10月から始まる消費税の増税。これに合わせて国が始めるのが「キャッシュレス・ポイント還元事業」です。消費の冷え込みを抑える為に最大5%を還元するというものですが、条件となるのは「キャッシュレス」です。
そこで、今起きているのが「駆け込み導入」。これまで現金商売だったお店のキャッシュレス化です。導入の現場に密着しました。
■増税直前の“駆け込み導入”…店も業者も急ぐ「キャッシュレス化」

愛知県知多市の「おかき屋 辰心」。竹新製菓が運営する人気店で、店内には、100種類以上のおかきやあられなどが並んでいます。

この日「辰心」を訪問したのは、ユーザー数1250万人を誇るスマホ決済サービス「PayPay」の安田さん。
PayPay 安田さん:
「今お会計の方法は現金以外には何か支払方法はありますか?」
竹新製菓社長 新美さん:
「いや、現金のみで対応しております、昔ながらの…」
PayPay 安田さん:
「つり銭の受け渡しとかもなくなるので、レジの回転も速くなるのかなというのと、慣れていただければ現金よりもむしろ楽なんじゃないかなと思います」
これまで、利用額の20%をポイントで還元する100億円キャンペーンを展開。爆発的にユーザーを増やしてきましたが、安田さんはユーザーの利用先、つまりお店にPayPay導入を売り込む「営業マン」です。

これまで現金商売だった「おかき屋辰心」。社長も安田さんから話を聞き、PayPayに加盟することにしました。
PayPay 安田さん:
「忙しさは本当、今がピークかなとは思います。飛び込んだ先で今までお話してもらえなかったお店様も、消費者還元事業も一緒にやれるんだったら、PayPayで話聞こうかなということで加盟店登録をいただいて、今結構、波に乗っています」
■国の消費者還元事業制度で“キャッシュレス化の波”に乗る!

波に乗る理由として安田さんがあげたのが、国の『消費者還元事業』。国は10月からの消費税増税で、消費の冷え込みを防ぐために最大で買い物額の5%を消費者に還元する制度を導入しますが、その条件となるのが「キャッシュレス決済」です。
「おかき屋辰心」のように、増税前にキャッシュレス決済を導入しようと考える中小の小売店は少なくありません。

こうした「駆け込み導入」を逃すまいと連日のように各地で個人事業者向けの説明会が開かれています。
■信金と連携し拡大目指す…日本のQR決済の先駆け企業

ベンチャー企業として国内でいち早くQR決済サービスを始めた「オリガミ」の営業・川内健さん。
後から付与するポイントではなく、その場で還元を実感できる「値引き」をアピールして他社との違いを強調します。
オリガミ 川内さん:
「大手のペイ様と比べ私どもオリガミの特徴を強調しておきますと、基本的に決済したらその場で値引きです。『決済頂きましたら1ケ月後にポイント20%差し上げます』ではなくて、その場で値引きします」
大手とは違い大規模な営業拠点を持たないオリガミは、地域に強い全国256の信用金庫と連携し、現在は各地の個人事業者を中心に、加盟店の拡大を進めています。
この日は、連携している瀬戸信用金庫名古屋支店の担当者とともに、営業活動。向かった先は以前、紹介を受けてオリガミペイを導入してもらった、名古屋市中区の美容室「タンドル」です。

オリガミ 川内さん:
「お困りのことはないですか?」
タンドル社長 長田さん:
「はい、全部もうタブレットで管理できますので、逆に普通のレジよりすごくスムーズです。1回の会計がすごくスムーズにいきますし、現金を扱わなくていいので一日のレジ締めもすごくスムーズになって、スタッフにもすごく優しいシステムだなと思います」

導入後の反応は上々のようです。
■熱帯びる加盟店獲得競争…決済業者の「知名度」重視の店も

続いてやってきたのは、名古屋市中区の「甘味や 澤田商店」、こちらは新規開拓です。
オリガミ 川内さん:
「実際オリガミの名前とかお聞きになられたことはございますか?」
澤田商店社長 澤田さん:
「名前は聞いた事ありますよ」

オリガミ 川内さん:
「例えばお客様が1000円の買い物をした場合、決済で1000円と入力しましたが、お客様が支払うのは980円。20円分がその場で還元(値引き)された形で決済されることになります」
澤田商店社長 澤田さん:
「割引を目の前で見せられるのは(お客様にとって)面白いと思いますよね」
しかし、オリガミの「その場値引き」に興味は示しながらも、この日の新規導入には至りませんでした。実は、こちらのお店では、すでにPayPayを導入していました。

Q.PayPayにした決め手は?
澤田商店社長 澤田さん:
「やっぱ有名どころ…使っている人が(アプリを)入れてるか入れてないかが1番のネックになってくるので。色々と検討してみて(キャッシュレス)2社くらいなら導入しても問題ないかなと思う」
増税前の「駆け込み導入」を商機と捉え、複数の決済事業者がしのぎを削る「加盟店獲得競争」。しかし、必ずしもライバル関係ではないと、川内さんは言います。
オリガミ 川内さん:
「そもそもQR決済自体がまだまだ知名度も決済金額も低いので、(他社とも)お互い切磋琢磨ではありませんけれども、一緒に決済の流れをみなさんと作っていければと思っています」
その上で、導入の追い風になっている、国の還元事業についても…。

オリガミ 川内健さん:
「還元事業ということ自体が、キャッシュレスを商店や利用する消費者が考えるいいきっかけだと思います。今回はちょうど増税や還元というところがクローズアップされていますけれども、本来はその先に、お店と消費者との決済のやり方が変わってくるという流れはこれからも止まらないんじゃないかなと思っています」
消費増税で還元を謳い、国が進める「キャッシュレス化」。波がうねりになるには、まだ時間がかかりそうです。