「私のキャリアの中で、ゴールを決められて嬉しかったのは初めてだ」
29日に行われた、復興支援チャリティマッチ『日本代表vsJリーグ選抜』
の試合でJリーグ選抜の三浦知良選手(44)のゴールについて語った
日本代表・ザッケローニ監督の一言です。
いいこと言うなぁ...と感動しました。
あの試合の持っていた意味を端的に表した一言でした。
実は私も、初めての感情でこの試合を観ていました。
具体的に言えば、初めて日本代表の対戦相手を応援していたのです。
監督が名古屋のストイコビッチ監督、楢崎選手がゴールを守り、
闘莉王選手が気持ちのこもった守備を見せる...
...普段取材している選手達が多くいる黄色いユニフォームに肩入れしてしまいました。
そして、もう一人。
小笠原満男選手の存在です。
同郷、岩手の出身です。
入場前からカメラが小笠原選手を捉えるたびに、彼の目は真っ赤でした。
入場する時に着ていた『がんばろうニッポン』と
染め抜かれた揃いのシャツには
『東北人魂』とメッセージが書かれていました。
かつてサッカー中継の取材で鹿島アントラーズの練習場へ行った時のこと。
当時最強だったアントラーズ、小笠原選手はバリバリの中心選手でした。
話を聞こうと、練習終わりの小笠原選手のところへ行き取材開始...
私の質問が稚拙だったこともあって、会話が弾みません。
「やってみないと分かりません。」「別にそうは思いません。」
小笠原選手は表情を変えず、淡々と答えます...いやな間が続きました。
焦った私は、ついに、禁断のカードを切ってしまいました。
「実は、私も岩手出身なんです!」
その瞬間、小笠原選手の表情に変化が現れました。
「へぇ、そうなんですか。どこですか?」とニヤリ。
「北上なんですけど!」と私はニッコリ。
「大船渡高校時代から注目してまいたよ!」とたたみかけました!!
よし!心通じた!!
勘違いでした...。
サッカーの話に戻ったら元の木阿弥...
肝心の取材者としては心が通じ合うことなく取材は終了しました。
放心状態のまま、同僚の大岩選手(元名古屋、現在鹿島コーチ)に取材すると
「彼はシャイだからね。しょうがないっすよ!」と励ましてくれました。
それからも、鹿島で、日本代表で、イタリアのメッシーナに渡った時も、
すっと小笠原選手には注目し、応援していました。
なぜなら、同郷だから...。
その故郷は苦境に立たされています。
被災地に立った小笠原選手はその変わり果てた故郷の姿にショックを受けながらも
フットボールを通じて、力や勇気を与えようとがんばっています。
自分には何が出来るのか...
力や勇気は与えられないかもしれませんが、
『東北人魂』で、出来ることをしっかりやっていきたいとあらためて思うのです。