インタビュー

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小日向崑一 役 岡田浩暉 さん

2016.01.05

今回は崑一を30代から始まり、幅広い年齢を演じますね。
崑一には一貫して、常にそばに女性がいます。母のカオルコに始まり、元妻の世奈子や若き日の眞澄、今の妻・眞澄、それに娘たち。大黒柱のつもりでいますが、年齢を重ねながらも崑一が女性たちに振り回されて行く様を演じたいと思っています。
崑一を見ていると、女性に主導権を与えている気がします。
それはカオルコの影響だと思いますよ。あれだけ強烈な人でしたので(笑)。ああいう母親に育てられたら、どうしたって女性の顔色を見るようになっちゃいますよ。それに、崑一にとってはカオルコが女性の“原点”だから、同じようなタイプの世奈子に惹かれるのも分かるし、眞澄だって幼いぼたんを可愛がり、育てたいと言ってくれたから結婚を決意したけれど、一見大人しく見える彼女だって、中身は相当逞しいから(笑)。
改めて、崑一をどんな人物だと捉えていますか?
純粋ですよね、崑一は。多分、結婚するまでは大変なことを経験してこなかったと思うんです。だから挫折を知らない。ただ、世奈子と結婚した後は、試練続きでしたけど(笑)。幼少期から守られ育てられてきて、崑一は暗くしているより、明るいほうがいい。皆がハッピーでいることが自分の幸せ、と思っているんじゃないでしょうか。後のことは何も考えていなくて、計画性もあまりないけれど(笑)。

さらに女性に尽くして?
カオルコと暮らしてきて、崑一なりの女性の扱い方のスタイルができて、二人は、眞澄が入り込めないくらい濃厚な親子関係と言ってましたが、崑一はどこかで女性はみな自分の一部だと思っている気がします。エルビス・プレスリーもそうだったみたいですよ。お母さんの感情の起伏が非常に激しくて、それでもエルビスは母親をとても大切にしていたと記憶しています。だから、母親を亡くした後もエルビスは常に女性がそばにいてくれないと生きていけなかった。
そもそも崑一は、なぜ世奈子と結婚したと思いますか?どう考えても、世奈子とカオルコは合いませんよね?(笑)
求めちゃったんでしょうね、あの気性の激しさを(笑)。眞澄は崑一の家の事情を理解した上で、嫁いできてくれましたが、崑一の心の中にはまだ世奈子への未練があるんですよ。本当は別れたくなかった。出ていくのを止められはしなかったけれど。
眞澄にとっては、残酷な話ですね。
崑一を見ていると、眞澄より世奈子の優先順位のほうが2つくらい上だと思う。だから、心の底で頼りにしているのも、本音を話すのも眞澄でなく、世奈子な訳で。

そう考えると、そんな崑一の態度が数々の問題を起こしているような…。
崑一って罪作りな男だと思いますよ。問題、大いにありですよ。もっと地道に生きていたらよかったのに、なにしろ苦労知らずだから、色んなところが甘いんでしょうね。お父さんぶっているけれど、どこまで責任を持って取れるのだろうこの人はと思います、演じていても。
崑一のどんなところに注目してもらいたいですか?
崑一のことをいろいろ悪く言っちゃいましたけど、反面、あれだけ辛い出来事があっても、生きることを楽しもうとする強さを持っていることは分かるんです、優しいですし。世間離れというか、浮世離れしているところも含め、そうそう崑一みたいにはなれませんけど、『あんな風に生きられたら気楽でいいな』と思う男性の方がいたらいいんだけど。ま、実際は大変なのですが(笑)。ある種別次元での興味を持って崑一を見てもらえたら、うれしいですね。
岡田さんは中島丈博先生の作品は初出演とのことですが、ご感想は?
濃いですよ。とにかく中身が濃い(笑)。台本を読んで、役者は台本通りに演じることに集中すればいいと思いました。小手先で何かする必要がないほど、世界観が完成されているので。いまどき使わないような言い回しを意図的に使っていて、それもとても良いアクセントになっていますよね。計算しつくされた台本だと思います。

本作はまさに“愛憎劇”という言葉がピッタリですが、愛憎劇の魅力はどんなところだと思いますか?
作品の根底に、愛やLOVEがあると思われがちですけど、今回出演して思ったのは、愛憎劇は人情劇がより激しくなったものじゃないか、ということです。男と女の間に“情”があって、それが深いところで歯車が一つ狂ってしまうと、とんでもない方向に行ってしまうこともあります。特に、この作品は女性が主人公で、女性は愛に生きる生き物だと僕は思っているから、より激しくさまざまな感情が描かれてきます。さらに中島作品ですから、これはもう目が離せませんよね。
今回は強烈な女性陣に囲まれましたが、岡田さんの理想の“女性像”とは?
優しく、謙虚さのある正直な人かな(笑)。相手が優しいだけだと男って甘えて堕落しちゃうんですよ。でも基本は優しい人でしょうね。そこにちゃんと謙虚に正直に話のできる人。異性同士で分かりあえるなんて、間違いですから(笑)。どんな時もちゃんと言葉を尽くそうとしないと、いくつになっても本当の意味で関係を深めていくことは、今のご時世では無理でしょうね。世奈子みたいな女性もいいと思うんですが、彼女は正直ですが謙虚さがない(笑)。普段、当たりが強くても、要所要所で謙虚で正直に語ってくれたら、かえってグッと来るでしょうね。そうですね…。いろいろ言いましたが、大人しい人かな、やっぱり(笑)。
変な質問をしてすみませんでした(笑)。ところで物語は話が進むにつれ、実は崑一にも…。
当然、ただじゃ済まないですよ(笑)。台本で崑一に起こる出来事を読んで、僕も『来たな』と思いましたね(笑)。そこに向かっての、これまでの崑一だったんだ、と。具体的には言えませんが、崑一に何が待っているのかも、ぜひ楽しみにしていただきたいです。