足を滑らせると、そのまま滑落してしまいそうなほど急な
山の斜面。
モミジ、コナラ、ケヤキ等の広葉樹を植林し、
手入れしているエリアです。
三重県紀北町三浦湾からおよそ7キロ離れた山。
今回、スーパーニュース「森は生きている」の取材で
訪ねました。
あたりは木々が生い茂り、
一見豊かな森に見えるのですが...
よく見てみると、スギやヒノキなどの針葉樹ばかり...
森の中には光が当たらず、真っ暗でした。
そんな森の中で一際目を引くこの一角。
植林がおこなわれているエリアの周りは柵で囲まれ、
このような立て看板が...
読んでみると...
「山に木を植える活動を通して、
豊かな海の再生を目指します」
実はこの植林活動を行っているのは...
林業に携わる人でもなく...
森林組合の人でもなく...
山の持ち主でもなく...
漁師なんです!!
こちらが植林をしている、紀北町の漁師・中野さん。
紀北町の三浦湾近くで民宿を営みながら、漁師をしています。
中野さんは、亡くなったお父さんの意思を継いで、
15年前から約3000本の植林をしてきました。
何故海の漁師が山に木を植えるのか!?
とても逆説的に思われる方もいるかもしれませんが...
実は、広葉樹の落ち葉などで育まれる山の表面の腐植土層。
そのなかにフルボ酸鉄という物質が含まれていて...
このフルボ酸鉄が川を通って海に流れていきます
このフルボ酸鉄は...
海の植物プランクトンにとって必要な栄養素で、
フルボ酸鉄の供給量が多いほど、
植物プランクトンが増え...
それを食べる動物プランクトンも増え...
さらにそれを食べる小魚、大型の魚も増え...
海全体の生物量が豊かになって、
豊かな漁場を育むことにつながっていきます...
そのため、漁師の中野さんが山に木を植えているんです。
こういった「漁師が山に気を植える」活動は、
全国各地で行われていて拡大傾向です。
今後、海の環境を守るためにも、
ますます森を守ることへの注目が高くなっていくと
思われます。