INTRO

「泣きたい時は泣けばいい。      
     涙の粒だけ幸せの花が咲くんだから」

行き場を無くした子どもたちにこう語りかけ、無償で親子丼をふる舞い続けた古本屋の店主・九十九さくら(真矢ミキ)。土曜の夜、テレビを見ながら涙を流し、見終わってなぜか、ほっこりした人も多いと思います。

そんなさくらさんが1年ぶりに「オトナの土ドラ」に帰ってきます。今回、さくらさんを待ち受けていたのは、オトナに固く心を閉ざした子どもたちでした。

2017年度、全国の児童相談所が対応した虐待件数は13万3778件と、厚生労働省が統計をとり始めて以来、最悪となりました。暴言や無視などの心理的虐待から、暴力などの身体的虐待、育児放棄、そして実の父からの性的虐待まで。親から虐待を受けた傷はあまりに深く、結果、非行や売春に走る子どももいます。私たちは、この深刻な現実から目を背けてはいけません。

絶望の淵に落とされた子ども達に手をさしのべる、それがさくらさんです。「親と子が一緒になって“親子丼”」。さくらさんが作る親子丼で空っぽのおなかを満たした子どもたちは同時にココロも満たされたはずでした。でも今回は…。

「なんで親子が1つにならなきゃいけないんだよ」

親に裏切られた子どもたちから投げつけられた言葉の数々。真っ向から自らの信念を否定されたさくらさん。傷心のさくらさんは、果たして子どもたちに手を差し伸べ続けることができるのでしょうか?そして希望の道しるべを差し示すことはできるのでしょうか?

パート2での舞台は、さくらさんの古本屋兼自宅の「九十九堂」から「子どもシェルター」に移ります。 シェルターは、虐待を受けた子どもたちが一時的に避難・保護できる施設で、親やオトナから子どもを守るため、その場所は一切公表されていません。 クリスマスも、お正月も、そして今夜も帰る家のない子どもたちが、いまのこの時代にもいるのです。

シェルターの食事スタッフとなるさくらさん、演じるのは真矢ミキ。パート1では、これまでのイメージから一転、闇を抱え悩む下町のお母さんを熱演し、女優のキャリアとして、新たな一面をみせた真矢ミキが、さらにパワーアップ!“強靭なおばちゃん”を演じます。 そして今回は、親子丼だけでなく様々なメニューが登場。そこに描かれる親子の物語も、みどころの1つです。

脚本は、前作に引き続き清水有生。NHK朝の連続テレビ小説「あぐり」「すずらん」や昼ドラ「明日の光をつかめ」、「3年B組金八先生」などを手掛けたベテラン脚本家が、実際にシェルターで取材を重ね、書き上げたオリジナル作品です。

そして今回、「オトナの土ドラ」では初めて“シリーズもの”をお届けします。パート1から1年足らず、さくらさんが帰ってきたのにはワケがあります。今年は、記録的な大雨や巨大地震など未曽有の災害が相次ぎました。苦難に直面する被災者に、ボランティアなどから差し延べられた数々の救いの手。悲しい時も、苦しい時も、人は誰かとつながることで希望を見出すことができます。

それは子どもたちも同じです。「家族」「親子」という枠から、はじき出されてしまった子どもたちが、生活を余儀なくされるシェルター。その過酷な現実に打ちのめされながらも、食事を通じ子どもたちと向き合うさくらさん。さらなる困難にどう立ち向かうのでしょうか―。