常磐栄太役 鹿賀丈史
10月20日
あらためて、台本を読まれての率直な感想をお願いします。
タイトル通り、小市民、一係長の倉永晴之が主人公ですが、そういう人が持つこの社会の仕組みのおかしさや人間関係のおかしさへの想いと内に秘めた力が爆発して、それが逆襲という言葉に結びついていると思います。その辺がやはり一番の見どころでありますし、視聴者の皆さんもスカッとするところもあるかと思います。
常磐市長がいるからこそ、物語の展開が華やかになるように感じます。
一係長が最終的に市長の僕の所に来て逆襲が始まっていきますが、倉永は相当激しくて、内に秘めた物が全部爆発するシーンは本当におもしろいですよ。
常磐を演じる上で大切にされていることはありますか?
スタンドプレーの大好きな市長ですので、だいたいこういう人は声が大きいかなと思います(笑)。なので、役作りというよりは、政治家として人をひきつける魅力にもつながりますから、その辺は役作りをする上で声を張ろうと心がけてはいます。
常磐市長は、政治力があり、パフォーマンス力もある人に見えます。
でも、それが本当に市民のためになっているのかというと、常磐は少し勘違いしている部分もありそうですね。自分は市民のためにとか、市民の幸福とか言うのですが…。高層マンションやレジャー施設を作るなど、そういった常磐のパフォーマンスも決して悪いことではないですが、本当に人が住む幸せなどそういうことを考えたら、僕はこの市長はどうかなって(笑)。でも、どの世界にもよくある話ではないかと思います。
印象に残っているシーンをお願いします。
倉永と一対一で対峙するシーンが楽しかったですね。常磐の弱点ですが、酒を飲むとその気になってしまって、全部をばらしてしまうという性格が…(苦笑)。常磐は決していい人ではないですが、悪い人でもないと感じていて、そういう所がある意味、常磐の魅力かなと思っています。
田辺さんと共演されての印象を教えてください。
田辺さんは本当に物静かな佇まいの方。それが芝居に入ると彼の中に秘めている俳優としてのパワーが湧き出てきて、とにかく相当迫力があるんですよ。できる俳優さんだと言う印象です。また、イラストも含め、人としてもおもしろい方だと思います。
田辺さんも鹿賀さんのパワーにどう立ち向かっていくか、共演は不安と楽しみが入り混じっていると話されていました。
2人のシーンは相当お互いに体力を使っていると思います。私は撮ったあとにぐったりしましたよ(笑)。
鹿賀さんご自身としては、巻き込まれる方、それとも巻き込む方、どちらだと思われますか?
これはもう即答! 僕は巻き込まれる方です(笑)。人を巻き込むような常磐の性格とは間逆の人間だと自分は思っていまして、でも、そんな自分とは違うキャラクターを演じると、パワーは使いますが、ある意味、ストレス発散にもなります。
新しい役への取り組み方や、モチベーションを保つ秘訣などありましたら教えてください。
例えば50代で常磐という役をやるよりも、僕は今60半ばですが、それ位の年齢の方が常磐という役が自分でも演じやすいと感じています。ですから、自分の年齢に合った等身大で演じられる役が回ってくる所が、長く(俳優を)やっていると、とてもおもしろいです。また、役への取り組み方の一つの例としては、描かれていくキャラクターというものを深く掘り下げすぎず、衣装であったり、セリフひとつであったりと、形のあるもので自分を高めて表現していきます。無理に作るというより、それは自然とできていくのではないかと思います。
先ほど少しお話に出ましたが、鹿賀さんのストレス解消法は?
やはり良い仕事ができたときが一番のストレス解消になりますね。あとは歌がとても好きなので、歌っているとき、歌った後など、そういうときは熟睡できます(笑)。
視聴者の方へメッセージをお願いいたします。
今、国政もそうですが、政治というものに日本人の目線が注がれている時期に、(劇中のわにのくに市は)人口8万人の新しい市ではありますが、その中で起きている政治も含めた、“人が生きる”という部分をどのように見るべきか、このドラマにはそんなテーマもあると思います。そういう部分も含めて見ていただけると、現代にマッチしたおもしろい作品になっているかと思います。