明日ピカ2の世界観を劇中の楽曲で表現している、番組の音楽担当・富貴晴美さん。富貴さんは現在26歳、新進気鋭の音楽家です。また、昨年の「明日の光をつかめ」も担当されていました。そんな富貴さんと小島さんの“夢の対談”が実現です。
対談では小島さんの撮影でのウラ話も披露。もちろん、富貴さんがどんな風に曲を作っているのかも語ってくれました。終始笑いに包まれた楽しいトークをどうぞ・・・。
――小島さんには主題歌「Change Myself」を歌う真崎ゆかさんとも対談していただきましたが、今日はどんな心境ですか?
小島 緊張しています。ドラマの音楽を全部作ってくださった方とお話しするなんて。こういう機会を作っていただき、とてもうれしいです。
――富貴さんはドラマのために約40曲を作ったそうですよ。
小島 えー、そんなにですか? 「たんぽぽ農場」のみんなもそんな話を聞いたら、きっとビックリするでしょうね。いつもそんなにたくさん作るんですか?
富貴 そうですね。大体30曲から40曲くらいは。お昼の作品は毎日の放送なので、やっぱり曲数は多いです。短い時間の中、結構頑張って作りました(笑)。
――お二人は初対面ではなく、撮影前にキャストスタッフが一堂に会した“顔合わせ”で会っているんですよね。
小島 顔合わせのとき、私はビックリしました。こんなに可愛らしい方だったので(笑)。実際、ドラマで流れている音楽を聴いていると、それだけで泣きそうになるときもありますし。そんな曲が作れるなんて、すごいですよね。
富貴 そんな風に言っていただき、すごくうれしいです。
――富貴さんは改めて小島さんと会っての感想は?
富貴 部屋に入ってきた瞬間、毎日観ている方なので「あ、希望ちゃんだ」と思いました(笑)。ドラマの中では私は希望ちゃんに力強さを感じていたんですけど、こうしてお会いすると、もっと女の子らしくてすごく可愛い方ですね。
小島 照れますね(笑)。でもありがとうございます!
――サウンドトラックには「希望のテーマ」という曲もありますが。
富貴 台本を読み、希望ちゃんは明るくて力強さもある女の子だと思ったんです。一方で背負っているものもあり、そんな二面性を表現したつもりです。本当は明るくて普通に暮らしていたかったのに、罪を犯してしまった悲しみを秘めているような。基本は明るい曲調ですが、ところどころでメロディーに悲しみや暗さも織り込みました。でも全体的には、前に進んで道を突き抜けようと頑張っているイメージの曲にしました。!
――自分の役のテーマがあるなんてすごいですよね。
小島 曲の中に「希望のテーマ」という曲名を見つけたとき、すごくうれしかったです。それで聴いたら、曲が希望そのものでした。撮影中は「こんな素敵な曲を作っていただいたんだから、しっかり演技をしなきゃ」ってずっと思っていたんです(笑)。
――パート1とパート2では使っている楽器が違ったり、コンセプトが違ったりしているんですか?
富貴 昨年は、楽器でいうならピアノがメインで、ストリングス(弦楽器を主体とした演奏)の曲が多かったんです。今年はオーケストラっぽい曲が多くて、楽器はオーボエを印象的に使うようにしました。今回、監督がオーボエの音色をすごく気に入ってくれたんですけど、放送を観ていても、「たんぽぽ農場」の温かい雰囲気とオーボエの音色がピッタリで、監督は最初からそのことが分かっていたのかな、と思いました。
――パート2の音楽を担当しての感想は?
富貴 もともとドラマのパート2の音楽をパート1から引き続き担当するのが今回初めてだったんです。とてもうれしかった反面、曲を作る、という意味では難しかったですね。キャストもストーリーも新しくなった中で、パート1のときとはまた違うテイストのメインテーマを作らなければいけませんでしたから。プロデューサーさんや監督からも「パート1よりも良い作品を期待していますよ」と言われたときは、もう心臓が張り裂けるほどのプレッシャーでした (笑)。前作のときは台本を読んだだけで映像が頭の中で見えた感じで、メロディーがスッと浮かんだんです。今回はパート1との違いを考えながら、葛藤し続けて曲を作っていました。テーマソングは2日間、台本を繰り返し読みつつ、ひたすら考えて。監督がオーボエの音色を気に入ってくださったことから、道が開けた感じですね。
――小島さんはサウンドトラックの中で、「希望のテーマ」以外で印象に残っている曲は?
小島 「蓮のテーマ」も聴いていると頭の中で蓮のことが浮かんできて、とても好きです。あと「Change Myself」のオーケストラバージョン! 最初聴いたときはビックリしました。オリジナルとは全然違う雰囲気で、シリアスな場面でオーケストラバージョンが流れると「あれ、この曲『Change Myself』だよね?」と思いますし。サウンドトラックに収録されているのは19曲ですよね? 最初に40曲くらい作ったと聞くと全部の曲を聴きたくなります。
――富貴さんは放送をどんな風にご覧になってますか?
富貴 もう毎日泣きながら観ています。さっき笑っていたはずなのに、1分後には号泣、みたいな(笑)。昨年は、「たんぽぽ農場」の外で暮らす遙ちゃんからの視点でドラマが展開していきましたが、今年は「たんぽぽ農場」に住んでいる希望ちゃんの目線でドラマが描かれているので、罪を犯してしまった子供たちの苦しみとか悩みとかがさらに伝わってきて、グッとくるんですよね。
――ここで小島さんに“ムチャ振り”を一つ。富貴さんを「たんぽぽ農場」のメンバーに例えるとしたら?
小島 その質問、来ると思ってました!(笑) 由貴ちゃんです。由貴ちゃんほどではなくても、富貴さんって天真爛漫な方のような気がして。お会いしても「可愛らしくて、元気な方だな」という印象です。
富貴 残念ながら由貴ちゃんみたいに可愛くないですよ。多分、「たんぽぽ農場」のメンバーで言うなら、私は小春さんだと思いますよ(笑)。
――富貴さんは“たんぽぽ”男子チームで、誰が一番タイプですか?
富貴 大樹くんかな?
小島 すごく頼りになりますよね。大樹(松川尚瑠輝さん)くんは劇中だけでなく、現場でもみんなのことを引っ張ってくれてたんです。私もすごく助けてもらいました。
――小島さんの周りでは誰が一番人気ですか?
小島 うちのお母さんは真太郎の大ファンです。なんだか話が進むにつれ、真太郎人気が盛り上がっている気がします。
富貴 真太郎くんも確かに格好良いですよ。
小島 よく考えると、希望が大変なとき、いつも近くに真太郎がいてくれたんですよね。現場でもみんなから「蓮じゃなくて真太郎はどう?」と言われています(笑)。
富貴 希望ちゃんと真太郎くんは、それはそれでお似合いだから、この組み合わせもありかなって思いますけど(笑)
――ところで富貴さんにも“ムチャ振り”をしていいですか? 小島さんのことを楽器で例えていただけますか?
富貴 人を楽器で例えるなんてしたことないんですけど…。う~ん、クラリネット、ですかね。クラリネットって優しい音色ですが、音に芯の強さを感じさせるんです。音域も広くて、温かい音も出るし、高音だと可愛らしい音にもなります。特に低音が魅力的で、音楽の専門家も「他の楽器にはない音色」と言っています。小島さんは女優さんなので、いろんな面を持っていらっしゃると思います。なのでクラリネットです。
小島 すごくうれしいです。ありがとうございます!
――富貴さんは小島さんと会って、希望と重なる部分って感じますか?
富貴 明るいとことは一緒ですよね。でも希望ちゃんの影の部分は…?
小島 ないですね(笑)。私、“嫌なこと”って全然ないんですよ。基本、何事もおもしろく感じてしまうので。だから希望の“暗い部分”を表現するのは本当に難しいです。気を抜かずに希望のそういった面を演じることを心掛けています。
――富貴さんから小島さんにドラマのことで聞きたいことはありますか?
富貴 まずは希望ちゃんと蓮くんがどうなるのか。気になりますねー。
小島 人の気持ちの面では問題ないですけど…。でも物語の展開上、これからどうなって行くかというところですよね(笑)。“たんぽぽ”のメンバーを巻き込んで、希望には乗り越えなければいけない大きな壁が立ちはだかります。ラストに向けて、最大の山場がありますが、最後の最後まで展開はすごいことになります。
――富貴さんにぜひ聞きたいことがあったんですが、サントラの中でも異色の曲「MOMMOファンタジー」はどうやって生まれたのでしょうか?
小島 私もお会いしたら、そのことはぜひ聞きたいと思ってました!
富貴 “アキバのオタクの人が大好きな感じの曲”というオーダーをいただきまして、実は市野さん(プロデューサー)たちが、なぜかそういったジャンルの音楽にすごく詳しくて(笑)。いろいろアドバイスをいただきながら作りました。放送でこの曲が流れる場面を観ましたが、まるで本当に秋葉原のライブそのものだったので、ビックリしました。あのシーンはある意味、すごい迫力でしたよね。
――記者も取材に入りましたが、あの熱気と拓役の石田(愛希)さんが懸命に“オタ芸”をしていたのを今でも覚えてます。いや~、すごかったですよ。
小島 あの場面って、クランクインしてからそんなに経ってないときに撮ったんですよね。愛希くんが監督から「曲を覚えるくらいのつもりで頑張るように」と言われ、休憩中、控え室の隅でブツブツ言いながら、この曲を覚えてたんです。“たんぽぽ”のメンバーはみんな一緒の控え室だったから、すぐこの曲に反応して「拓、何やってるの?」と聞いたら「この曲を覚えなきゃいけないんだ!」とすごく必死で。愛希くんはすごく恥ずかしがり屋なんです。だから、「じゃあ、みんなで覚えようと」と言うことになったんですけど、あかり(西川茉佑さん)や純也(清水イブキさん)もすごく気に入っていたし、多分、愛希くんより他のメンバーのほが先に覚えてたんじゃないですかね(笑)
富貴 私にとってもこういった楽曲は初めての挑戦だったので、気に入っていただけたらうれしいです(笑)。
小島 愛希くんはダンスも本当に一生懸命練習してました。でもとにかく恥ずかしがり屋だから、ダンスをしているところをみんなに見られるのが嫌だったみたいです。一度、私がダンスの練習をしている場に居合わせてしまったら、次の日、目を合わせてくれなかったんですよ(笑)
――現在配信中のオリジナルサウンドトラックにはバラエティーに富んだいろいろなテイストの曲が入ってますが、皆さんに富貴さんからメッセージをお願います。
富貴 偏見に負けず頑張っている人って世の中にいっぱいいると思うんです。ドラマの中ではそんな人たちを象徴する存在である子供たちを、おっちゃんが壮絶な過去を抱えながら、優しく応援しています。そんな、それぞれの登場人物の気持ちを考えに考え抜いて音楽で表現しています。サントラを聴いて、ドラマを観て感じるのと同じ温かさが残ってくれたらうれしいです。また曲を聴いていただければ、数々の名場面もよみがえるはずです。どの曲も心を込めて作りました。ぜひ聴いていただきたいです。
小島 この対談中、ずっとサントラが流れてましたけど、本当にいろんなシーンを思い出しますね。実は何度も“ウルッ”と来ていたんです…(笑)