家電アナウンサーはみた!

 自称、家電アナウンサーであるエレキー考平は、名古屋の家電量販店にいた。市場調査をかねた店舗内散策は、彼にとって至福のひと時なのだ。買い物客で賑わう販売フロアーは、いつもの週末と変わらぬ光景に見えた。しかし、彼は時間をかけずして、売り場の異変に気付くことになる。

「おや、いつもと違うぞ?」


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 そう、彼の眼に飛び込んできたのは "節電生活を始めよう" の文字。そして、その看板の下には、扇風機の売り場が設けられていたのだ!しかも、エスカレーターを降りた、そのすぐ側に。エスカレーターの近く...そこは家電の中でもエリートしか陳列されることを許されないスペース。そこに、扇風機が並んでいたのだ。エリートであるエアコンの低価格化に伴い、こともあろうに"逆風"にさらされていた、あの扇風機が...である。
「明治のころから、日本の夏を過ごしやすくしようと頑張ってきたお前さんだ。この夏は、周りを見返してやんな。」
 心の中でそっと語りかけたエレキー考平の胸に、さわやかな風が吹きこんでいた。(終)