自分が育てた若女将の瑠璃子が女将になることを夢見て、奈緒子を目の敵にする照子。烏丸さんはヒロインをイビる敵役とも言える照子を愛きょうたっぷりに演じています。驚くことに、女優人生の中で、こういうキャラクターを演じるのは今回が初めてだそうです。
- ――照子と支配人の楽しいやりとりは、視聴者の皆さんからも好評をいただいています。
- 「そうですか、ありがとうございます。話が進むにつれ、何だか奇妙なコンビになってませんか? それが少し心配なんですけど(笑)。私はこれまで照子みたいなコミカルな役の経験がほとんどなくて最初は不安でしたが、ありがたいことに支配人役の小林さんがいろいろアドバイスしてくれるし、監督も本当に忙しいスケジュールの中、どう演じればいいのか丁寧に教えてくれるんです。そのおかげで照子に気持ちを乗せて演じられています。私としては、作品の中で照子が楽しい要素の一つになってくれればいいな、と思っています」
- ――もともとコメディータッチのシーンがある作品というのは?
- 「東海テレビの昼ドラで『はるちゃん』という作品がシリーズ化されて長く放送されてましたよね。実はその以前に私も別の単発ドラマで、はるちゃんを演じたことがあるんですよ。その作品はコメディー調で、性格的にも明るい女性でしたが、苦労しましたね。それまで影のある役が多く、明るいキャラクターもコメディーもやったことがなかったので、どう演じていいのかまったくつかめなくて。振り返っても悔やむことばかりで、『私にコメディーは無理なのかな』とずっと思ってましたが、奇しくも『はるちゃん』同様、旅館物でまたコメディータッチのお芝居に挑戦することになりました。あのときは下っ端でしたけど、今回は仲居頭に出世までして(笑)」
- ――この現場で烏丸さんはムードメーカー的存在で、烏丸さんの周りには笑いが耐えないし、瑠璃子役の里久鳴さんも「いつも烏丸さんにじゃれさせていただいてます」とおっしゃってましたが。
- 「性格的には明るいほうだし、お笑いも大好きなんです。でもいざ演じるとなると違うんですよね。人を笑わせるコミカルな演技って本当に技のいることだと思うんです。だから撮影後、モニターチェックをするたび、『私だけ浮いてないかな』、『こんなテンションで大丈夫かな』と常に思ってます」
- ――演じていて手ごたえはないですか?
- 「現場は楽しいですよ。雰囲気が本当にいいので、『あ~楽しいな』っていうだけですね。そもそも女優業を長くやってきたのに、スタジオでの撮影がメインのドラマ自体、これが初めてで。作品のテイストには慣れてないわ、役柄にはなれてないわ、で撮影に入って、大分慣れてきましたけど…」
- ――“ホームドラマ”というジャンルについては、どう思っていますか?
- 「好きです。こういう作品こそ、テレビドラマでやるべき、と思っていますから。お茶の間…っていう表現はイマドキじゃないかもしれないけれど(笑)、リラックスして観るのに明るいホームドラマってピッタリですよね」
- ――そもそも照子をどんな女性と捉えていますか?
- 「大前提として、奈緒子さんをイビる、というのがありますけど、リアルな“イジメキャラ”だったら、この作品の世界観に合わないですよね。となると、必然的にこういう人物像になるんじゃないですか。大女将を尊敬し、若女将をいつくしんで育てて、『かぐらや』のことを心から愛していて。基本的には人の良い女性だし、実はどこか抜けているし、おっちょこちょいですよね。観ていて嫌な気分になる人物ではないはずなので、視聴者の皆さんには『照子がどんな風に奈緒子さんをイビるのが楽しみ』とか『私は照子派』とか思っていだだきなががら、ドラマを楽しんでもらえたらうれしいんですけど」
- ――コメディーのテイストで人をイビる演技というのは難しくないですか?
- 「撮影が始まった当初は、もう少し大人しい感じで演じようかと思ってたんです。そうしたら、『もっとテンション高くお願いします』と監督にリクエストをいただききまして。それからもちょくちょく、もっとテンション高い感じでもいいですよ、と言われまして、『もっとですか!?』と思いながら、気が付くと今の照子と奈緒子さんのやりとりが出来上がってました(笑)」
- ――演じる際、ご自身から何か提案したりは?
- 「演じていて、楽しいから『こんなのはどうですか?』と監督や小林さんに言いますけど、ほぼ却下です(笑)。お笑いの道は厳しいですね。でも小林さんからは『コメディーって楽しいでしょ。今度はコントを舞台でやりましょうよ』って誘っていただいてます(笑)」
- ――照子と支配人のやりとりは本当に楽しいので、この先、二人がくっついたらいいのに、と思っているんですが。
- 「そういう意見、現場でも結構あるんですよね。ホント、照子はこの先、どうなるんでしょうね? 私は照子のこれからはもちろん、物語自体がどう展開していくのかがすごく気になるんですよ。だって、宗佑さんに目を向けて、失踪するまでの出来事って何だろうって考えると、結構ミステリーなんですよ、これが。『花嫁のれん』ってただのホームドラマの枠には収まらない作品だと思うので、どういう風に話が進んでいくのか。視聴者の皆さんにはこれからも、さらに楽しんで観ていただけると思います」