チェーンソー1本で丸太を削り、体長4メートルの恐竜から、躍動感あふれるウミガメまで、木に命を吹き込む岐阜県関市の28歳のアーティストが注目を浴びています。木の良さを知ってもらって、「地元木材の価値を高めていきたい」と話します。
最終的な目標は世界チャンピオン。チェーンソー1本で木に命を吹き込み続けます。
■大小のチェーンソーを使いわけ…たった30分でキャラクター完成
この日、岐阜県関市のチェーンソーアーティスト丹羽哲士さん(28)さんが作ったのは、クワガタの幼虫です。
丹羽さん:
「気持ち悪いものを作るのが大好きなんです。誰も作ってないんじゃないかと思って」
丹羽さんにクマのキャラクターの製作を依頼してみました。まずは大きめのチェーンソーで大まかな形を切り出すと、次は小さなチェーンソーを使い、細かい部分を整えます。丹羽さんは大小6種類のチェーンソーを巧みに使い分け、丸太を削っていきます。
丹羽さん:
「チェーンソーは作りたいものをすぐに反映できる、そこが一番の魅力ですかね」
自分の思いがどんどん形になっていくのが気持ちいいと話す丹羽さん。たった30分でクマのキャラクターは完成しました。
■ネットで海外の作品見てハマる…脱サラしプロのアーティストに
8年前、サラリーマンだった丹羽さんは、インターネットで海外のチェーンソーアーティストの作品を見て、その魅力にどっぷりハマりました。早速チェーンソーを購入して作品作りを始めましたが、最初は全くうまくできなかったといいます。
丹羽さん:
「最初買ったチェーンソーもいい値段して…。一個でも作品作れるようになってチェーンソー代くらいは稼ぎたいと…」
作品作りにのめりこんでいった丹羽さんは、徐々に上達し、25歳のとき全国大会で優勝し、その後も連覇。去年、会社を立ち上げて、プロのアーティストとして活動を始めました。
■製作過程をYouTubeで配信…『鬼滅の刃』炎柱・煉獄杏寿郎もリアルに
丹羽さんは不定期でYouTubeに作品の製作過程を配信しています。その動画の中で作っていたのは、アニメ「鬼滅の刃」の炎柱・煉獄杏寿郎です。
丹羽さんの作品はとにかくリアル。4mの丸太を使った恐竜「ラプトル」は、凶暴な目つきに、歯の一本一本、筋肉や皮膚の凹凸までとてもリアルで、今にも動き出しそうです。
作品を見た男性:
「チェーンソーでこれだけ繊細なものができるのは、凄いテクニックだなって思います」
別の男性:
「動きがすごくあるので、どうやって彫っているのか興味があります」
■寺に奉納した力強い牛の彫刻に込めた祈り「コロナを終息させたい」
岐阜県最古の寺、日龍峯寺。ここに丹羽さんの作品があります。去年、丹羽さんは力強い牛の彫刻を奉納。コロナ撃退の祈りを込めました。
日龍峯寺の住職:
「コロナを終息させたい気持ちが、筋肉質な牛になっていると思います」
丹羽さんは、「木と触れ合う機会が少なくなっている今、木の良さを発信し、地元木材の価値を高めていきたい」と話します。
最終的な目標は世界チャンピオン。チェーンソー1本で木に命を吹き込み続けます。