――女性視聴者の皆さんにとって貞九朗は、「こんな男友達が欲しい!」と思わせる存在では? 細やかな気配りが出来るところや料理上手なところも好感が持てる、この愛すべき人物に森さんはどうやって息吹を与えているのでしょうか。
この作品は、どこか学園モノの延長のような気がしています。記者の方に言われて気づいたんですけど、僕がここ最近出演したドラマって全部職業モノで、それも見習いというか卵みたいな人たちが主人公の話ばかりでした。こういうテイストの作品って、視聴者の皆さんも登場人物の誰かに感情移入してくれると思うし、作っている側もどんどん仲間意識が高まり、役と一緒に自分自身も成長できるんですよね。僕は童顔だから、もしかしたらいまだに中学生役も出来るんじゃないか、と思っているんですけど(笑)、学生の役を出来るうちはしたいですね。反面、ちゃんとした大人の役もどんどんやっていきたいので、貞九朗のように学生っぽさを残しつつ、一社会人としてしっかりした部分も表現しなきゃいけない役は、演じ甲斐があります。
貞九朗を僕自身がどう捉えているかと言えば…。正直、よく分からないです (笑)。ちょっと不器用だけど、すごく優しいヤツだとは思っています。それに僕は貞九朗って視聴者の皆さんに一番近い存在のような気がしています。ものを見る視点が客観的というか、そのものの本質をちゃんと見極められる、というか。貞九朗は優秀な弁護士の先生たちの姿を見て、自分も困っている人が何でも打ち明けてくれる法律家になりたいという夢を抱いています。最終的に検察官か、弁護士か、はたまた裁判官か、何を目指すかも楽しみですね(笑)
今僕は25歳ですが、貞九朗は27歳の設定です。それで夕輝(壽太)くんが演じている浩平が25歳の設定で、スタッフやキャストの皆さんに最初、「浩平のほうが年上に見える」と言われてしまいました(笑)。この二人のやりとりは、どう見たって浩平のほうが年上に見えるじゃないですか(笑)。どうしてそうなったのか考えても答えは出ないから、「最初にそういう関係性が出来て、貞九朗は素直にそれを受け入れたんだろう」と思っています。
僕は結構、演じている役に影響されることがあって、貞九朗にも当然、いろんな面で影響を受けています。彼の優しさは素敵だし、どんなときもニコニコ笑っていられる強さもいいな、と思っています。ただ今後、貞九朗がこれまでの人生で身につけてきた処世術が通用しない局面も出てくるかもしれません。そんなとき、彼がどんな行動を取るんだろう、と思っています。そういう場面を演じるときが来たら、土屋貞九朗という人物の“ピース”がカチッとはまる気がしています。
昼ドラにレギュラーで出演するのは今回が初めてになります。今回は作品のテイストもあるでしょうが、常に明るい気持ちで貞九朗を演じられているんです。この楽しい気持ちを、長い期間一つの役を演じることの難しさに負けないよう、プラスに変える力にしたいと思っています。
昼ドラに出演して思ったのは、撮影ではアップで撮られることが多いんです。だから顔の表情をより豊かにすることや、僕はつい顔を下にする癖があるので、そうならないよう意識しています。明るいテイストの作品なのに、画面にうつむき加減の人間がいたら、それだけで変にシリアスになってしまいますから。
貞九朗が夏希さんに惹かれたのは、彼女がとても芯の強い人だからだと思います。ただ、好きというより憧れのほうが強い気がしますね。それに夏希さんは修習初日に遅刻して来ましたが、実際にそういう人がいたら前日の酒が残っていて、相当酒くさいと思うんですよ(笑) それだけで「何だ、この人は!?」という強烈なインパクトを植え付けられたんじゃないでしょうか。
貞九朗より夏希さんのほうが5歳上の設定だったかな? 僕自身もそれくらいの年の差は“アリ”ですね。正直、最近の僕の恋愛事情は…。かなり淋しいですけど(笑)。親からも「そろそろ誰か紹介しなさい」とせっつかれてます(笑)。
貞九朗の今後のことは夏希さんへの想いを含め、まだまだどうなるのか分からないことだらけです。でも知らない方がいいって思ってます。だってすべてが分かってしまったら、“答え合わせ”みたいな演技になってしまう気がして。それじゃあもったいないですよ。
「一日一善」というのもありますが、「克己」です。読みは「こっき」が正しいんですが、僕はあえて「かっこ」だと思っています。常に新しいことに挑戦するために、「かこ(=過去)」の自分に依存することなく、また「かこ」の自分に打ち勝たなくてはいけない、という意味で捉えています。