- 今回、連ドラに主演するのは9年ぶりとのことですね。
- こうしてまた主演の話が来ることに驚きましたが、こういうオファーをいただける自分もなかなかのものじゃないか、と多少は思っています(笑)。主人公を演じられるのはとても名誉なことですけど、今回は武内という人物も物語も魅力的だったので、主演ということを抜きにしても、この作品に参加したいと思ったのが、何よりです。
- 事前発表のコメントでは、武内は今の自分を100%ぶつけられる役とのことですが。
- このところ自分なりに心地良いペースで仕事をしてきたので、いきなり嵐の中に投げ込まれたようなスケジュールを送っています(笑)。心身ともにフルパワーで立ち向かわないと、演じられないですね。
- 武内はとても興味深い人間だと思います。
- 最近、多いんですよ。普通の人の感覚からすれば異常というか、サイコパスとでも言うべくキャラクターを演じることが。でも、異常な役を演じている感覚はないです。武内も、本人からすればそれが普通。だから他の人から見れば異常であり、怖いのだろうし。自覚がないからこその怖さ、ですよね。さらに武内は周りの人に相容れなくて、それゆえ寂しく、孤独で哀愁も感じさせます。もう少し若い頃だったら、武内のそういう面は出せなった気がします。まあ、僕は若い頃から『哀愁がありますね』なんて言われてましたけど(笑)。今は年相応の、無理に出そうとしなくても出てくる重みや、以前は持ちえなかった色気っていうものがあると信じ、変に“盛って”演じるのは止めています。
- 武内のどんなところを大切にして、演じていますか?
- どの役も演じるのは僕であって、顔つきから声まで作品ごとに変えるのは無理な話。毎回、物語も違うし、役も違うし、住んでいる場所も違います。作品ごとに次元が違うので、『ここを大切にして』ということはあまり意識しないようにしています。最近、サイコパスな役を演じることが多いと話しましたが、いっそのことパラレルワールドとして、以前演じた役と繋がりがあるぐらいの感覚のほうがおもしろいかも、と思っているんです。それが活かされるなら、という前提があってですけど、前の役の口調を真似たり、口癖を入れてみたり。気づいてくれる方がいて、『おもしろいことやっているな』と思ってくださるのならうれしいですし、その役をより良くするため、自分に出来ることを最大限しているつもりです。
- 「あの作品のあのサイコパスの次のターゲットが…」と考えると、怖いですね。
- 生霊みたいなものが、す~っと乗り移ったような。そんな感じでもいいのかな、と。
- 「探偵の探偵」で演じられていた人物も武内同様に不気味でした。そういう役におもしろみは感じますか?
- 意識的にそういう役を選んではいませんが、お話しをいただくと『おもしろそうだな』とは思います。そもそも普通の役のほうが難しいですよ。極論ですけど変な役のほうが、うわ~って演じればいいので、演じやすいと言えるかもしれません。でもそれじゃあつまらないから、変な役や癖のある役のときは出来るだけ普通に演じるようにしています。
- 今回も?
- なるべく怪しいでしょ、怖いでしょ、にならないように。普通な感じでやっています
- ユースケさんの中で、武内を掴めている感覚はありますか?
- 僕の中にある武内を探して演じているだけですね。結局、演じるのは僕だから。そこから逃げようがありません。役になり切るというより、僕の出来る範囲で演じるしかなくて、『火の粉』でのユースケが演じる武内はこういう感じです、ということです
- “演じる”という意味では、武内も常に演じているのでしょうか?
- 逆に演じていないと思いますよ。策略もめぐらしていないし、常に本気。本気でよろこび、本気で腹立てて。彼の行動の数々はそれが高じて、ということだと思います。
- ユースケさんはかつて、ドラマ「アルジャーノンに花束を」で純粋無垢な青年を演じていました。ある意味、武内も前作の役に近い部分があるのでしょうか?
- 近いと思ったんですよ。全然違う話ですけど、質感や残るものが。それも、この作品に惹かれた理由の一つです。愛情に飢えているところや、相容れない人間というのは、共通していますよね。そういう人間を演じるの、燃えます。ちょっと孤独な人って魅力を感じるし、好きな役でもあります。
- 視聴者の皆さんにも武内を受け入れてほしい、と?
- 強要はしませんが、愛してほしいとは思います。『何となく、武内みたいな部分ってあるよね』と思ってもらえたら、うれしいです。どの役も演じる自分が一番好きじゃなきゃいけないし、その人物に幸せになってもらいたいんですよね。嫌な奴なら嫌な奴なりに、巨悪なら巨悪なりに、悪いけれど引き付けられるように演じたいし、僕が演じる以上『ちゃんと華を持たせてやるからな!』と思います。『一緒に頑張ろうな!』と言う感じ。武内も好きですよ。やっていることは異常ですが、最初から好きになれました。
- この作品は「オトナの土ドラ」の第1弾になります。最初の作品を担う感想は?
- 前例がないので、肩に変な力が入ることなくやれています。新しいことへのチャレンジ、という気持ちで。今回はありがたいことに、作品がとても魅力的だし、台本もおもしろい。その良さを倍増させたいですね。あまり自信はないですけど(笑)、自信がないことも強みだと思います。臆病だからこそ、土壇場でものすごい力を発揮することもありますから。怖がり出したらキリがないし、かと言ってハッタリかまして演じるのも違う気がして。プレッシャーに感じ過ぎると潰れてしまうし、無責任過ぎると緊張感がなくなってしまう。いろいろ大変ですけど、そのあたりのバランスも以前よりは取れていると思います。
- 優香さんとの共演の感想を聞かせてください。
- 気持ちが良くて、明確な芝居をしますね。パワー全開でストレートに演じていて、僕はそういう人、好きです。役的に僕がもごもごしゃべるので、優香さんとの場面ではお互いが際立つと思います。すごくありがたい存在ですね。
- 最後に冒頭の見どころを聞かせてください。
- 最近、ちょっとないくらい面白い作品だと思います。昼ドラのイメージってあると思いますが、今回それが深い時間に来ます。昼ドラのテイストが装いも新たに、週一で土曜の深夜にどう受け継がれ、展開していくのか。興味深く見てもらえるはずです。それと僕が9年ぶりに連ドラ主演ということで、若い人に僕がどれだけ魅力的な芝居をするのか知って欲しいですね。ビックリして、人気が爆発してほしい。大ブレイクを狙います。と、後半のコメントは(笑)を付けてください。
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