武内が梶間家に引っ越しの挨拶として贈った自家製のバウムクーヘン。いまだかつて、このドイツの伝統的なお菓子がこのドラマほど恐ろしく思えたことがあったでしょうか? 視聴者の皆様の中にも劇中に登場するのを楽しみにしてくださっている方がたくさんいらっしゃるご様子。そこで撮影現場でバウムクーヘンがどのように作られているのか、ご紹介します。
作っているのは、フードコーディネーターの都留沙矢香さん。数多くのテレビ番組に、フードコーディネーターや料理指導といった形で参加してきた都留さんですが、今回はあえて“バウムクーヘン指導”との肩書にしてもらったのだとか。
都留さんのレシピは、まさに研究に研究を重ねた独自のもの。仕事柄、ありとあらゆる料理やお菓子を作ってきたものの、さすがにバウムクーヘンをゼロから作るのは初めてのため、さまざまな資料や文献に目を通し、さらに販売している店舗を訪ね、いろいろと調べたそうです。
実際、どのようにバウムクーヘンが作られているかと言うと、写真の材料をご覧ください。
これだけのバター、これだけの砂糖を使うのかとビックリしてしまいました。
続いては、いよいよ生地焼きの行程。
ドラマの中で武内(ユースケ・サンタマリア)が「おいしくな~れ、おいしくな~れ、おいしくな~れ」と言いながら行っている、あれです。
日本では一般用にバウムクーヘン焼き器などが販売されておらず、都留さんは今回のために作ったコンロに火をつけ、数分かけて生地を温め、ユルくします。これは生地を焼き棒に付きやすくするため。棒も同様に何もつけていない状態でかるく熱し、生地が付きやすいようにします。ちなみにこの焼き棒は、ステンレス製の普通の棒なんだそうです。
まず、熱した棒に薄く生地を掛けます。するとものの数分で生地が焼け、ほんのり甘い匂いが漂ってきました。そこからは、生地を塗っては焼き、塗っては焼きの繰り返し。
この日は焼く作業に1時間ほどかかりました。
生地を焼く間、リズミカルに棒を回し続ける都留さん。この作業をかなり行ったため、何と指の指紋が薄くなってしまったそう。「最近、スマホがうまく作動しなくて」と笑いながら、教えてくださいました。
バウムクーヘンを焼く苦労はほかにも。撮影が始まった当初はまだ肌寒い時期で、機械が外にあったため、なかなか生地が固まらなかったそうです。さらに武内が作るのは、プロ顔負けのもの。そこに、どんなことにも手を抜かない武内の性格が表れるので、一つ一つの作業を慎重かつ丁寧に行ったと言います。
ところで、バウムクーヘン作りに興味を持たれた方が、誰でも手軽に作ることができるのかというと、都留さんからは「簡単ではありません」とのお答えが。生地が大量に必要ですし、焼く機械も自作しなければなりません。やはりプロならではの技術と言えそうです。皆様が行う場合は、専門家の指導の下、特に安全面に留意してくださいね。
バウムクーヘン作りを見て記者が感じたのは、とにかく手間と時間が必要だということ。材料費もかなりかかりますし、都留さんいわく、どんなに頑張っても1日に作れるのは5本が限度だそうです。記者がもう一つ思ったことがあります。「なぜ武内はバウムクーヘン作りを始めたのだろうか?」。もしそれを武内に聞くことが出来たのなら、武内は何と答えるのでしょうか…。
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