禍』ではなく、「コロナの影響下にあるという意味で『下』という字を使って『コロナ下』にしてはどうか」と指摘。
また『収める』に『束ねる』と書く収束は事態が『一時的に落ち着く』という意味になるため、一時的ではなく、完全になくってほしいという意味を込めて「『終わる』に『息』と書く『終息』は文字通りある出来事が終わるという意味」として、「新型コロナウイルスが完全になくなってほしいということをより強くあらわした言葉ではないでしょうか」と提案します。
さらに写真も「移動が制限されて思うように親族で集まったりするのは難しそうななか、家族同士で賑やかに集まっている写真を載せると、人によっては不愉快に思われるかもしれません」として少人数の写真を勧めます。
そして、「賀正」という言葉は、「正月をよろこぶという意味でお祝いの意味が強い言葉です。もともと目上の人に使うのもよくないので、コロナで傷ついた人が多い今年も使うのは控えた方がよさそうです」と指摘。
その代わりに「謹んで新春のご挨拶を申し上げます」を使うことを勧めます。理由は、「謹」が「言葉が細かい」を意味し、字に慎み深さがあるといいます。
もし、「もう作ってしまった」という人は、「お体に気を付けて」など相手の体を気遣う文章を付け加えるのを勧めています。