この日は前日よりさらに30分早く、朝7時30分から撮影がスタート。仲居として活躍する奈緒子の姿がいろいろと描写されます。スタッフの一人が劇中に登場する料理を真剣にデジカメで撮っていましたが、これは日本に戻ってからの撮影でも、この料理を再現する必要があるため。それを知った羽田さん。「いいこと思いついた! この料理を全部凍らせて持って帰ればいいんですよ(笑)」と。ユニークな発言で知られる羽田さんならではのコメントです。
またいくつもの料理がのったお盆を記者も持ってみましたが、もともと大きなお盆自体に重さがあり、短い場面とは言え、何度も何度も持って運ぶのは重労働。最初から最後まで涼しい顔で運ぶ羽田さんのすごさを垣間見ました。
奈緒子が料理を運ぶ場面で小走りしたところ、「日勝生加賀屋」の方が「私どもではそんな風に走らないんですよ」と。しかしドラマの演出上、忙しさを強調させるための演出と理解してくださり、「まあ、いいとしましょうか(笑)」と笑って許可してくださいました。
この日から撮影に加わる津田寛治さん。実は前日、1日中、小籠包の作り方をロケでお借りする店で練習していました。そのことを聞いた羽田さんは「うわ~、お疲れ様でしたー」と。さらに津田さんは「いろんな小籠包を食べたんですけど、どれもすんげ~うかったですよ。ただ作るのはとにかく難しくて」とも語っていました。
津田さんはこの日、旅館の前でドラマの中の『記念写真』の撮影をしました。これは後で、体の部分だけを抜いて、シンガポールの風景に合成するもの。「目の前にはシンガポールのマーライオンがあるつもりでお願いします」とのスタッフのリクエストに、満面の笑顔を作っていました。
そんな津田さんに台湾の感想をうかがいました。
「小籠包作りは難しいですね。あのモチモチの皮を薄く伸ばすのは至難の業で、1日やそこらで出来ることではなかったし、包み方もプロは早くかつ繊細にやるんですよ。
今回、初めて台湾に来ましたが、日本でも馴染みのあるコンビニやファストフードがいたるところにあるので、日本と一緒だな、と思ったんです。でもこちらの人はとにかく元気ですね。台湾はきっと、厳しく激しい歴史を乗り越えての今があるから、人々に元気があるんでしょうね。見ていて気持ち良いし、日本人も見習うべきところがあると思います。
宗佑は昨年のときとはまったく違うキャラクターになっています。アジア各国を放浪し、台湾にたどり着き、小籠包を作っているうち、一皮も二皮も剥けたんでしょね」
奈緒子が旅館を去る場面では、またしても「日勝生加賀屋」のおもてなしの素晴らしさに触れることが出来ました。宿泊客がタクシーや車などで旅館を去るとき、仲居さんは車が見えなくなるまで手を振り、完全に車体が見えなくなるとお辞儀をしつつ日本語で「ありがとうございます」とお礼を。この見送り方は、能登にある「加賀屋」と同じだそうです。
再び館内のロケでは、原則的に公開していない配膳室の中で撮影も行われました。小ぶりな配膳室の中に役者陣とスタッフ、さらに撮影機材が入り込み、まさに“ギュウギュウ”な状態です。
台湾に着いてから休むことなく撮影を続けるスタッフさんを気遣い、羽田さんは栄養ドリンクの差し入れを。多くのスタッフさんも「あ~、しみるー」と一息ついていました。栄養ドリンクには“蠻牛”との文字が書いてあります。羽田さんが呉さんにどういう意味か質問すると「牛のように元気になれる」とのこと。「なるほど~」と納得する羽田さんでした。
台湾はとにかく雨が降ります。旅館で撮影していると、すぐ“ザー”との雨音が聞こえてきます。明日からの本格的な外ロケに備えて、「大丈夫かな…」とスタッフさんたちは顔をつき合わせていました。
この日で仲居頭を演じたゼンさんや現地で来て貰った仲居を演じる皆さんはクランクアップ。ゼンさんから「今度はぜひ台湾のドラマに出てください」と言われた羽田さんは笑顔で「ぜひ!」と。
後編へつづく・・・