インタビュー

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浅黄萌子 役 山口いづみ さん

2016.01.13

女優の役を演じるのはいかがですか? これまでにもご自身と同じ職業の人物を演じたことはあったのでしょうか?
女優を演じるのは初めてでしょうか。ただ、萌子が女優、女優していたのは第1週だけだったので。そのあと、バラエティ番組の『萌萌チャレンジ』なるコーナーでバッティングセンターに行きましたけど、“萌え”とか書いてあったんですよ(笑)。本当の私のキャラ的にはないことだし、いろんなことが出来るかも、と楽しみにしていたんです。結局、1回しかありませんでしたね(笑)。

萌子は登場したところで、女優業に全身全霊で打ち込んでいました。どんなイメージで演じましたか?
今、こういう雰囲気を持つ女優っていない気がしますね。子供がいることを隠して女優を続ける、なんていうのはまさに“昭和”だと思いました。
女優であり、母であり、ゆくゆくはヒロインたちの祖母になった萌子を演じる上で山口さんが大切にしたところは?
中島先生が最初、萌子はこれまでこの枠で演じてもらった役に比べて、よりいづみさんに近いキャラクターです、とおっしゃったんです。それで第1週の台本を読んだら、驚いてしまって。だって、萌子ってエキセントリックなところもあって、ちょっと“ヤバい系”だったでしょ(笑)。ただ、第2週以降は眞澄のセリフに『お母さんのノホホンとしたところに救われた』なんていうものもありましたけど、あまり深くものを考えず、のんきに描かれていたので、この作品の中での“なごみ系”なのかな、と。物語自体は中島先生が書かれるだけに、いろいろな事件がぼっ発していきますが、その中で萌子が登場するところは憩いの瞬間になれば、という気持ちで演じています。
山口さんは萌子のどんなところに親近感を抱いていますか?
女優として破天荒な部分もありますけど、眞澄を始め、家族の一人ひとりのことを中立な立場で見ている人物ですよね。視聴者の皆さんに近い人物、というところでしょうか。
その反面、物語の序盤で“火種”を作ったのは萌子でもありますよね。
眞澄が生んだ赤ちゃんを里子に出したところですか? その点に関して私は、『この子のために絶対良くない』という萌子の“親心”だと思っています。眞澄はもっと立派な大人になれるはずだから、高校生の分際で子供を生ませるわけにいかない、育てさせるわけにはいかない、と。表現としては過激だったかもしれませんが、母親なら誰でもそう思うのではないでしょうか。

女優である前に母親なんですね。
それは当然。世間にこの事実がバレたら女優としての立場が危うくなる可能性があるし、自分がこけたら家族の生活も破たんしてしまうわけですから、それだけは避けなくては、という気持ちもあったでしょうが。ただ、根本にあるのは母親として娘を守らなくては、という気持ちですね。中島先生のセリフからも、萌子のそんな思いを感じました。
萌子は何より女優という仕事を大切にしていると思っていました。
我が子は特別ですから。親は生んだ子供に対して責任があるし、我が子が立派な大人になるよう何らかの手助けをするものです。実際、女優の皆さんで子供のいる方は、表面上は仕事が第一というように振る舞っていても、心の底では子供のこと、家族のことをまず大切にしていると思いますよ。
第2週からは娘や孫を心配する心優しき女性として描かれています。萌子の変化をどう捉えていますか?
第1週は萌子も平常心ではいられなかった、ということです。眞澄と二人、大変な出来事を経験し、眞澄が結婚してからもいろいろと苦労する娘を助けてきたことでしょう。その中でより親子としての絆を深められ、良好な関係を築けてきたのはないでしょうか。
伊藤かずえさんにインタビューした際、萌子と眞澄は似た者親子だとおっしゃっていました。
そうですか(笑)。眞澄っていろんな出来事が起きるたび、感情を爆発させるのでなく、何事も耐え忍ぶタイプじゃないですか。それって、萌子のせいだと私は思っています。親子って親がものすごくおしゃべりだと、子供が無口になることもあって、その反対もしかりです。萌子は生まれっぱなしで、にぎやかだったため、眞澄はその反対の性格になってしまったんですよ。大人になってもそれが尾を引いて、耐えるばかりの人生になってしまったのは萌子の責任によるところも大きいと思いますね(笑)。

「新・牡丹と薔薇」という作品に対して、山口さんの感想は? ヒロインたちの姉妹愛についてはどう思いますか?
起きる出来事の数々と展開の仕方が、やっぱり中島先生ならではだな、と。ぼたんと美輪子の姉妹愛や、ぼたんを失った美輪子の富貴子への愛情は、普通の“姉妹愛”ではないかもしれない。いや、かなり危険かもしれません(笑)。現実離れしている気もしますけど、必ずしもないとは言い切れない説得力を持たせているのが、中島先生の凄さですよね。
山口さんはこの作品のどんなところを視聴者の皆さんに楽しんでもらいたいですか?
人間愛は人間愛だと思うんです。この作品で描かれていることって。表現としては過激ですよ。でもそれは、相手のことを思っての過激さです。形の違った人間愛を最後まで楽しんでいただきたいですね。
「赤い糸の女」や「天国の恋」など、山口さんはここ最近、中島作品に数多く出演されています。改めて中島作品の魅力とは?
人間の性がこれでもか、と描かれているところでしょうか。普段は隠している人間の汚い部分が表現されている。人間が誰しも持っている悪魔な面が描かれていて、見てくださる方からすると、『みんな、こういう悪魔のような気持ちってあるよね』『こんなセリフ、言ってみたいよね』と思うんじゃないですか。それとやっぱりセリフがすごい。だって、常識ある人なら言えないセリフばかりですし、表現も凡人には思いつかないものばかりで。『愛情の発露』というフレーズが出てきたときは、“発露”って? と思ってしまいました。普段、絶対使いませんから(笑)。