他エリアの人は驚愕…名古屋では当たり前の『冷やし中華にマヨネーズ』が普及した理由は地元の“ソウルフード”
夏に食べたい「冷やし中華」は、東海地方ではマヨネーズが言わば「当たり前」。ところがこれは、この地方独自の習慣だった。マヨネーズをかけるようになった起源と、進化した意外なグルメを取材した。
■「7割から8割が使うと思う…」老舗料理店で聞いた冷やし中華にマヨかける客の割合
50年以上続く名古屋市千種区の「錦華楼(きんかろう)」。
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「冷やし中華」(750円)は人気メニューのひとつだ。
マヨネーズはセットになっているが、いつから付けているのか聞いてみると…。
錦華楼の店主:
「52年前になりますね」
ご主人はマヨネーズが酸味のあるスープに相性がよく、なくてはならないもので、東海地方はマヨネーズ好きが多いという。
冷やし中華を注文する客の7割から8割がマヨネーズを使うそうだ。
■名古屋でも意外と多かった「かけない派」 他県ではそもそも食べ方を知らない人も…
実際にマヨネーズ派はどれくらいいるのか、名古屋の街で聞いてみた。「かける派」が圧倒的と思われたが…。
Q冷やし中華にマヨネーズはかけますか?
男性:
「はい。シーズンになると出てくるからね、冷やし中華は。食べちゃうわね、おいしいからさ」
別の男性:
「つけますね。つけた方が味変できておいしいじゃないですか」
女性:
「つけます、もちろん。はずせないです」
マヨネーズ愛が強い人が多く、かける派が圧倒的…かと思いきや。
女性:
「つけないです。さっぱり食べたい」
別の女性:
「つけないです。おいしいのは分かっているけど、カロリーが上がっちゃうから…」
また別の女性:
「つけません。マヨネーズが好きじゃない!」
43人に聞いてみた結果、かける派が23人、かけない派が20人とあまり変わらない人数となった。
ほかの地域の人にも聞いてみた。関東の人は…。
東京の男性と埼玉の女性:
「つけないです、聞いたことない」
マヨネーズと一緒に食べる方法があること自体、知らない人もいた。マヨネーズをかける印象を聞いてみると…。
埼玉の女性:
「脂っこそう」
東京の男性:
「マヨネーズ好きなんですけど、やったことないので気になりはします」
関西の人にも聞いてみた。
奈良の女性:
「聞いたことないやんな」「えっ?マヨネーズを!」
大阪の女性:
「えっ…へぇ~」
そして岡山の人は…。
岡山の女性:
「(マヨネーズを)混ぜて食べるんですか?すごい…ちょっと…」
かなりの驚きようと、少しひかれ気味だった…。
しかし福岡県出身で現在、この地方に住んでいる男性は、初めて見たときの印象をこう語った。
福岡出身の男性:
「『絶対合わないだろう』と思ったんですけど、つけてみたらめちゃくちゃおいしくて衝撃でした」
「冷やし中華」と「マヨネーズ」の組み合わせは、全国的にはメジャーとは言えないようだ。
■実は60年以上も前から…発祥はあの有名チェーン店?
なぜこの地方でマヨネーズが定着しているのか、名古屋めし料理研究家のSwindさんに聞いた。
Swindさん:
「小さい頃から私も食べているので、正直当たり前みたいなところはあるんですけど、名古屋では誰もが知っている有名な飲食チェーン、こちらの影響が一番大きかったのではないかなと思っています」
その店の商品が自宅にあるということで、自宅へ伺った。冷蔵庫から出てきたのは、スガキヤの冷し中華だった。
Swindさん:
「いろいろ諸説はあるんですけど、スガキヤさんがマヨネーズをつけ始めたという説がかなり有力で…」
冷やし中華とマヨネーズという食べ方の発祥は、あのスガキヤではないかという説だ。そのスガキヤを直撃した。
スガキコシステムズの担当者:
「そうですね、そのように言われておりまして。昭和32年(1957年)という記録が残っておりまして」
60年以上前からあったことが判明。その理由も聞いてみた。
同・担当者:
「スガキヤの冷しラーメンはかなり酸味を感じるスープとなっていますので、酸味に合う調味料をいろいろ試した結果ですね、マヨネーズがベストマッチだったという話がございます」
当初、スープにマヨネーズを溶かしていたが、その後、ハムにマヨネーズを添えて出すスタイルに変更。そして1986年(昭和61年)に、現在のスタイル『袋入りのマヨネーズ』を添えるという形になったという。
これがいつのまにかお店や家庭に広がり、定着していったのではないかということだ。
■進化する「冷やし中華×マヨ」…立川マシマシは“中太麺にタルタル”の「すごい冷やし中華」
冷やし中華に欠かせないマヨネーズは実はいま、意外な形で進化している。名古屋市中区のラーメン店「立川マシマシ 栄住吉店」を訪れると、タルタルソースを使った冷やし中華があった。
醤油と酢を使った特製スープと中太麺をからめ、炒めた豚肉を盛り付けて、麺を覆うように「特製のタルタルソース」をかけていく。最後にきゅうり、しょうがを添えたのが「すごい冷やし中華」(1050円)だ。
麺とマヨネーズをからめると、薄い茶色だった麺はたちまちタルタルで白く染まった。食べてみると、タルタルの味わいが絶妙だ。
タルタルソースを使った理由は、店で使っているラーメンの中太麺で冷やし中華を作ろうと試行錯誤する中、相性が良かったのがタルタルソースだったことからこのメニューが誕生したという。
同・スタッフ:
「驚かれるお客さまは他県の方だと感じます。名古屋の方は比較的、『やっぱりのっているよね』みたいな感じで受け入れてくださる」
「冷やし中華×マヨネーズ」の文化が形を変えて広がっていた。