「爆発音」通報相次ぐ…原因は“火球” 大気圏突入時の衝撃波届いたか 専門家「隕石として落下の可能性も」
16日夜、三重県の伊勢市周辺で「爆発音が聞こえた」という通報が相次ぎました。しかし爆発は確認できず、調べてみると、原因は「火球」だと判明しました。
16日午後10時すぎ、SNSで相次いで投稿されたのは…。
<投稿内容>
「歩いてたら爆発音が聞こえた」
「地震!?爆発!?なんやったんやろ」
「マジで怖い!原因不明の爆発音!」
その爆発音が鳴り響いたという地域が三重県の伊勢市周辺。
(リポート)
「この辺りに住む方も夜中に大きな音が聞こえたということです」
英虞湾の入り江になっている南伊勢町の木谷地区。多くの住民が16日夜の異変に気付いていました。
南伊勢町の住民:
「すごい音やった。雷かな、誰かこの辺で車ガッチャーンしたかなと思って」
別の住民:
「ひ孫がな、びっくりして目を覚ました」
取材を進めると、この地区のキャンプ場で、爆発音が聞こえた時刻の映像を入手することができました。
映像には、音声が収録されていませんでしたが、暗闇の中にテントの灯りが見えます。すると次の瞬間、辺りが一瞬昼間のような明るさになりました。
この謎の光の直後…。
キャンプ場の運営者:
「地震で経験するような音でしたね。ゴォーって地鳴りのような。(窓の)ガラスがガタガタって」
同じ時間帯の東海テレビの情報カメラを調べると…鳥羽市でも夜空が一瞬明るくなるのが分かります。また、尾鷲市でも空が青白く光っていました。
この直後、伊勢市内の警察と消防には「爆発音があった」と通報が相次ぎましたが、被害は確認されませんでした。
爆発音の原因やこの謎の光の正体につながる映像が、伊勢市から東におよそ200キロ離れた静岡県富士市で撮影されていました。
白く光る球が現れると、すぐに見えなくなります。次の瞬間、空全体が明るくなります。
平塚市博物館の学芸員の藤井さん:
「宇宙から降ってきた小石が地球にぶつかって光る流星の中でも非常に明るい流れ星、火球だったと思われます」
この映像を撮影した藤井大地さん。天文学を専門としている平塚市博物館の学芸員です。
藤井さんによると、この白く光る球は流れ星の一種、“火球”。この火球こそが、各地の夜空を明るくした原因といいます。
では、伊勢市周辺で聞こえた爆発音については…。
平塚市博物館の学芸員の藤井さん:
「火球の元となる小石が超音速で地球の大気の中に入ってきますと、衝撃波が発生するんですね。三重県を中心に聞こえたということなので、火球がだいぶ低い位置まで進入していたのが伺えます。隕石として落下した可能性があります」
火球が地球の大気圏に突入した際の衝撃波が地上に届き、地震のような揺れや爆発音が聞こえたのではないかということです。
一方で、今のところ隕石が見つかったという情報はありません。
平塚市博物館の学芸員の藤井さん:
「火球は特にふたご座流星群とかでよく見られてるんですけど、このように衝撃波の発生するような明るい火球はなかなか珍しい」