新型コロナウイルスで、東京では劇場でクラスターが発生するなど連日3桁の感染者が続いていますが、東海地方でも14日、あわせて8人の感染が確認され、少しづつ再び感染が広がっています。
こうした現状のなか、来週から、旅行を支援する「GOTOキャンペーン」が始まろうとしていますが、専門家は「日本中に感染を広げるリスクがある」と警鐘をならしています。
■14日は愛知と岐阜で8人の感染者確認…東海3県で5人以上の感染は4/28以来
14日、岐阜県内では10代から50代の男女3人の新型コロナウイルス感染が確認されました。
このうち岐阜市の10代の女性はJRを利用して名古屋を訪れ、13日に感染が確認された名古屋市の20代の男性と会っていました。
そして、愛知県内では10代から60代の男女5人の感染を確認。
なかでも、愛知県美浜町に住む女子高校生は、味覚障害などがでた後の13日も登校していました。
教育委員会は15日から3日間、女子高校生が通う高校を臨時休校にして、校内の消毒やクラスメイトなどに濃厚接触者がいないか調べています。
東海3県で1日に5人以上の感染者の発表があったのは、緊急事態宣言が出されていた4月28日以来。
感染者が連日100人を超える東京などに比べるとまだ少ないものの、この地方でも少しづつ感染者が増えつつあります。
■愛知と三重で濃厚接触者も…東京・新宿で発生した「劇場クラスター」
そんな中、懸念されているのが、東京・新宿の「劇場クラスター」です。東京・新宿区の劇場で上演された舞台「THE★JINRO」。
これまでに俳優の山本裕典さんや、舞台の原案を担当した有村昆さんの感染が判明。観客も含め、この劇場クラスターの感染者は全国で50人近くにのぼり、そのなかには、名古屋市の60代の女性も含まれていました。
さらに公演に訪れた全ての観客およそ800人が濃厚接触者とされていて、これまでに分かっているだけで愛知県内でのべ41人、三重県でも1人の濃厚接触者が確認されています。
■街では不安,専門家も「地域限定で」と指摘…22日開始の「GoTo」に否定的意見相次ぐ
この地方への感染拡大も懸念される劇場クラスター。さらなる感染拡大が懸念されるのが、22日から始まる予定の「GoToキャンペーン」です。
新型コロナで打撃を受けた観光業を支援するため、旅行代金の半分を支援するキャンペーンですが、街の人は…。
20代の女性:
「経済が潤うとなるなら、お金の面ではとてもいいことだと思いますし、でもコロナを第一に考えるなら怖いですね。どっちと言えないです、難しくて」
20代の男子学生:
「いや早いでしょう。東京も1日で100人超の感染者が出ているから、絶対にコロナの第2波とかくると思うし、集団感染、クラスターが結構目立っているので、そういった面で考えるとまだGoToキャンペーンの時期ではないかなと正直思う」
70代の男性:
「こっちから東京に行く人とか、出入りはちょっとでも止めてほしいね、当分ね」
首都圏で感染が拡大する中、県をまたぐ移動が増えると感染が広がるのではと、不安の声が聞かれました。
赤羽国土交通大臣は、「宿泊事業者などに感染対策の実施を義務づける」として、キャンペーンは対策を講じたうえで予定通り行う方針ですが、専門家は…。
国立病院機構「三重病院」の谷口臨床研究部長:
「(GOTOキャンペーンは)今、日本中に広げるリスクは高いと思います。感染症対策の面から見ると、いいタイミングではありません。いきなり日本中というよりは、やはり段階的にやっていく方が安全ではないかなと思います」
「関東地方」や「関西地方」など地域を限定してキャンペーンを行うべきと指摘。そのうえで、私たち自身が「自分もウイルスを持っているつもりで行動すべき」としています。
谷口部長:
「少しでも気になる症状があれば、旅行中であっても人と接触しないようにしていただく。あるいは途中で取りやめていただく。必要であればすぐに受診していただく」