2024年の夏、店頭からお米がなくなり「令和の米騒動」とも言われました。秋になって品薄は解消したものの、価格の高騰に直面しています。

■米不足解消も…価格が高い!

 家庭向けや飲食店などに米の販売を行う名古屋市西区の「匠 こめ由」では、各地の銘柄米を取り揃え、量り売りで注文が入ってから精米して提供しています。

【動画で見る】品薄による集荷競争の影響残る…新米の出荷進む中でもコメの高値続く 販売店は「年明けて下がると思えない」

10月24日に訪れると、お米が倉庫で山積みになっていましたが、9月の取材では、ほとんど在庫がありませんでした。

野田沙希社長(9月3日):
「ほとんど今ストックがないような状況です。いつもだと天井の張り紙ぐらいの所まであるんですけど、今年はどんどん出ていく方が多くて」

「こめ由」では、10月半ば過ぎから新米が潤沢に入ってくるようになったといいます。地場の新米に加え、翌週には東北の新米の入荷も予定されていますが、価格は高騰しています。

野田沙希社長:
「原料米が1俵(60kg)当たりの価格が、今年は例えばこの1銘柄に対して1.66倍と出ていますよね。これぐらい高くなっているという現状です。価格がもう高い、本当に高いです」

■2024年も猛暑…品質に不安が

 出荷業者と卸売業者などとの9月の相対価格は、玄米60kgあたり2万2700円と、2023年の同じ月と比べ7409円、48%高くなっていて、調査を開始して以来、最も高くなりました。

なぜ、新米の出荷が進む中、この高値なのでしょうか?

JA愛知経済連米穀部の中村隆志課長:
「昨年のコメ不足の教訓を踏まえて、各流通業者の皆さまが、お米の十分な原料確保に動いているということから、相場的にも上昇している」

2024年夏の米の品薄で新米の集荷競争が起き、依然価格が跳ね上がったままです。

中村隆志課長:
「令和5年産も不作ではなくてやや平年並み、ないしは良という結果だったと思うんですけども、やはり高温、こういう暑い気象下の状況で高温による影響を受けて、精米する際、歩留まりが低下。かなり最後精米にしたときに量が減った。令和6年産はまだその実態が見切れていない」

2023年、夏の高温の影響で、玄米から精米する際の歩留まりが低下し、精米にしたあとの量が減ったといいます。2024年も猛暑の夏となり、また品質に影響がないか、不安だといいます。

さらに、生産者の肥料や燃料代などの資材費の高騰が前年からおよそ6%増加していることなども、価格の上昇に繋がっているといいます。

では、お米の高騰はいつまで続くのでしょうか?

中村隆志課長:
「12月の上旬に作況指数自体は固まりますので、そのデータを見て自給にタイト感があるのか、そんなにタイト感がない状況で、むしろちょっと過剰気味なのかというのは冷静に見ていきたいなと」

一方、販売店ではまだまだ高騰が続くとの見方もあります。

野田沙希社長:
「年明けてこれが下がるとも思えないんですけど、正直なところ、今はね」

■価格高騰で「コメ離れ」の懸念も



 米の価格が高騰している理由として、2024年夏の品薄を受け、企業などがJAに入荷する前に直接農家から仕入れるケースが増えていて、市場の流通量が減っていることもあります。

さらにJAなどが懸念しているのは、価格の高騰で米の消費量が減るのではないかということです。

訪日外国人の増加で消費が増える側面もあるようですが、価格高騰で主食がパンや麺類に置き換わることへの懸念もあります。