――「ノンママ白書」の内容に関しての印象をお聞かせください。
こういうドラマって、おそらくなかったのではないでしょうか。20年ほど前には、アラサー世代の女性たちが30代を迎える気持ちを描いたドラマがあって、10年ほど前はアラフォー世代の女性たちが40代になることでジタバタするドラマがあって、そこから10年経って、今度はアラフィフの女性たちの『ついに50代になってしまった!』なんだと思います。アラフィフの女性たちが感じているさまざまなことをリアルに取り上げているので、今までにないドラマを視聴者の皆さんにお見せできるのではないか、と思っています。
――土井を演じて、どんなことを感じていますか?
職業ですとか、生き方ですとか、私とは違う面もありますが、50年生きてきて、『今の自分はどこにいるのだろう? これからどこに向かって行くのだろう?』という、でもそれは"不安"ではなく、何となく自分の立ち位置が分からないことに対して感じている思い...。もしかしたら、無理に見る必要はないかもしれないけれど、ちゃんと生きていきたいし、そのためにはどうすればいいのか、土井が疑問の中にいる感じは、アラフィフの女性なら誰もが抱えている思いのような気がします。この作品は"ノンママ"がテーマですが、そのことは関係なく
――鈴木さんも疑問の中にいる、と?
そうですね。日々、悩んでいます(笑)
――土井は勤め先で、初の女性管理職になりますが。
管理職、部長という肩書にどれだけの重みがあるのか。私自身、会社勤めの経験がないので、知らずに来てしまったところがあって。今回、同世代の女性管理職の方にお話しを聞く機会があり、『ハンコを押す側に、クリエイティブではなく、"体制側"に入ること』と言われ、とても参考になりました。
――土井の"ノンママ"という選択をどう思いますか?
私はどの人の、どんな人生も祝福されるべきものだと思うんです。恋愛や結婚の形もさまざまなので、家族というものの概念が多様化する中、土井の生き方も尊重されるものだ、と。彼女自身が選んだ道で、メリットもデメリットも受け止めている生き方が、土井にとってはベストだと思いながら、私は演じています。
――土井は友人の大野(菊池桃子さん)、葉山(渡辺真起子さん)と馴染みのバーで"ガールズトーク"を繰り広げます。撮影していかがですか?
クランクイン当日がふたりとの場面で、おもしろかったです。この作品に限らずですが、台本を読んで感じたものがあっても、実際にお芝居をしてみると『このセリフで、こんな気持ちになるんだ』と思ってもみなかったことがあります。今回も、予想していたものとは違うところから感情が呼び起こされることがあって。それがおもしろかったし、作品自体も良いものになると感じました。
――菊池さん、渡辺さんはどんな方ですか?
真起子さんは"頼りになる姐さん"(笑)。真起子さんについて行くつもりです。桃子ちゃんは爆弾みたいな人(笑)。何をするのか分からなくて、ハラハラします。そんなところが、とても可愛らしいんですよ。
――菊池さんとは、トレンディドラマの集大成とも言われ、今回と同じく伴一彦さんが脚本を手掛けた連ドラ「恋のパラダイス」(1990年)で姉妹役を演じていましたが。
桃子ちゃんはあの頃と全然変わらなくて、当時からワープしてきたみたい。すごいですよね(笑)
――菊池さん、渡辺さんとはクランクイン前にかなりリハーサルを行ったそうですね。
3人の会話がドラマの要なので。舞台劇のような雰囲気もあるし、以前ほど脳も動いてくれないので (笑)、事前に頭に叩き込んでおきたいと思ったんです。おかげさまで、3人の関係性を自然と演じることができたし、アドリブを入れることもできました。入念にリハーサルしたことがとても良い作用になったと思います。
――土井と本城(高橋克典さん)との恋の行方も注目ですね。高橋さんとの共演の感想もお聞かせください。
どんな作品でも"LOVE"は楽しみじゃないですか(笑)。高橋さんとは昨年、共演したことがあって、すごく気を遣ってくださるし、その場を和やかにする方でした。今回も安心して、身を委ねるつもりです。
――ところで、土井はファッションもとても素敵です。視聴者の皆さんにも楽しんでほしいですね。
いまのトレンドを押さえつつ、働く女性として、自分も周りの人も楽しませるファッションですよね。ちょっと"男前"なジャケットを着ても、イエローなどきれいな色で、女性らしさを忘れていないことがポイントだと思います。ご覧になったらきっと、真似したくなりますし、バングルなどアクセサリーにもこだわっていて、バッグもセンスがいいんです。もう一つ、土井、大野、葉山はファッションも三者三様なので、3人のファッションの違いも楽しんでいただきたいです。
――鈴木さんご自身は、ファッションにこだわりなどありますか?
洗濯しやすいもの、ということを優先してますけど(笑)、ファッションって、自分を良く見せたいという意味でなく、自分のキャラクターや好みを人に分かってもらうのに役立つ要素だと思います。そういう面で、ファッションは大切にしています。
――改めて18年ぶりの連ドラ主演についての感想は?
ブランクがあるにも関わらず、このような大役をいただけることがありがたいし、ご期待を裏切らないよう頑張るのみです。主演と言いつつ、桃子ちゃんや真起子さんと苦労をシェアできるので、気負わずにいられるのが助かっています。
――久しぶりに連ドラに主演し、演技に対して感じていることはありますか?
かつては台本に書いてあることを言うだけ、みたいに思っていたし、そう演じていたんです。でも今は、作品を見てくださる方々がこのセリフをどう受け止めるのだろうか、どう感じるのだろうか、と考えるようになってしまって。以前より演じることに怖さを感じることもありますが、『ノンママ白書』という作品に携われていることがうれしくもあり、楽しくもあるので、このワクワクした気持ちを大切にして、撮影を乗り切りたいと思います。
――ところで、第1話が放送されている最中に、鈴木さんは誕生日(8月14日)を迎えましたが。
10代の頃から今に至るまで、まさか自分の50回目の誕生日に主演ドラマが放送されるなんて、考えてもみませんでした。それが不思議でもありますが、『本当におもしろい人生だな』と思っています。これまで先のことは考えず、やって来た電車がおもしろそうなら乗ってみよう、という感じでやってきました。今後もそうでしょうね、きっと(笑)
――では、最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
私と桃子ちゃん、真起子さんの場面は、アラフィフの私たちがすべてをさらけ出して演じています(笑)。そのジタバタした感じが、人間の持つ可愛らしさだと皆さんに思っていただきたいし、ドラマの向こうの話でなく、『これは自分たちの物語なんだ』と感じていだける作品になることを願っていますので、応援していただけたらうれしいです。