「Xmasの奇蹟」の"三つの月"に寄せて、自分がどのようにイメージして作曲したかを少し話します。運河の畔に佇む城で開かれる舞踏会の喧騒から抜け出し水辺を歩く、火照った身体を噴水の飛沫で取り払いながら運河を覗くと、水に映るが故に青く輝く月が見える。華やかな世界の表面的なものに飽き飽きした屈折した自分の心、光を背に伸びる影、噴水の音に導かれ星を見上げる、"青の月"は天空から降りて来た僕の月でもある。真夜中に煌煌と光る月の取り澄ましたような白っぽい黄色に暖かみはない。賑わう音も遠くなり、鋭い音と水の流れる音だけが聞こえる中、突然鳥が飛び立つ。普段何とも思わぬものが予期せぬ動きや音となり、動悸する心に気が付く。そんな自分を遠くから見ているのが"黄の月"。時の流れの中で降り積む様々な感情を表し、辛い現実をも受け入れ生きて行くのだと言う想いが収斂されているのが"赤の月"。自分は作曲前のこの様な作業をする為、よく旅行に行きます。

コーニッシュ

PROFILE
1981年4月19日生まれ。作曲家、ピアニスト。桐朋音楽大学作曲科出身。
主な作品に、東海テレビ昼ドラマ『愛の迷宮』（'07）、『花衣夢衣』（'08）、『愛讐のロメラ』（'08）、 TV朝日ドラマ『生徒諸君！』（'07）、フィギュアスケート・浅田真央選手の競技用音楽「幻想即興曲 （ショパン）」の編曲など。ピアニストとして、大竹しのぶ、森山直太朗などのステージに参加するなど幅広い活動を行っている。

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