父の背中追って…居酒屋の3代目が受け継いだ“揚げおにぎりカレー”が日本一に 名物メニューで店を未来へ
愛知県豊橋市の居酒屋、「飛騨路」は3代目が尊敬する父の背中を追って継いだお店です。2024年、カレーの全国大会で日本一に輝きました。斬新な組み合わせのカレーは看板商品ですが、ほかにもある人気メニューが毎日、お客さんを呼び寄せます。
■客も絶賛…日本一の「揚げおにぎりカレー」
「飛騨牛揚げおにぎりチーズカレー」。2024年5月に行われた全国ご当地カレーグランプリ、「よこすかカレーフェスティバル」で日本一に選ばれたカレーです。
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このカレーは、豊橋市札木町の「飛騨路(ひだじ)」のメニューです。
素揚げしたおにぎりにチーズをかけ、さらにその上から飛騨牛カレーをかけています。飛騨路はカレー専門店ではなく、居酒屋です。
店の3代目、馬飼野亮太(まかいの・りょうた)さんは「飛騨牛のコクや脂のうまみと、揚げおにぎりというほかにはない食感が優勝の勝因だと思う」と話します。
男性客:
「カリカリ感とチーズのとろみがマッチしている」
女性客:
「食感が不思議で、パリパリしているのが珍しいなって」
別の女性客:
「すごく深みがあるカレーなのでクセになるというか」
別の男性客:
「やみつきになる」
馬飼野さんが働き始めた5年前から、ランチ営業を始めたといいます。
カレーに使う肉は、最高級A5ランクの飛騨牛のバラ肉です。
飛騨路の3代目店主 馬飼野亮太さん:
「カレーにしてもうまみとか甘さが全然違う」
この肉を、型崩れしないように表面だけを焼いて、うまみを閉じ込めます。
馬飼野さん:
「僕も高い肉を煮込み料理(カレー)にするのはもったいないと思っていたんです、絶対そのまま食べたほうがおいしいと思っていて、正直原価の問題もあったのでいろんなお肉を試したんですけど、やっぱり全然違って。おいしいものは高いんだなと」
約6キロの飛騨牛を焼いた後、炒めた玉ねぎで甘さ、バターで炒めたニンニクやショウガで香りをつけます。
水や香辛料などを入れて、1日煮た後、2種類のルーを入れて再び煮ます。
馬飼野さん:
「スパイスカレーとかに比べたらだいぶシンプルなカレーだと思います。僕らは煮込む時間が長い、弱火で1日8時間くらいかけて4日間煮込むので、それだけ時間をかけて煮込むだけの奥深さは出ているかなとは思う」
女性客:
「飛騨路のカレーはおすすめですよね。結構煮込んであってコクがあっておいしい」
男性客:
「牛肉が溶け込んだコクのあるカレーだなと思います」
別の男性客:
「辛いのは苦手なんですけど、ちょうどいい辛さで食べやすい。ルーにしても時間をかけて作っているのがわかりますね」
■日本一は父の技術と息子のアイデアの賜物
このカレーは馬飼野さんの父で、2代目の直樹さんが考案したもので、30年程前からあるといいます。
馬飼野さんの父 2代目の直樹さん:
「まかないで作ったカレーをお客さんに出したら『これうまいやん!』となって、『これメニューにしたら?』と始まって。そのあと、揚げおにぎりの上にカレーかけたのは息子」
亮太さん:
「(幼いころ)食べた料理の中でも、カレーが人生で一番おいしいとその時思ったんですよ。こんなにおいしいものがあるんだって」
その経験が元となり、亮太さんは自分が店を継いだ時に、このカレーを看板商品にして提供したかったといいます。
男性客:
「すごいカリカリしとって、チーズはトロトロだもんで、うまいんだよ」
女性客:
「ご飯がカリカリで、それがカレーと合っておいしい」
別の男性客:
「ここでしか見たことがない『揚げおにぎりチーズカレー』。揚げおにぎりだけでもおいしいし、チーズってみんな大好きでしょ。カレーは喜んで食べちゃう。だから組み合わせがうまいなと思う」
馬飼野さん:
「どこにでもあるようでないような味というか、もっといろいろな方々にこの味を知ってもらえるような。(飛騨路を)豊橋で一番の店にしたいと思っています」
元々、お店の隠れ名物でもあった「揚げおにぎり」にチーズ、その上にじっくり煮込んだ飛騨牛カレー。
父の技術と息子のアイデアで2024年、日本一になりました。
■実は一番人気は親子丼?
そして、名物はカレーだけではありません。「親子丼」も人気です。
男性客:
「卵かけご飯のような感じもありつつ、ダシがきいていておいしい」
親子丼は亮太さんが考案したメニューで、鶏ガラベースの濃いダシを使っていて、卵は半熟です。そして濃厚な味わいが特徴の卵黄を乗せて、コクとうまみを足しています。
馬飼野さん:
「シズル感というか、ツヤ感もめちゃくちゃいいし、結構一番人気くらいな人気あるメニューです」
5年前、3代目を任された時にこの親子丼を考案しました。
馬飼野さん:
「元々は飛騨牛カレー専門店としてランチをやっていたんですけど、毎日カレーを食べにくる人は少なくて、僕らは地元に愛される店づくりをしたいなと思っていたので、毎日お客さんが来たくなるためには、定食が必要かなと考えたメニューです」
今では2代目が考案した「国産牛スジ定食(税込940円)」や「唐揚げ定食(税込890円)」など、新旧を合わせたラインナップになっています。
■卒業文集に「父の背を追う」…祖母が始めた店を次の世代へ
馬飼野さん:
「小さい頃から、飛騨路を継ぐのが夢だった。小学生の頃、卒業文集で『父の背を追う』というのを書いていたので。継ぎたかったというか尊敬していたので。居酒屋であそこまで手をかけて作っているのはなかなかないですし、お客さんから愛されている父の姿を見て『そういう人になりたいな』って思ったのが一番大きかったのかなと思います」
父親の直樹さん:
「(店を継ぐので)いいの?という感じだった、大丈夫?って」
50年ほど前、亮太さんの祖母、五子(いつこ)さんがこの場所で居酒屋「田舎」を創業
したのがこのお店の始まりでした。
その後、直樹さんが店の業態は変えず店名を「飛騨路」とし、5年前、3代目として亮太さんに引き継がれました。
ところがその直後、新型コロナが蔓延し、夜の営業ができない日が続きました。
馬飼野さん:
「このまま終わっちゃうのかな、もう駄目なのかなというのは正直思っていました」
飛騨路を終わらせないため、馬飼野さんが始めたのがSNSで愛知のグルメを紹介することです。
馬飼野さん:
「『愛知グルメ探検隊』っていうアカウントで、いろんな愛知のグルメを1本の動画にして、紹介しています。コロナが流行りだして、時間はある状況だったので、何かやらなければというのが一番大きかったですね」
コロナ禍で始めたSNS。県内にある飲食店の料理やスイーツを毎日配信しています。
馬飼野さん:
「一番は、グルメを発信しながら自分のお店にいつか来てもらえるかなというのがあったんですけど、料理の見せ方だとか、全体的としてこういう雰囲気だからお客さんが入っているのかなというのは今になって一番大きかったかなと思います」
お店を存続させたいという考えで始めたSNSはフォロワー数21万8千人となり、インフルエンサーに。
馬飼野さん:
「飛騨路をどういった形でも残っていくようには、自分の代で途絶えさせたくはないという思いはあります」
2024年8月19日放送