埼玉県のインターネットカフェに立てこもったとして22日に逮捕された男は、10年前、愛知県でも立てこもり事件を起こし、服役していました。愛知での事件後、東海テレビでは勾留中の男に面会するなど取材を続けていましたが、当時、記者に語っていた胸の内とは…。

 車の中からカメラに向かってピースサインを見せる男。住所・職業ともに不詳の長久保浩二容疑者(42)です。

 21日午後10時過ぎ、埼玉県川越市のネットカフェで女性店員(22)を人質に立てこもった長久保容疑者は、およそ5時間後、突入した警察に逮捕監禁の現行犯で逮捕されました。

 ピースサインに加え、車を降りる際には笑みも見せていた長久保容疑者。

 長久保容疑者は10年前の2012年11月、愛知県豊川市の豊川信用金庫の支店にナイフを持って押し入って「内閣を総辞職させろ」などと叫び、職員ら5人を人質に立てこもりました。

(リポート・当時)
「今、光がはしりました。バーナーに火を点けて窓ガラスを焼き切ろうとしています。1人突入しました、中に1人突入しています。どうやら犯人は確保されたようです」

 およそ13時間にわたる立てこもりの末、身柄を確保された長久保容疑者。その後、人質強要などの罪に問われ、懲役9年の実刑判決を受けましたが、東海テレビでは、初公判から判決までの期間に、手紙や拘置所での面会で取材を重ねていました。

<長久保容疑者の手紙>
「私の原動力、それは国への不信と不満、これに尽きます。1人よがりだと言われるでしょう。でも、反響も多かったのではないかと思います。その上、金銭が欲しかったということもなく、純粋に国の将来を考えての行動なのに、自暴自棄と言われるのは心外なんです」

 手紙には、犯行の動機についてこう記されていました。また、面会した記者に対し、次のように語っていました。

Q.事件で人質を殺そうという意思があったようですね。

<長久保容疑者>
「殺そうという気持ちがなかったらしないですよ。殺さないと自分の要求は達成できないと思うんですよね」

Q.被害者に謝罪しながら刑期を送るつもりはあるのですか?

<長久保容疑者>
「謝罪しながら…というのは無理だと思うんですよ。法廷で『ごめんなさい』と言えば一区切りついちゃうんですよ。刑務所に入ると最初は慣れるのに必死で、出所が近付くとシャバに出ることしか考えなくなる。そうなると、被害者の気持ちが理解できなくなると思うんです。だから、被害者の感情が分かる本とかを読みたいと思っています」

 またも同様の事件を起こした長久保容疑者。刑務所からは、2022年4月に出所したばかりでした。

 豊川での事件を知る人は…。

近所の女性:
「それは知らなかった。ビックリです」

近所の男性:
「出てきて、またそんな迷惑なことをやったんだね。(豊川信金のときに)すごく大勢の人が苦労しているのを見とるもんでね。そういうのを見ている立場からいうと、ちょっとありえんね」

 一体なぜ、長久保容疑者は再び事件を起こしたのでしょうか。

<長久保容疑者の供述>
「自分の人生に嫌気が差した」

 調べに対し、容疑を認めている長久保容疑者。警察は動機や出所後の経緯などを詳しく調べています。