【インタビュー】Vol.3 鈴井みつ子役-芳本美代子さん

6月26日 更新

――現場の和気あいあいとした雰囲気も、律役の高杉真宙さんはじめ、共演者のみなさんが「みつ子さん=芳本さんあっての早川家、鈴井家だ」とおっしゃっていました。
 悪気もなく、ストレートに言っちゃって、火に油を注ぎまくってますよね(笑) 最初に律くんに「本当の子どもじゃない」と言う時は、どう言うのが正解なのか分からなかったんですが、“悪い人間ではなく、ついついおせっかいからしでかしてしまう人。相手が嫌いなのではなく、好きだからそういうことを言ってしまう人”だととらえました。そんなみつ子さんですから、真剣なシーンでも余計なひと言を言ってしまって、みんなから怒られるということが多々ありますが、それでも環を見守る母本来の一途さはあると思うんです。姉妹がいたりすると、愛情が分散されるかもしれないですが、環は一人娘で、ロンドンにバレエ留学して…となると、どうしても期待がかかってしまって。自分の夢もなすりつけてる気もしますけどね(笑)

――そんなみつ子さんですが、物語が進むにつれて憎めなさも倍増で、みつ子さんのことを好きになってきます。
 隠しておけない性分だから、みんなに黙ってるということ自体に心を痛めているんですよね。だから、「実は、ちょっと口すべらしちゃったのよね」って言った時に、心のつかえがスッとおりました。「ああ、これでごめんなさいできた」って(笑) 素直に「ごめんなさい」って言える人。その、かわいらしさはありますよね。
 血の繋がらない母子だったり、母親から愛情を注がれていない子どもを引き取ったり、これから旦那さんのお母さんとの話もあったり…と、物語の内容は込み入ってますが、みつ子の場合、それを理解していないわけではないんです。重々承知しているというよりは雰囲気でOKというくくりで、また関係性を作っていける人なんですよね。重い空気になった時にも、みんなが「お前のせいだ」と当てこすりしやすいし、こっちも「もー!」って本気で怒りながらも、まあこういうのも悪くないなという関係で、毎日笑顔で過ごせる人。だから演じていて楽しいですよね。

――環(岩田さゆり)とのエピソードも深いですね。
 離れて暮らしていたということもあって、こっちはそこで成長が止まっていて。キチンと大人になって、敷かれたレールではなく、ぶち当たる壁に対して自分で納得して自分で決めていきたいという環の気持ちを理解してあげることができなくて。一人娘だし、自分の夢も重なっているという中で、本当に大切にしたいがゆえ、気を使いながらすれ違っちゃうんですよね。私も同性だから分からないこともないなと思うんですが、みつ子さんはそのへんスコンと抜けてるとこがあるので(笑) そんなみつ子さんも、律くんや恭子さんの話を聞いて、自分の知らない環を知ることで、見守ることしかできないんだなと思いしらされるんですよ。でも、いつまでたっても、どうなっても、ママはママで、これから大人になっていけば、女同士という、また新しい関係性になっていくだろうし。環との話はそういうところが描かれていて、鈴井家の人々のそれぞれの性格がよく分かりますね。鈴井家がすごくいいなと思うのは、隠しごとがないんですよ。「絶対に言っちゃダメだよ」ってことを、私に言ってくれる関係性ですから。私が言っちゃうの、みんなも分かってるでしょ?(笑) いい家族だなと思いますね。
――義姉である恭子さんとの関係もステキですね。
 恭子さんはみつ子に対する理解がすごく深いので、差し伸べてくれる手も言葉も温かいし、あの笑顔で「あっ大丈夫なのかも」と思える、その強さがありがたいですよね。みつ子が頼りにできている人は、やっぱり恭子さんなんだなと。年も近いお義姉さんに対して、素直に「これでいいのかな?」と聞ける、そして優しく笑顔で返してくれる、この関係性がすごくよくて。みつ子の中で、鈴井家の中で、お義姉さんという存在が、いろいろ映ってくる、見えてきた感じがしました。それぞれ違う家庭ではありますが、人で繋がっていて、「一人じゃない。みんながいるじゃん」って。家族というもの、親戚というものが見えてきましたね。
――では、最後に視聴者のみなさんにメッセージを。
 みつ子同様、私自身も母親でもあるんですが、母親というものはどういう形が一番立派だとかいうのではなく、その人それぞれの愛情の形があると思います。少し傷つけてしまうこともあるかもしれませんが、そこで子どもを成長させていく、もちろん親も子供によって成長させられていく、そういうシーンがたくさん盛り込まれていて、とても優しい作品です。こういう風に思えるといいなとか、こういう風にしてもいいんだなとか、見る方の心を少しでも軽くしてくれる作品だといいなと思いますね。

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