出版社から「まさか」のオファー…書店の児童書担当社員が“絵本作家デビュー” きっかけは売り場のポップ
かわいらしいカッパが描かれた「カッパのあさごはん」という絵本。この本を書いたのは、愛知県豊明市の書店の女性店員です。本を売る側から作る側へ、そこにはシンデレラストーリーがありました。
2022年5月に発売された絵本『カッパのあさごはん』。絵本を読むのは作者の都築智子さん(43)。書店のパート社員で、児童書担当をしています。
都築さんが働く豊明市の「精文館書店(せいぶんかんしょてん)」には、もちろん『カッパのあさごはん』が平積みに。
都築さん:
「私が書いたポップを見た出版社さんが、『おもしろいね。絵本書いてみない?』とおっしゃってくれて」
小さいころから絵を描くのが好きだった都築さん。5年前から書店で働き始めましたが、都築さんの画力を知った同僚の誘いを受け、絵本を紹介するポップ作りを始めました。
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都築さん:
「普段ちょっと目にかからない本も、ポップを見ることによって見るきっかけになったらなと」
これまでに書いたポップは100枚以上。熱意あるポップを見た児童書の出版社から2021年、絵本のオファーを受けました。
都築さん:
「まさかきっかけになるとは思わなかったので、コツコツ好きなことをやっていてよかったなと思います」
都築さんのアトリエは、もっぱら自宅のリビング。
都築さん:
「家事の合間に、水とか出さずにできるんですよね。だから色鉛筆にしたんですけど。実はすごい手が疲れることに途中で気付いてしまって」
今回のデビュー作『カッパのあさごはん』は、朝ごはんのことで、かあさんを怒らせた兄弟カッパが、翌朝のごはんの材料を求めて冒険の旅に出るストーリー。
実は、兄弟カッパは都築さんの2人の息子がモデルです。
息子たちが小さかった時、絵本の読み聞かせの代わりに即興で作ったお話が『カッパのあさごはん』でした。カッパは家にあった置物からヒントを得たといいます。
家事・育児が終わった後の夜中に、コツコツ絵本を製作した都築さん。その期間はおよそ2か月。
結婚前の姓「小山」と、現在の姓・都築を合わせた「小山つづき」のペンネームで、作家デビューを果たしました。
都築さん:
「トントン拍子すぎてちょっと未だに現実味がないですけど。自分の本が並んでいるとやっぱり嬉しいですね」
書店員と絵本作家。本を売る側と作る側の「二足の草鞋」をはくことになった都築さんには、次の目標があります。
都築さん:
「絵本離れをしてるかなと書店員をしていて思うので、より多くの人に手にとっていただきたい。私もポップ作りを頑張るので、ちょっと面白い本があったら手にとっていただけると嬉しいです。ちょっと落ち着いてから、また二作目を書きたいなと思っています」