3月26日(火)更新

湯江 健幸さん(神谷 健一役)

――明るく和やかなテイストのこの作品の中で、クールな佇まいを崩さない弁護士の神谷は一人異彩を放つ存在。しかしドラマが進むにつれ、神谷の温かな人柄が垣間見える瞬間も。湯江さんは役の微妙な変化をどう捉え、演じたのでしょうか。

『実は友達に弁護士が結構います』

 今回、初めてこの枠の作品に出演していますが、弁護士を演じるのも初めてなんです。そう考えると、この現場は僕にとって“初めて”が多いかもしれないですね。弁護士を演じる上で最初に気を付けたのは、普段使い馴れていない言葉を流ちょうに言うこと。それもより使い慣れている感じを出すことを心掛けました。エリート弁護士という設定だけに、セリフに感情を込めて雰囲気を作って言うことより、いかに分かりやすく正確に伝えるか。そんなことを意識しつつ、自分の中にセリフを馴らしていくのは大変でした。

 実はプライベートで弁護士の友人が結構いるんです。例えば幼なじみ、学生時代の友達、役者仲間、と同じ感じで、“弁護士の友人たち”というカテゴリーが僕の中にある、というか。昔のバンド仲間で弁護士になった奴がいて、そこから弁護士をしている人たちとの繋がりができました。誰だって仕事の顔、プライベートの顔っていうのがあるでしょうが、弁護士のみんなもそうですよ。飲んでいるときの彼らは、他の友達と何ら変わりないですね。誰もが思い浮かべる “弁護士像”っていうものがあると思うんです。でも僕が知っている弁護士たちはまあ、予想を裏切る感じですよ(笑)。神谷を演じる上で、弁護士たちの素の部分を知っていることは、そういう面を直接的に表現することがなくても、役に立っている気がしています。

 撮影前、勉強を兼ねて弁護士事務所に見学に行きました。事務所は驚くほどシーンとしていたんです。正直なところ、せっかく見学に行ったんだから、何かトラブルが起きないか期待していました。印象に残ることがあれば、演じる上でそこをフックにして、いろいろ広げられますから。でもそんな事態は起きませんでした(笑)。

『あくまで“真逆の人”で』

 もちろん、神谷にだって仕事をしているときには見せない別の顔があると思います。神谷のそういう一面を見せる場面があろうとなかろうと関係なく、自分なりの神谷のいろんな面を考えつつ、演じてきました。神谷を演じる上で大切にしたのは、常に周りとは逆の立場を取ること。何か問題が起きると、夏希を中心に皆が一致団結して事態が好転するよう努力していきましたが、そういう展開の中で一人だけ孤立してまったく違う行動を取るっていうのは、演技とはいえ最初はきつかったですね(笑)。そこから夏希たちを見て、共感することがあれば素直に心が動かされる様を表現したつもりですが、基本は“真逆の人”でした(笑)。さらに言えば、神谷はこの事務所の最もバランス感覚を持った人間だとも思います。何が良くて、何が悪いのか。白なのか黒なのか。神谷の冷静な発言が、いろんな案件の本質を表していることがあったと思います。

 作品のスパイスとして、神谷みたいなキャラクターも一人くらい必要だと思います。この事務所はさくら所長からして人情派じゃないですか。神谷みたいな人間がいないと、そもそも経営が成り立たないかもしれません(笑)。ただ、神谷は所長に惚れこんでいるし、自分が進むべきは所長のような弁護士だと思っているはずです。そうでなければ、とっくに事務所からいなくなっているはずですから。要は人を助けたいという気持ちの“表し方”の違いですよね。弁護士という職業についても、人助けではあるけれど、そこは仕事だから何が大切か聞かれれば、これまでは「利益でしょ、当然」と答えていたと思うんです。でも夏希たち修習生と出会い、「利益なんだけど…。でもそうとも言い切れないかも」というように気持ちが変わった気がします。100%だったものが99%と1%に分かれた感じ、というか。

 さくら所長を尊敬しているくらいだから、神谷も基本的には人が好きなんですよ。久保田弁護士やみどりさんが修習生たちとどんどん親しくなっていくのを横目で見つつ、神谷も素に戻れば「今年の修習生たちはユニークだな」なんて思っているけれど、みんなの前に出るとそういうことを言えない感じ。口には出さないけれど、一人ひとりのことをちゃんと見ている人間として、僕は神谷を演じたつもりです。

『シーンがおもしろくなるなら、そこは喜んで』

 弁護士を演じて印象的だったのは、毎週いろんなタイプのクライアントが現れ、いろんな相談を受けましたが、毎回対応が違ったんです。台本を読んでもそこは楽しかったんですが、クライアントを演じる方の演技によって、接し方が最初に考えていたのから変わってくることがあり、すごく新鮮でした。ゲストの方が現場に来て、その方なりの方法で役作りをされていましたが、その様子を見て、僕もどんな演技をするかよく考えていました。こういう経験は初めてですね。

 おかやま(はじめ)さんが“伝説のマタギ”という役を演じましたが、設定からしてユニークじゃないですか(笑)。そういう人物が来たらどう考えてもその場面は弾けるし、神谷とクライアントとの掛け合いがおもしろくなるなら、そこはもう喜んで(笑)。仕掛けてくるのはゲストの方に任せ、受け身になりつつ、演技でいろいろなことを試せてとても楽しかったです。

 実は私、年を取るにつれてどんどん面倒くさがりになっていて(笑)、モメゴトも嫌いなんですね、非常に。だからトラブルの匂いがしたら、僕は一目散に逃げるタイプです (笑)。若いときは大変なことに巻き込まれたくないから、必死に逃げてましたけど、今は軽やかに逃げてますよ(笑)。そういう人間なのでモメゴトの先に福があるなんて考えたこともなかったんですけど、せっかく今回のような作品に携わったんだから、少しは怖がらずにモメゴトに接してみようかな、と思ってます。

――最後に“モメ福”クエスチョン。湯江さんが大切にしている言葉やモットーはありますか?

 そうですね…。「ぷらぷらする」かな(笑)。計画を立てたり、スケジュールに追われたりする生活はあまり好きじゃないんですけど、こうして連ドラの撮影に入ると、そうも言ってられません。でも余裕があれば目的も持たず、1日をリラックスして過ごし、リフレッシュしたいですね。

今回のモメごと

  • クランクアップ!
  • 星 由里子さん(椎名 春江役)

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