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2024.2.16

★「おっパン」は葛藤と波乱の第3ステージへ!
★繊細な翔を演じる城桧吏 「家族」におけるアップデート
車椅子ユーザー俳優も出演!当事者キャスティングの現実 対談インタビュー
「おっパン」撮影現場から見たドラマ業界のアップデートとは!?

昭和のおっさん・沖田誠(原田泰造)と共に登場人物全員が価値観をアップデートしていくハートフルなホームコメディ「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」。前回の放送では妻として、母として支える美香(富田靖子)の感情が爆発し、しかしそれが家族の団結に繋がるきっかけとなり、翔(城桧吏)を含む4人で食卓を囲む感動の結果となった沖田家。一歩ずつアップデートを続ける沖田家にSNS上でも「美香の気持ちにすごく共感できる」「家族4人で食卓囲む日が来るなんて泣けた」「今回は神回だ」などの声が続出!しかし一方で大地(中島颯太)と円(東啓介)の葛藤に切なくなったり、誠のオフィスで新たに昭和気質の最強偏屈男・古池(渡辺哲)が現れたりで波乱の予感が漂う「おっパン」の今後に注目が集まる。

あす17日に放送される第7話では…引きこもりがちだった翔は遂にやりたいことを見つけ前向きに歩み始める。一方、誠の職場である銀杏事務機器リースでは偏屈な昭和男・古池正則が不適切発言を連発し大混乱を招く…。誠がある気付きを得る第1ステージ、家族と向き合う第2ステージを経て、第3ステージに突入した「おっパン」は果たしてどんな展開へとなっていくのか!?

繊細な翔と誠のアップデートは1歩ずつ 第7話 注目シーン

「メイクの勉強がしたい」とやりたいことを見つけ学校にも前向きに通い出した翔。ある日、同級生の男の子や女の子と仲良く話している翔の姿を目撃した誠は、翔がその子たちに好意を寄せていると思い何気なく言葉をかける。
「父さんは、翔が誰を好きでもいいと思う」
しかし、その言葉に翔は…

「どうして・・・どうして誰かと仲良くしてると、すぐに好きとか、付き合ってるとか考えるの?」
「僕はただ一緒にいたい人と一緒にいて、話をしたりいろんなことを教えてもらったりしたいだけなのに」

誠の勘違い発言に思わず言い返す翔。
誠は自分がまだまだアップデート半ばであることを痛感することに。

自分自身に悩み、とても繊細な心情を抱えた翔だが、演じる城は実際の家族との関係はどんな感じなのか?
城が家族からかけられて心に残っている言葉は何か、聞いてみた。

 最近、「スマホばかり見ているなら弟のことを見てあげて」と母に言われてハッとしました。
幼い弟と何かできる時間は今しかないので大切にしたいなと。その言葉を母に言われてからは、弟に「遊んで」と言われたら遊びますし、弟に宿題を教えてあげたり、答えの丸つけもしてあげています。
今では、弟や家族との時間は限られているものだと思って大切にしています。

実際の家族とは、とてもコミュニケーションを取っている城。
「おっパン」の影響もあったのか、実生活でもアップデート中!?

萌の友人役として車椅子ユーザー俳優が出演。
ドラマ業界のアップデートを促す当事者キャスティングの現実とは?

今作では古池をはじめ原作にはないドラマオリジナルキャラが登場している「おっパン」だが、その一人が車椅子ユーザーとして第2話などにも登場している萌(大原梓)の大学の友人。
演じたのは自身も車椅子ユーザーの俳優・田﨑花歩だ。
「作り物ではない、日常と地続きの物語を作りたい」と制作陣と脚本の藤井清美がオファーしたという。
障がいがある役を当事者が演じる、いわゆる当事者キャスティングは海外では一般的になってきているが、日本ではまだまだ浸透しているとは言いがたい現状について、田﨑とドラマプロデューサーである松本圭右に話を聞いた。

田﨑花歩

障がい者専門芸能事務所「アクセシビューティーマネジメント」に所属する俳優・モデル・タレント。
両下肢機能障がいを持ち、幼い頃から車椅子ユーザー。

ドラマの中で障がいや車椅子であることに触れない
ということが当たり前の学校生活の一部になれた気がしました。

ドラマのオファーを受けた時のご感想、および内容に関してのご感想をお願いします。

田﨑 このドラマのお話をいただいた時、日常的な学校のシーンで車椅子ユーザーの私が演じさせていただけるということが、すごく嬉しかったです。ドラマの中で障がいについて触れない、車椅子であることに触れないということが、当たり前の学校生活の一部になれた気がしました。また全体の内容も誠が凝り固まっている古い価値観を家族のためや周りのために前向きに変えていき、さらに楽しさや希望を見つけているところがとても素敵だなと思いました。

松本 田﨑さんが演じた役は原作には登場しないキャラクターです。作られたドラマの世界ではない、日常と地続きの世界を描きたいと脚本家の藤井(清美)さんと相談しながら作りました。そして田﨑さんに出演オファーしようとなりました。
田﨑さんに質問なのですが、海外では、当事者キャスティングというのはどんどん進んでいるのに、なぜ日本では進まないと思いますか?

田﨑 そういう機会がとても少ないというのはもちろんありますが、実際、当事者の俳優さん自体も少ないというのが大きな要因じゃないかと思っています。私は幼い頃から、お芝居や演劇を見ることが大好きでしたが、自分が出演できるものだとは1回も思ったことがありませんでした。それは私が車椅子を利用しているからというのもあるんですが、俳優というのは健常者がやるものというイメージが強く、健常者しかできないと最初から諦めていて自分の人生の選択肢に役者やタレントいうものはありませんでした。もしも実際に当事者キャスティングというものを見ていたら子供ながらにやりたい、私もできるかもと思っていたと思います。

松本 僕も似たようなことを感じていて、いざキャスティングとなった時に当事者俳優の方の絶対数が少ないんですよね。どのキャスティングも演技力やキャラクター、見てもらいたい層のファンが多いなど色々な要素を考慮して出演者を選んでいる中で、絶対数が少ないと言うのは大きな要因の一つだと思います。ただ俳優になるという夢すら見ることができなかったという言葉は重いです。そこは圧倒的にこれまでの制作側の責任なので。田﨑さんにはどんどんこれからの人たちのためにも活躍してほしいと思います!

田﨑 そうですね。本当に頑張りたいです!

バリアフリー化も「観る側」の方だけで止まっている・・・

松本 ちなみに事務所に入ったのはどういった経緯だったんですか?

田﨑 元々、私はユニバーサルデザインやバリアフリーということを広めたくて今の事務所に入りました。
どうしても福祉というと固いイメージがありますが、エンターテイメントなら誰もが見てくれるので、そこでこういう人がいるんだな、バリアフリーってこういうのがあるんだな、ユニバーサルデザインってあるんだなというのを知ってもらいたいと思いました。社会を変えるきっかけになればいいなということだけで、この世界に飛び込みました。飛び込んだ後に俳優という道があったということで、将来的にはモデルも役者も色々なことができたらいいなと思って挑戦し続けています。

松本 今後、こんな役をやりたいというのはありますか?

田﨑 いただける役をしっかり演じたいという気持ちはありますが…やりたい役と言われるとなかなか出てこない…。夢としてはドラマに出る以外に舞台にも出てみたいです。私が憧れていた場所というのもありますが、どうしても私のイメージだと舞台裏は階段がいっぱいあるイメージで…。そういうところをどうにか乗り越えて舞台にも出てみたいなと思っています。

松本 最近スタッフとも話していて、学校など公共の施設がどんどん建て替えられてバリアフリー化が進んでいますが、芸術関係の現場でももっと進めた方がいいということですよね?「観る側」の方だけで止まっているというか……。

田﨑 私の母校では舞台裏にスロープがあって、中学・高校時代に車椅子でスロープを上って人前で話す機会がありました。全てをバリアフリーにするのは時間もお金もかかってしまうと思いますので、そういうちょっとした所からでもやっていただけると本当にありがたいなと思います。

今回、田﨑さんの撮影をするにあたりバリアフリー化など気をつけたところはあったんですか?

松本 今回のロケ場所は大学ということで、すでにバリアフリー化されていたためバリアフリーマップをお渡しするくらいでした。むしろ特別な配慮はせず、通常の現場に来ていただき、我々に何が必要なのかを確認したいと思っていました。今日の撮影でもちょっと大変なのかなと思っていましたが、想像していたよりも特別なことではないとわかったことが一番の収穫でした。ただ、今回がたまたまそうだっただけかもしれず、何が大変なのかというのは2回、3回とやっていかないとわからないのかなと思います。

なるほど。まずはやってみることが大事ということですね。今回の現場の雰囲気はいかがでしたか?

田﨑 本当に楽しかったというのが一番の感想です。共演したキャストの皆さんがとても明るくて色々お話をしてくださったので、自分が大学に通っている時の雰囲気や気持ちになりました。それこそ車椅子ユーザーということで最初びっくりされちゃうのかなと思いましたが、すぐに会話に入ることができて、それがすごく嬉しかったです。最初の撮影が萌の描いた漫画を見せてもらうシーンだったので、本当に素直に楽しく「きゃ〜」という、そのままの感情が出せたかなと思っています。

「田﨑がいることでみんなの優しさを引き出してくれる」という
嬉しい言葉をいただいたことがあります。

撮影では監督とどんなことを話されたんですか?

田﨑 監督が色々と気遣っていただいて本当にありがたかったです。「障がい」を題材とした作品以外に出演するというのはなかなかないことで、今回は本当にリアルな車椅子ユーザーの大学生として、例えば並んで歩くときは少し前を歩いてもらった方がいいですとか、私はこういう風にやってきたという経験を監督にお話しました。そういう面ではリアルな車椅子ユーザーの生活らしさを見せられたかなと思います。

松本 細かいところになりますが、緩んでいた靴紐をスタッフさんが直していましたけど、普段はどうされているんですか?

田﨑 私は自分でやります。私は結構動ける方で、自分で物を拾ったりもできますが、それでも高校生の頃は自分で取れない物は友達に取ってもらったりとか、みんなが協力してくれました。当時、担任の先生から「田﨑がクラスにいることでみんなの優しさを引き出してくれる」という嬉しい言葉をいただいたことがあります。そういう当事者がいるから「やってあげよう」と自然と出るようになったと言われたことがとても嬉しかったです。

松本 それは今回の現場でも同じだと思いました。現場の人たちが優しくなっているというか、単純に他人の気持ちに寄り添ってちょっと気にかけるだけで、いろいろな作業がものすごくスムーズに進んでいるなと。

今日だけでも撮影現場が少しアップデートしたってことですね!

諦めなくてもいい社会というのを私は作りたい

ちなみに、このドラマは“アップデート”という言葉が一つのキーワードになっていますが、最近田﨑さんが周りに対してここをアップデートすればいいのに!と思ったことはありますか?

田﨑 私は今、車椅子ユーザーに向けたウェディングドレスについて大学院で研究しています。
車椅子ユーザーがウェディングドレスを着る姿というのは一般的にあまりイメージできない、またはちょっと障がい者の恋愛は触れにくいというイメージがあるのではないかと思っています。乗り越える壁というのはたくさんあると思いますが、そういう壁の先にウェディングドレスという存在もあると思います。障がいがあるから結婚できないとか恋愛できないとか、結婚式でウェディングドレスを着たいけど着られないとか、そういうのを諦めないでほしい。諦めなくてもいい社会というのを私は作りたいと思って研究しています。

諦めなくてもいい社会、良い言葉ですね!ありがとうございました!

田﨑氏演じる萌の友人は最終話となる第11話にも登場予定だという。
アップデートをテーマに現場でもアップデートを試行錯誤中の「おっパン」。
しかしあす放送の第7話では、逆に「諦め」を感じさせるセリフが出てくる…。
田舎の両親にカミングアウトできておらず、社会の窮屈さに苦しむ大地の恋人・円(東啓介)のセリフだ。
「俺たちは何かは諦めないといけないのかもな」
はたして、「おっパン」では諦めなくてもいい社会はやってくるのか!?
難しい現実に直面し、悩んだり葛藤したりしながら、それぞれの物語がさらに動き出す「おっパン」ステージ3を見逃すな!

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