来週、ついに最終話(12/29)を迎える「花嫁のれん」。最終週の見どころを羽田さんと野際さんに伺いました。
羽田美智子さん
「撮影が始まってすぐ思ったんですけど、『かぐらや』の伝統、志乃さんが培ってきたものから来る“伝統”、それにそんな志乃さんを演じる野際さんご自身の“伝統”。長く続いてきたものや、長く愛されるものには何事にも伝統というものがあるんですよね。私はこの作品と出会い、40代になった今、自分がそんな伝統を受け継いでいけるのかどうかの岐路に立っていると思っています。20代、30代は“何事も経験”でやってきて、40代はそれまで経験したことに満足して物事にあたっていくのか、それともさらに上を目指して頑張るのか。まさにその別れ目だと思うんです。奈緒子は伝統ある旅館で挑戦することを選びましたが、人が“本物”になるには、そして40代から人間を磨いていくには、そんな覚悟が必要だと思っています。私自身も奈緒子が志乃さんに感じているように、野際さんの後姿から、たくさんのことを勉強させていただきました。それは奈緒子が志乃さんを見ているのか、私が野際さん見ているのか、また奈緒子が志乃さんから学んでいるのか、私が野際さんから学んでいるのか…ときどき分らなくなるくらい。ここまで奈緒子は『かぐらや』でいろんな努力をしてきましたが、最終週で選ぶものは何なのか、ぜひご覧ください」
野際陽子さん
「物語が進むにつれ、志乃の大女将としての一面だけでなく、母親としての面、祖母としての面、妻としての面と、さまざまな角度から“人間・志乃”にスポットが当てられてきました。終盤にかけ、まず志乃自身に問題が起こりましたが、今度は志乃を支えた辰夫さんに問題が起こってしまいました。そんな夫を懸命に支える志乃の姿に、私はこういう年齢の夫婦の理想を見てもらえると思っています。最終週で志乃は、辰夫さんのことを思い、旅館をこのまま営業するべきか、それとも閉めるべきか、ということを考えざるを得なくなります。本当に最後の最後までいろんなことが起きますので、楽しみにしていてください。私は撮影に入る前、志乃と息子の宗佑との関係も気になっていたんですが、志乃を演じて、彼女は宗佑に対し、自責の念があるのかな、と思っています。志乃は宗佑が生まれてすぐ女将になったと思うので、きっと子育ては自分一人でなく、いろんな人の力を借りて、やってきたのではないでしょうか。だから宗佑が優柔不断というか、甘ちゃんというか、ぼんぼんに育ってしまったのは、自分の責任だと。とりあえず宗佑は東京に戻りましたが、私は根本的にはこの親子の問題は解決していないと思っています。最終話までにこの親子の関係が変化するのか、しないのか、そのあたりもご覧いただきたいですね」