- この現場はいかがですか?
- 「羽田さんは、以前現場で御一緒することがあり存じ上げていましたが、スタッフさんやキャストの皆さんが最初に集まる顔合わせのときはとても緊張していました。羽田さんから『私も大変なときがあるから、無理しないでね』と声をかけていただいて、その言葉で肩の力が抜けたんです。実際、現場では羽田さんの常に絶やさない笑顔に安らぎを感じています」
- チームワークが完全に出来上がっているチームに入るのは大変なことですよね。
- 「それが苦労は全然なくて。大先輩の野際さんもまったく威圧感がなく、現場にいるどなたも優しい方ばかりです。こんなにも居心地の良い現場って特別だと思います」
- 綾について、どんな人物だと思っていますか?
- 「性格がまっすくでひねくれてませんよね。ある意味、自分は自分。女将になるためにまい進しています。そこが綾の魅力だと思います。また設定として旅館で生まれ育った娘で、何でも完璧にできる人というものがありました。立ち振る舞いや所作に説得力がないと、周りの人から『綾さんってすごいわね』となりません。いろんな意味で大変でしたが(笑)、あれもこれも何でもできてしまうキャラクターを演じることってそう無いんですよ。それはちょっとおもしろかったです」
- 綾を演じる上でのポイントとは?
- 「綾を表す言葉として、よく"優雅"という言葉がセリフに出てきました。ですから、一つひとつの動きやセリフの言い回しを落ち着いてゆっくり言うようにして。もともと着物が好きで自分でも着られるので、慣れてはいます。着慣れているかいないかで、歩き方一つとっても違ってくるはずなので、そういう意味では助かりましたが、それでも最初の頃は肩が凝って大変でした。普段着る着物と仲居の仕事をするために着る着物では気持ちが違うんでしょうね」
- 原田さんと綾に共通点は?
- 「綾は性格が良くて、非の打ちどころがなくて...。私との共通点は...。ないかもしれないです(笑)」
- では、「金沢女将塾」の塾生は個性的な人ばかりですが、誰が一番原田さんに近いですか?
- 「そうですね...。それぞれに変わっていますからね...。突き詰めると綾さんかも(笑)」
- 綾は性格が良い反面、言い方を変えれば押しが弱い部分もある気がします。
- 「最初女将塾の塾生に態度の良くない二人がいましたが、綾は彼女たちといることが多く、内心では綾としてどういればいいんだろう、と考えていました。そこで綾が『まあまあ、そんなことを言わないで』と言ってしまったら、その言い方で綾にも不平不満がある、と見えてしまう可能性がありますから。彼女たちに意見を言うわけでもなく、離れるわけでもない。完璧だと思われている綾の人間らしさを表現できる場面でもあった気がします」
- お客様に、綾の仕事ぶりは文句がないけれど、心がこもっていないという厳しい意見を言われる場面もありましたね。
- 「その場面もですが、大阪から来たお客様に振り回される場面もありましたよね。どんなお客様にもそつなく対応できてしまったら、それこそ完璧なだけで終わってしまいます。欠点や弱点を表現できたことでドラマをご覧になっている皆さんにも綾に親しみを持っていただけるんじゃないか、と思いました」
- 綾と房子の関係を原田さんはどう思っていますか?
- 「小さいころから世話になっていて、房子さんは今も『お嬢、お嬢』と呼んでくれています。綾自身には頼っている意識はありませんが、周りから二人の関係をいろいろ言われようと綾が拒まないのは、房子さんがいてくれることをありがたく思っている証拠だし、綾の心中は複雑でしょうね。優しくしてもらってうれしいけれど、周りの目も気になる。でも自分自身にとっても房子さんは大切で...、と。房子さんはきっと綾の気持ちが分かるから、その頼りなさを可愛く思うんじゃないでしょうか」
- 陣内に対しての恋心は?
- 「ご覧になっている皆さんに、そこはどんどん突っ込んでいただきたいです(笑)。役としては32歳の設定ですが、綾の恋に対しての未熟さを表現するところでは、マインドを少し若くしています」
- 「花嫁のれん」に参加しての感想は?
- 「実は連ドラにフルレギュラーで参加するのは初めてのようなものです。今回で第4弾ということからも、『花嫁のれん』が多くの方に支持されていることが分かりますし、そういう作品に参加できて光栄でした。放送が始まって以来、私のフェイスブックにコメントを寄せてくれる方もどんどん増えて、作品の持つ影響力の大きさを感じていますし、今後、『花嫁のれんでお嬢様を演じていた人』というように、原田佳奈という女優を思い出すとき、一つのきっかけになってくれると思います。そういう作品に巡り合えてうれしく思っています」