とげ 『小市民 倉永晴之の逆襲』

毎週土曜日よる11時40分

インタビュー

長田孝治役 西村和彦

10月18日

台本を読まれての感想をお願いいたします。

 シーンの数が少ない分、1つ1つのシーンが長いと思いました。ということは、それだけ内容が濃いんだ、ということを言いたいですね。また、1つのシーンが長いということは、それだけお芝居をちゃんと見せないとドラマは成り立たないですし、シーンの中での展開が多いのは、視聴者の方に見ごたえを持っていただけるのではと思っています。

長田という人物像での新たな発見、共感できることがあったら教えてください。

 今回のドラマは、全ての役柄の人たちが非常に人間くさいんです。表の顔と裏の顔があって、仕事の顔、家庭の顔など、複数の顔があるというのを1人1人描いていると思います。ただ、長田に関してはプライベートが全然見えてこないので、回を重ねるごとに、結局、この人は誰の味方でもないのかな? と(苦笑)。最初の段階では長田は本当に市政改革のことを考えている人だと思いましたが、今では少し愉快犯的なイメージも僕の中では芽生えてきていて、役者としてこの役をクリエイトすることに対して、久々に難しさを感じています。長田が出るシーンは倉永との長いシーンが多いので、そこで長田の思想というのをセリフや振る舞いで、台本に忠実に再現していきたいと思っています。

印象に残っているシーンを教えてください。

 倉永と常磐市長が直接対面するシーン(第3話)は、序盤のドラマの一番の盛り上がりになったと思います。市長と倉永を見て、周りの人間がどんな風に思い画策していき、今後どう行動を起こすのかということが起点になる話で、物語のターニングポイントになったシーンだったと思います。

倉永を常磐市長の場に連れて行ったのは長田でした。

 そのあたりも長田の性格の難しいところで、機転を利かせて倉永を常磐市長の所に連れて行ったのか、何かの画策を持って倉永を連れて行ったのかは、台本も非常にぼやっと書かれていました。つかみどころのない男ですね(笑)。

西村さんはどちらかといえば、巻き込む方? それとも巻き込まれる方ですか?

 巻き込まれてる方は巻き込まれているという感覚がありますが、巻き込んでる方は意外に感覚がなく、熱量があって突っ走っている人に多いのかなと思います。だから巻き込んでやろうと思ってやっている人は意外と少ないと僕は思いますね。

常磐市長みたいな人を巻き込み型と言ってもいいのでしょうか。

 そうかもしれないですね。ちなみに鹿賀さんが演じられている常磐市長のことを僕は悪人じゃないと思っていて、ここに出てくる登場人物の中ではとてもピュアな人間だと思いました。この作品の中で悪い事をしようと思ってやっている人は誰もいないのではないかなと思います。普段の生活の中に見え隠れする、本来なら隠さなくてはいけないようなものがドラマの中で描かれているだけで、みんな人間が持っている感情だと思います。

西村さんのストレス解消法は?

 ハンドボールです。今いろんなチームに所属させていただいていて、時間があれば練習と試合を繰り返しています。体を動かすことが大好きなんでしょうね。動いて吸収するタイプだと思います。台本を読むときも動いていないと頭に入らなくて、歩きながら覚えることも多いです。

西村さん演じる長田から見た見どころ、そしてドラマ全体像として視聴者の方にこのように見ると楽しめるなど、メッセージをお願いいたします。

 全体的には、自分が持っている道徳や背徳感とかそういうものがごちゃ混ぜになっているドラマで、次の日に会社に行きたくなくなる…かもしれないですし、もしかしたら自分の仕事ぶりや、会社を改革してみようというバイタリティが出るかもしれないです。それは今その人が置かれている状況によってそれぞれだと思うんです。ということは、視聴者の方がいろいろな感情を持って見ていただける作品だと思います。今回のドラマは1人1人のキャラクターが詳しく色濃く書かれていますが、その中でも長田孝治というつかみどころのない人物像をどんな風に視聴者の方々に伝えられるか四苦八苦してやっていますので、そこを見てもらえたら嬉しいです。

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