夕方まで「日勝生加賀屋」の館内で撮影しましたが、この日はこのまま台湾メディアによる羽田さんらキャストへの取材会が行われました。会見には10媒体ほどが参加。当日のニュースでも流れたようです。
日本と台湾は互いに多くの観光客が行き来し、台湾は親日家が多いことでも有名です。会見の司会をされた女性も「今日、この場にいてとても感激しています。私は日本のドラマが大好きで、特に野際(陽子)さんが出演した、コミックをドラマ化した作品は今でも記憶に残ってます」と。会見での皆さんのコメントを紹介します。
羽田さん
「まず3月の震災では、台湾の皆さんに多くの支援をしていただき、本当にありがとうございました。台湾に来て、今日で3日目ですが、まだ館内から一歩も外に出ていなくて(笑)。今夜からロケに行くので楽しみです。10年ほど前、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』という映画をこの地で撮影しました。いろいろと思い出のある町を再び訪ねることができて、うれしく思っています」
野際さん
「私の出演作について熱く語っていただき、ありがとうございます。台湾は46,7年ぶりでしょうか…。当時出演していたワイドショーでアジア各国を巡り、台湾も訪れましたが、昔と今ではまるで別の国のようですね。今回、私はスケジュール的に余裕があるので、観光もさせていただいています。嫁(羽田さん)は朝から晩まで撮影ですが、私も明日からいよいよ撮影が始まるので、気を引き締めています。撮影ですぐ、鬼の形相で息子をひっぱたく場面があるんですが、現地の警察の方に捕まらないよう気をつけます(笑)。こちらに来てから、いろいろなところにうかがって思ったんですが、台湾はいいですね。至るところに漢字があふれ、それだけでほっとします。こんなに心地良い国なら、もっとたくさん来ればよかったと思っています。これからはどんどん遊びに来たいですね」
津田さん
「野際さんには僕から、頬を叩かれる場面は、リハーサルから本気でやってください、とお願いしました。だから覚悟は出来ています(笑)。僕は台湾映画が大好きなので、台湾でドラマの撮影に来れて本当にうれしいです。昨日、小籠包のお店に修行に行きましたが、台湾の皆さんの優しさや温かさを感じています」
小林さん
「明日、僕は撮影が休みなのでのんびりさせていただきます。あのー、夜市のことでいろいろ聞きたいことがあるんですけど(笑)。あとでぜひ教えてください」
――野際さんは実際の年齢よりかなり若々しいですが、美しさの秘けつは?
野際さん
「まさか台湾で年齢にまつわる質問をされるとは(笑)。私はこの1月に日本で“後期高齢者”と呼ばれる年齢、75歳になりました。美容は“普通”です。いろいろ塗りますし、マッサージもします。ただエステはほんんど…。あとは睡眠不足にならないよう心掛けましてます。疲れると、体がすぐ辛くなります。ですから、昨年、この作品に出たときは辛かった。もう死ぬかと思いました(笑)。ただ、こうして生きております。よく寝て、よく食べて、健康でいればいいのかな、と。ただお化粧を取れば…(笑)。もう一つ元気でいる秘けつは好奇心を持って楽しく過ごすことです(笑)。今日は起きたときからなぜか“ラップモード”だったんです。羽田さんの結婚の感想をスタッフにラップで語っておりました」
このあと、野際さんは記者からのリクエストでラップを披露。拍手喝さいとなりました。
――台湾では野際さんのドラマがたくさん、放送されています。こわいキャラクターをたくさん演じていらっしゃいますが、実際の野際さんはどんな方ですか? また野際さんが考える理想のお嫁さんとは?
野際さん
「実際の私はすごく優しいです…、と思っております(笑)。私自身は娘しかおりませんので“理想の嫁”についてはよく分りませんが、羽田さんはオススメですよ、ちょっと“天然”入っていて、おっちょこちょいで、間違いもたまにしますが、いつもニコニコしているんです。この台湾でも本当に疲れていると思います。着いて早々朝から晩まで仕事で。それでも愚痴を一切言わない。こういう人がうちの娘の“嫁”になってくれないかしら(笑)」
――羽田さんとの共演の感想を聞かせてください。
野際さん
「羽田さんとは初めての共演でなく、以前も親子役で共演し、以来、“みっちゃん、みっちゃん”と呼ばせています。ね、仲良しよね(笑)」
羽田さん
「大好きですー(笑)」
野際さん
「今回は厳しく接しなくてはいけないので、普段の羽田さんに対する好意は抑えています。他の嫁役の女優さんは…。浅野ゆう子さんとも仲が良いので、今度ゆう子さんと台湾に遊びに来ますね。他にも共演した若い女優さんたちは皆優しいので、実の娘は少々冷たいんですけど(笑)、他の“娘”が優しいので幸せです」
ここまで撮影に全面協力してくだった「日勝生加賀屋」を代表して、広報担当の張原滋さんにお話しを伺います。
「「日勝生加賀屋」では、日本の加賀屋のサービスをこの地でもそっくりそのまま楽しんでいただけるよう、着物姿の客室係がサービスをしております。建物も日本の建築方法で建てており、食器も輪島塗、九谷焼を使用。さらに加賀友禅も展示しております。
温泉に関しても、皆さんで一緒に入るという文化が薄いようなので、それぞれのお部屋の風呂は温泉になっていますし、個室の露天風呂もございます。
日本からのお客様もいらっしゃいます。日本のお客様にオススメのコースは、3,4日台湾をご旅行する場合、最終日に泊まっていただく、というもの。料理にしても3日ほどは中華を味わっていただき、日本が恋しくなって頃、和食を楽しんでいただきたいと思います。
ドラマでは日本人教育係と現地客室係が意思の疎通が取れず、お互い苦労するようすが描かれましたが、実際には旅館のオープン1年前に日本から教育係がやって来て、客室係の者に正座やお辞儀のしかたから教えていきました。正座自体、したことがなったそうですし、日本流の“おもてなしの心”。相手の立場に立つということはどういうことなのか、説明するのに苦労したと聞いております。
ただ客室係は皆、日本語検定2級以上を取得している者を採用しております。これは日本語が出来る、というだけでなく、熱心に日本語を勉強している方は日本文化にも興味があるだろう、という視点からです。
日本人観光客の皆様が台湾に来た際には、ぜひこの地だからこそ味わえる『加賀屋』のいおもてなしの心に触れていただきたいと思います」
会見後は、ついにロケ撮影がスタート。川沿いにある河濱公園という、運動を本格的に楽しみたい人が多く訪れる公園で、奈緒子と宗佑のやりとり(第9話)が撮られました。
「やっと外に出られたー!」と川から吹く涼しい風を頬に受け、伸びをする羽田さん。一方津田さんは呉さんに「台湾へようこそ」という言葉を台湾の言葉で何というか質問。奈緒子に追い詰めれたところで教えられた言葉をアドリブで挿入していました。
この後、二人は夜市でにぎわう街中を追いかけっこするシーンを撮影。夜11時近くになり撮影終了となり、長い1日に終りを告げたのです。