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インタビュー

宮崎美子さん(岩村和子役)

2015年4月15日更新

――まず、作品に対する感想をお聞かせください。
 「おもしろい台本に忠実に、和子というキャラクターを演じるだけですね。最後、この3組の夫婦にどんな結末が待っているのか、いつもキャスト同士で話し合っていますが、全然先が読めません。視聴者の皆さんにもきっと、私たちと同じようにハラハラしながら、最後までこの物語を楽しんでいただけると思います」
――宮崎さんが「プラチナエイジ」でいいな、と思っているのはどんなところですか?
 「3組の夫婦の距離感ですね。学生の頃は、友達と常に一緒じゃないと不安になったりしたものです。でもこの年齢は違います。内と外で言うことが違っていることもありながら、友達として付き合っていける。その距離感が心地良いし、ここからいろんな人と新たな関係が築けていけるんじゃないでしょうか」

――和子を演じていて身につまされる部分、考えさせられる部分はありますか?
 「親の面倒はどうするのか、お墓はどうするのか。私と同世代、さらにその一つ上の世代なら、『そうなのよ、そうよね』と共感してもらえる部分ではないでしょうか」
――そもそも、和子をどんな人物と捉えていますか?
 「これまでは堅実な夫の立てた計画通りに人生が進んでいます。そんな夫に従っていけば安泰でしょう。でもそのことに和子は年々、息苦しさを覚えるようになっていたんです。今までは気づかないようにしていたのかもしれないし、それはそれでいいと思っていたのかもしれません。でも、内心では『こういう生き方、何か違うんじゃない?』という思いを募らせ、夫の定年退職をきっかに爆発してしまう、というのは分かる気がします。人生の大きな節目で、これまでの自分の生き方に、あれ?ってなってしまう。違和感のあることって、やがて我慢できなくなってしまうものだと思うんです。もし主婦の皆さんの中に、和子と同じような気持ち抱いている方がいたら、この役を通して代弁したいと思います。今回は和子の“冒険”として、ホストクラブに通い始め、いろいろなことに挑戦しますので(笑)」
――和子に、吾郎のお寿司の食べ方が我慢できない、というセリフもありましたが。
 「食事のときの食べ方やしぐさって、結構引っかかることがあるんじゃないでしょうか。食べ方以外にも、お箸の持ち方とか。一度、気になりだしたらあとは気になって気になって仕方ない、となると思うんです。大人同士だとなかなか言えませんよね。それもまた辛くて」

――では和子への翔也の気持ちは、純粋な“LOVE”なのでしょうか?
 「これは微妙ですね。和子は“冒険”すること、刺激を欲していて、そこに翔也くんが現れましたが、純粋なLOVEかと言えば…。視聴者の皆さんには若いホストに入れあげ、離婚!? とドキドキしながらご覧いただけたら。ただ中盤以降、思わぬ展開が待っていますので、驚きつつ、楽しんでいただきたいですね」
――宮崎さんは60代になったときのことを考えますか?
 「“残りの時間”というものを考える時期になってくるでしょうね。幸い、この仕事はその年代に合った役柄があるので、自分から引退を宣言する必要はないと思っています。今回は孫が生まれる設定ですし、ついにおばあちゃん役に足を踏み込んでいくんだなと感じていて、どんなおばあちゃんになってくのかおぼろげに考えたりもして。デビュー当時、若い娘の役を演じていて、そこからお母さん役をやるようになったとき、感慨深かったんです。そしておばあちゃん役に。今後、孫がいる役が来たとして、孫の年齢だって大きくなっていくでしょう、じわじわと(笑)。ここから、新たなステージの始まりだと思っています」

――ところで宮崎さんは、和子、香織、智恵子の3人で誰に一番近いですか?
 「最初に3人の設定を聞いたとき、『和子、おもしろいな』と思ったんです。演じていても楽しいので、やっぱり和子でしょうね。一番大人しそうに見えて、実は一番思い切ったことをしているのが和子。そこにおもしろみを感じましたし、何より“俗物”ですから。それも夫婦で。愛すべき俗物夫婦ですよね(笑)」
――俗物ですか?
 「そうですよ。遠慮がちに見えて、結構いけ図々しいから(笑)。意外とずかずか踏み込み、発言も遠慮がなく、やりたいことやっています。吾郎さんは吾郎さんで、自分がこうと決めたことをわき目もふらずやっているし、本当に似た者夫婦ですよね。もしかしたら3組で、この夫婦が一番人生を楽しんでいるかもしれない。楽天家でもあるし(笑)」
――もしかしたら、鎌倉に引っ越してきたことが転機になっているのでしょうか?
 「大きいと思いますよ。まず埼玉の春日部でマンションに暮らし、次が東京・成増の一軒家。そこから憧れの湘南ライフですから。香織さんも智恵子さんも“セレブ奥様”なわけですよ。それに引き換え、和子の家は普通のサラリーマンで、結構 “緊縮財政”でやって来ました(笑)。新しく友達になった二人は、片や弁護士の奥様、片や輸入家具店のオーナー。『こういうところに私も仲間入りしちゃう?』みたいな心境になり (笑)、つい気持ちが緩んで、解放されちゃったんでしょうね。それで和子なりに“冒険”を始めたわけです」
――最後に、本作は60代の夢と冒険の物語です。宮崎さんが新たなにチャレンジしてみたいことは?
 「今年決まっていることがあって、それはゴルフデビューです。毎年何か新しいことをしようと決めていて、『ごちそうさん』のときは仕事の延長ですが、三味線に挑戦して、それはそれで楽しかったんです。この年齢で、できないことをゼロから教えを乞う。なかなか新鮮ですし、少しずつ出来るようなっていく、その達成感を味わえるのも楽しいですよ。今年取り組んでいるのがゴルフで、いまはまだ練習場に通っている段階ですが、仕事がひと段落したらグリーンデビューをしたいと思っています」

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