未曾有の被害をもたらした、東日本大震災。
被災地からの中継の為、地震発生の3日後に福島県に入りました。
災害報道における、私たちテレビメディアの役割、それは...
" 被災地の現状を伝え、被災者の声を代弁して、発信すること "
しかし、それは同時に、被災地での取材活動を伴うことになります。
避難生活で疲労や苛立ちが募る被災者に話を聞かなければなりません。
辛い胸の内を聞くこともあります。
加えて、福島では原子力発電所の事故が暗い影を落としています。
被災者が抱える痛いほどの不安を肌で感じました。
異常な状況ともいえる中で、取材を受ける側はどんな気持ちだろう?
心の中で葛藤を繰り返しながら、取材を続けました。
「情報が入ってこない、どうなっているのか?」
憤る声。
必要な情報が、必要とする場所に届いていませんでした。
「放射線は大丈夫なの?」
不安な声。
見えない放射線の恐怖が、不安を増幅します。
「もう、家には帰れないかもしれない...」
失意の声。
先を見通せない避難生活が、力を奪い去っていきます。
そして...
「病人の受け入れ先がない、困っている、この状況を取材してほしい。」
「避難所では下着が無い、なんとか伝えてもらえないか?」
「食料品を提供しようにも、燃料不足でトラックが動かせない。」
「原発の風評で、物流が滞っているのではないか?」
窮状を訴える声。
被災地では、様々な声を耳にします。
どれも、懸命に歩もうとする、被災地の人々の声です。
その声が、届くべき所に届かない。
私たちがすべきこと、それは...
被災地の声に耳をすまし、その声を聞き、
ともに手を携えて歩むことだと思います。