インタビュー

沢田 雅美さん(小島 房子役)

まず「花嫁のれん」に参加が決まったときの感想をお聞かせ下さい。
 「どんな作品か知っていましたし、パート4まで続くなんてすごいですよね。こうして参加することになり、何を気にしたかと言えば、とてもチームワークのできている作品なので、それを壊さなきゃいいなっていうことでした」

途中から加わるご苦労もありますか?
 「役として、どう物語の中に登場し加わるのか、台本に書かれていることに外れないよう一生懸命演じるのみです。それが私たちの仕事ですから。現場はとっても温かい雰囲気ですよ。羽田美智子さん、野際陽子さんのお人柄に加え、私同様に今回から加わった矢田亜希子さんもとても良い方。山本圭さんを始め、他のレギュラーの方も私を温かく迎え入れてくださり、感謝しています。現場がピリピリすることなく、本当にほんわかしているんです。撮影は楽でないことも多いのに(笑)、これはすごいことですね」
本作のスタッフ、キャストが一堂に会した顔合わせの際、野際さん、山本さんとは本当に久しぶりのご共演と話されていましたね。
 「野際さんとは20代の頃に共演して以来。例えば何かのパーティーなどでお目にかかり、『ご無沙汰しております』と挨拶する程度でした。山本さんのことは"圭兄ちゃん"と呼ばせていただいています。ドラマでの共演は私のデビュー作『ただいま11人』(1964年)以来ですよ。その後、同じ舞台に出たことはありますけど、それだって30年くらい前の話かな。私たちの仕事ってそういうことがあるんです。お会いしなくなるとパタッと"次"がないんですよ」
久しぶりに共演していかがですか?
 「いやー、圭兄ちゃんは私のことを『年を取ったなー』と思っているんじゃないですか。お互い様ですけど(笑)。最初に会ったときは、私も中学生だったのに、今回は大年増の仲居頭ですから」

房子について、どんな人物だと捉えていますか?
 「最初にプロデューサーさんが房子についてきちんとお話ししてくださったので、それがベースです。簡単に言えば『鬼軍曹になってください』とのことでした。撮影に入る前は鬼軍曹というくらいですから、"どすんっ"と重みを持たせようとしたんですが、これがなかなか難しくて。貫録のない仲居頭で、完成したものを見ていても反省ばかりです」
決して威圧感があるわけではなく、それでいて押さえるところは押さえている人物だと思いますが。
 「そうですか? そう思っていただければありがたいです。仲居頭を演じるのは初めてで、役の背景が見えないと、そのキャラクターに厚みが出ないんですよ。それが出来てないんでしょうね。だからペラペラ。演技って、意外と自分のしていることが見えないものなんです。ですから毎シーン、心新たに役と向き合い、そのつど修正、マイナーチェンジしていかないといけません。気をつけて、意識をして。そうでないと、役とずれたまま終わってしまう可能性があるんです」
房子の綾への思いとは?
 「房子は子供もいませんし、可愛くて、可愛くて仕方ないんでしょうね。親バカ気取りというか...。でも子供というより、孫が可愛いようなものだと思います。無責任に可愛いんですよ。『お嬢を何としてあげたい』という気持ちにあるのは、ひたすら"情"じゃないでしょうか」

佑美に対する指導、態度を見ていると、すごく"人間くさい"面もありますよね。
 「人間っぽいと言えば人間っぽい。言いたいことを言ってますから。房子としては正しいことを言っているつもりなんです。だから迷いがない。でも私も間違ったことは言っていないと思いますよ(笑)」
これだけパワフルなキャラクターを演じていると、疲れることはありませんか?
 「それがねー、私ストレスという感覚を持ったことがないんですよ、生まれてから1度も。羽田さんにも『いつもどうしてそんなに元気なんですか?』って聞かれちゃって。房子と同じく、言いたいことを言って生きてきたからかな(笑)」

ますます房子の塾生への指導も厳しさを増すと思います。そんな房子の見どころとは?
 「房子だけでなく、毎日、女将も大女将も真知子さんも誰もが揺れ動いています。ドキドキしたり、落ち込んだり、それが見ていて、とても楽しいと思います。房子は『かぐらや』に来て、どんどん変化をしています。その過程が台本の中に計算して書かれてあるので、それをしっかりつかまえて、間違わないで伝えていければ、と思っています」
ところで沢田さんは長い役者人生の中、後輩の方にアドバイスすることもあると思います。そんなとき、どんなことに気を付けますか?
 「役者が役者にもの申す、役者が役者の感性でその人のお芝居を指導する。それはタブーだと思っています。演技って、一人ひとり違うものでしょ。指導するのは演出家の方の仕事。ただ今回、キャストに着物を着ている人が多く、着方は自信があるので、聞いてくださったら教えます。そういう風に知識として知っていることは教えてあげられるけれど、お芝居は教えられないし、そもそも教えるものじゃない。自分でやるしかないんですよ。自分なりに体現して、間違っていれば演出家の先生に指導いただいて。諸先輩からだって『こうしなさい』はなかったですよ。『こんな方法もあるね』程度。あとは見て覚えろよ、ということだと私は思って、ここまでやってきましたから」

過去の記事一覧

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  • 沢田 雅美さん(小島 房子役)
  • 野際 陽子さん(神楽 志乃役)
  • 矢田 亜希子さん(片瀬 真知子役)
  • 羽田 美智子さん(神楽 奈緒子役)

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