ただの“ええとこのぼんぼん”ではなく、商売人としての才覚もある丈太郎。瑠璃子への想いは叶いませんでしたが、演じた山下徹大さんは、丈太郎をとても愛着のある役だと語ってくれました。
- ――最初に丈太郎をどう演じようと思いましたか? 商人の部分か、お坊ちゃまの部分か。どちらを大切にしようか、と。
- 「最初はそこで悩みました。なにせ、良いところの育ちなのに、急に商売人っ気が出て、“でんがな、まんがな”って言ったりするから(笑)。考えたのは、商人っぽさを強調し過ぎると、くどくなってしまうので、大前提として、ぼんぼんなところを大切に、下品には見えないようにしようと。ただ、行動自体がどぎついので(笑)、やっていることと、言葉遣いのアンバランスさが楽しく映ればいいな、とも思いました」
- ――関西弁に挑戦しての感想は?
- 「今回は、知り合いの俳優さんで関西の人がいるので、彼にまず台本を読んでもらい、自分の中にセリフを入れていきました。最初は関西弁のイントネーションのことで頭がいっぱいでしたが、この作品のスタッフさんの中にも関西の方がいて、リハーサルが終わると、『今のイントネーション、ちゃいますよ』と直されたこともあったんです(笑)。でも、俳優としてのこの経験はすごくプラスになりました」
- ――丈太郎は瑠璃子に一目ぼれをしますが、山下さんは一目ぼれの経験は?
- 「あります、あります。20代の頃に。だから丈太郎が瑠璃子さんを一瞬で好きになった気持ちも理解できました。丈太郎が最初に登場したところで、『丈太郎さんだったら、どんな女性でもよりどりみどりでしょ』と言われる場面があり、丈太郎も『当たり前や』って答えているんですよ。だから、これまでいろんな女性と付き合ってきたと思います。瑠璃子さんは、彼女の持っているものと、自分の持っているものを比べても、問題ない相手だからすぐに気に入ったんでしょうし、意地もあったと思いますよ。結婚相手として申し分ない自分になびかない瑠璃子さんに対して」
- ――強引なところや自己中心的なところもある丈太郎ですが、ファニーでもありますよね。
- 「やってることがほとんどファニーですからね(笑)。僕自身がセリフをいいながら、心の中でよく“なんでやねん”って突っ込んでました。『瑠璃子さんに好きな人がおるのは知ってますけど、そんなこと関係あらへん』っていうセリフを言ったときも、心の中で『関係あるがな』って思いましたし(笑)。」
- ――現場で山下さんを見ていても、楽しんで丈太郎を演じているのが伝わってきました。
- 「丈太郎みたいなキャラクターを演じるのも初めてだったし、コメディータッチのシーンのあるホームドラマに出るのも初めてだったんです。今、20代の頃にやれなかった役柄や作品に挑戦したいと思っているので、良いタイミングで丈太郎を演じられました。チャンスがあるなら、もっとお母ちゃんとのやりとりを演じたかったですね。この作品の中でコテコテの関西弁を使えるのはこの親子だけなので、作品におもしろみをプラスできると思うので」
- ――視聴者の皆さんには丈太郎がどんな風に映ればうれしですか?
- 「ご覧の通り、丈太郎が物語をややこしくすることもありましたが(笑)、“おもてなしの心”とか“思い出は心の宝”とか、この作品や『かぐやら』が伝えたいメッセージをより鮮明するためのスパイスが丈太郎だと思ってます。視聴者の皆さんに、そんな風に映っていればうれしいですね」
- ――この作品の恋愛の部分も担った丈太郎ですが、山下さんの結婚観をお聞かせください。
- 「結婚はまだ“いずれしたいもの”という感じです。役者としてさらに成長しないと考えられないですね。『かぐらや』が良い例だと思うんですけど、結婚って両人だけでなく、家族間の問題でもありますよね。そうなると、価値観の近い人と結婚したほうがいいのかな、なんて考えさせられました。思ったんですけど、もし自分が結婚するなら、ちゃんと式は挙げたいですね。最近は結婚式をしないで、役所に婚姻届を出して終わりっていうカップルも増えてるそうなんですよ。だけどそれじゃあ、けじめがつかない気がして。だから“花嫁のれん”もすごくいいんじゃないですか。結婚する上で、覚悟が出来て。ただ、今の時代にこういう儀式はキツいだろーな、という気持ちも正直ありますけど(笑)」