2015年4月27日更新
- ――吾郎をどんな人物と捉えていますか?
- 「吾郎の人生は高度成長期真っ只中を生きてきたサラリーマンそのもの。高度成長期を先頭で走ってきたというより、コツコツと積み上げたタイプかも知れませんネ。この作品を見てくださっている皆さんの家庭のお父さんには、吾郎のような方も多いのではないでしょうか。定年という節目を迎え、吾郎は右往左往しますけど、登場する男性3人の中で最も一般的な人物だと思っています」
- ――ライフプランが人生指南のようになっていることに関しては?
- 「劇中ではかなり誇張してますけど(笑)。でも、リタイヤ後の生活を充実させるための計画を立てるのは、多くの家庭でごく普通のことだと思います。吾郎は憧れの鎌倉にやっと一戸建てを購入し、夫婦で静かに暮らすプランを開始し始めます。ですが、とても受け入れられないような原因で計画が“崩壊”して行きますよね。『ウソーッ』って感じですよ。でも夫婦が崩壊しないのは、きっと吾郎が和子のことを『一番の人』だと思っているからなんだと思います。失って気付くのではなく、和子が不可欠のパートナーであることを、吾郎は知っている。それだけに想定外に振り回される現実に、すがる様にプランに執着するのかも知れませんネ」
- ――吾郎の見どころは?
- 「50代後半から60代ぐらいになると、夫婦で暮らしていると相手のことが分かったつもりになっていて、意外と独りよがりになっていることが多いのではないでしょうか。岩村家の夫婦像は、かなり極端ですがそんな互いの空気感を、手探りで探す姿が描かれているなぁーと感じています。難しく考えるより、吾郎の慌てる姿を可笑しく楽しんで頂き、視聴者の皆さんにも考えるキッカケになったら嬉しいですねぇ。そう言った意味で言うと、弾け方からして岩村家は最高の『標本』かも知れませんヨ」
- ――確かに、冒頭の吾郎は自分の計画に和子が従うものと信じて疑ってませんでした。
- 「吾郎としては見事に裏切られるわけですが、いろんな出来事を通し、吾郎は表向きは楽しそうにしているけれど、内心ではめちゃくちゃ悲しいはずなのに、それがおもしろく見えるという場面が多くて。そういう意味でも演じていて、おもしろみがある人物ですね。表現としては深いものが求められるので、台本上に書かれたことを追うだけでなく、描かれているものの背景をよく考え、演じることが大事だと思っています」
- ――もし、中本さんが吾郎のような男性に何か言うとすれば?
- 「許されるなら、仕事なんか辞めて1日中、川遊びをしていたい・・・。だから吾郎には『一緒に川で遊ぼうよ』って言うかな(笑)」
- ――吾郎世代の男性は中本さんのように遊ぶことを楽しめますか?
- 「遊ぶこと、楽しむことって、それがその人なりのライフスタイルになっていかないと、味わいにくいものですよね。例えば定年退職を迎え何か始めようとして、いきなり未知の世界に飛び込むのは、どうかと思いますネ。たとえば、これまで履きなれた革靴から、お気に入りの「運動靴」に履き替えるだけで始まりが生まれたりするものです。一生懸命にならない無理しない、これ意外と大切ですよ」
- ――「プラチナエイジ」という作品についての感想をお聞かせください。
- 「テーマが新鮮ですね。60代ってドラマでなかなか主役にならなかった世代だと思うんです。団塊の次の世代。比較的スポットを浴びにくい世代ですが、上と下に挟まれてみると、意外なほどこの世代だからこその魅力なんかを感じますねぇ。ん~、共演者がみんな素敵だからなぁ(笑)」
- ――確かに吾郎は鎌倉に引っ越したことで、新たな出会いやさまざまな苦労をすることで人生を模索します。そういう意味でも人はいくつになっても、“自分探し”をするものでしょうか?
- 「新たな自分との出会いはいつまでも続きますよ。外に刺激を求めるのでなく、自分の内側から刺激を作れる年齢になると、それはより一層かも知れませんネ。『探す』のでなく、意外な自分に『出会う』だと思います」
- ――では中本さんは60代が楽しみですか?
- 「楽しみですね。僕は楽しく過ごすには3つの要素が必要だと思っているんです。それは“GHK”。すなわち元気G、暇H、好奇心K。この3つがあると、やがて“わんぱく質”が醸造されてくる(笑)。楽しむ気持ちがあれば、年齢に関係なく『半ズボン』姿でいられると思いますヨ」
- ――改めて本作は60代の夢と冒険の物語です。中本さんが新たなにチャレンジしてみたいことは?
- 「子供たちがいっぱい集まる場所を作りたいですね。たとえば自然塾のような、子供たちに遊びを教えてあげる施設。ん?ちょと『孫欲しさ』が入っているのかな・・・。若いころには思いつかなかったかも知れない。そんなコト(笑)」