- 俊郎について、どう思いますか?
- まず、実家で甘えてちゃダメですよね(笑)。現場でも雪見がなぜ俊郎みたいな男を選んだのか、とよく話をしています。意外だったのは第1話の放送後、『意外と優しそうで、良い夫っぽかった』と周りから言われたんです。話が進むにつれ、俊郎のダメな部分、情けない部分が描かれていくので、最初に好印象を持ってもらえたとしたら、そこからの落差が出るので良かったな、と思っています。
- どこか憎めない部分もあると思います。
- 作品の中でユースケ(・サンタマリア)さんも優香さんも伊武(雅刀)さんも緊張感のあるお芝居をしているので、俊郎の存在が少しでも異色のものになれているのなら、うれしいですね。
- なぜ、俊郎は危険な匂いのする武内を慕っているのでしょうか?
- 武内って俊郎にしてみれば、自分のないものを全部持っている人だと思うんです。そして俊郎は“欲しがり”だから、武内から与えられるお金とか洋服とかを喜んで受け取ってしまうんですよね。演じていて感じるのは、俊郎は武内に起きた過去とか、にじみ出る悲哀とか、そんなものにまで憧れて欲している気がして。あまりに俊郎は苦労知らずだし、30半ばでそんなことを望むなんて、ちょっと“痛い”ですよね。
- 武内を演じるユースケさんの印象を聞かせてください。
- もともと今回、このお話しをいただいた時点で、詳しい内容を聞く前に、『ユースケさん主演のサスペンスドラマ』ということだけうかがったんです。その時点で、『やりたいです』と伝えました。ユースケさんとは20年以上前からのお付き合いで、何度か仕事で一緒になることがありましたけど、武内みたいな役って合うなぁと思っています。世間一般の皆さんが“ユースケ・サンタマリア”という俳優に対して、どんなイメージを持っているか分かりませんが、武内の持つ異常性を的確に演じているし、それはこれまでいろいろな経験をしてきたユースケさんだからこそ、出せるものだと思います。
- 俊郎を演じる上で大切にしていることは?
- もともと原作だと30代になったばかりなんですよね。自分の実年齢より低い役なので、最初に監督さんから『俊郎のキャラクターを少しアレンジしますか?』と言われたんです。そこで、とりあえず台本のまま演じたら、『何だか、いいですね。そのままで』となりまして。40歳を過ぎているのに、俊郎のちゃらんぽらんな感じを自然に出せていることが、良いことなのか、悪いことなのか、自分には分からないです(笑)
- では、大倉さんご自身に、俊郎に共感する部分はあるのでしょうか?
- あまり先のことを考えていないタイプだと、人から言われることがあるんですよ。意識してないですけど、僕のそういう部分が俊郎ににじみ出ているのかも…(笑)
- では、俊郎の見どころは?
- そのダメっぷりですね(笑)。家族に俊郎みたいな者がいたら、『世間をなめるものいい加減にしろ。ふざけるなよ!』と苛立つんじゃないでしょうか。それでいいと思っています。今回の俊郎の役回り、ポジションとして、彼の良い部分を出そうとはしていませんので。
- これから梶間家が大変な状況になっていく中で、俊郎は俊郎なりに成長するのでは?
- どうでしょう(笑)。もしかしたら、自分の置かれた立場を自覚して、良いところを見せるかもしれませんが…。でも、最後まで『ダメな奴だな』でも、それもまた人の真理が描かれているような気がします。
- 大倉さんは、梶間家をどう思いますか? 武内との出会いによって、各々が抱えているものがどんどん露呈していますが。
- 家族だから同じ価値観だとか、分かり合えるだとかいうことはあるはずがないので、どの家族だって梶間家に似た部分があるのではないでしょうか。この一家に起きる出来事はいろいろデフォルメされていますが、家族の形としてはリアルですよね。
- 優香さんも、人間をとてもリアルに描いている作品だとおっしゃっていました。その一方で、物語が深刻になればなるほど、人間のおかしみを感じます、とも。
- よくそのことを皆で話しています。梶間家の人たちって大真面目だけれど、傍から見ると、おかしいんですよ。俊郎が司法試験の勉強を始めて、うまくいかず雪見に当たる場面があったんです。『家族のために頑張っているんだよ!』と。その考えがどこから来るかと思いますね(笑)
- ところでもし、大倉さんが梶間家のように、突然大変な状況に置かれたらどうしますか?
- きっと周りに助けを求めるでしょうね。『今、大変なんだよ』って。それでどうにかして、トラブルから抜け出そうともがきます。きっと。
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