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仲居対談

「かぐらや」にとって、とても大切な存在で、ドラマを大いに盛り上げてくれた3人の仲居、知子役・棟里佳さん、弘美役・鈴木美恵さん、和代役・宮田真帆さんに、クランクアップ直前、いろいろと語ってもらいました。対談は、「『花嫁のれん』のことは、この“美人3姉妹”に何でも聞いてください(笑)」という棟さんの言葉で始まりました。

――皆さんは旅館物のドラマってこれまでも出演経験があったんでしょうか?
「2時間の単発ものではありました」
鈴木
「やったことはありましたけど、こんな伝統と格式のある旅館が舞台の作品は初めてですね」
宮田
「私はまったく初めての経験でした」
「この現場はすごく居心地が良かったよね。キャストが本当に良い人ばっかりなんですよ。私、本当に終わりたくない。この気持ちをずっと引きずっちゃったらどうしよう?」
宮田
「クランクインしたとき、私はお二人に比べ、全然経験がないから、『うわ~、どうしよう、どうしよう』とてんぱっていたんです。それを助けていただいたんです、鈴木さんと棟さん…」
「棟さん!?」
宮田
「いえ、里佳ちゃんです(笑)。鈴木さんと里佳ちゃんに」
「私たち、年齢は20代、30代、40代を飛び越えて50代ですけど(笑)、立場は一緒なので、上下関係なく話し合える仲になろうと言って、私のことも“里佳ちゃん”って呼んでもらっているんです」
――宮田さんは最初、かえって緊張したんじゃないですか?
宮田
「正直(笑)。でも本当にお二人には助けていただきました」
鈴木
「これだけいっつも一緒にいて、いろんな話を共演者の人としたこと、私もなかったんですけど、本当に楽しかったし、うれしかった」
「自分で言うのも何ですけど、私たち一瞬で信頼と愛情が芽生えたよね。本当の姉妹のように。この場を借りてお礼を言わせて。本当にありがとう」
鈴木・宮田
「自分で言うのも何ですけど、私たち一瞬で信頼と愛情が芽生えたよね。本当の姉妹のように。この場を借りてお礼を言わせて。本当にありがとう」
――これで対談が終わってしまいそうな雰囲気ですけど(笑)、ご自身の役を皆さんはどう演じたんでしょうか。
「美恵ちゃんはもうこの雰囲気からして、『何でも任せなさい!』っていうキャラクターになることは想像できたし、真帆ちゃんもピチピチで可愛いキャラでくるのは分ったんです。その二人に挟まれた知子ってどういうポジションでいるべきか現場に入るまで読めなくて、最初は頼れるアネゴっぽい感じで演じたんです。ところが…(と鈴木さんを見る)」
鈴木
「え、私ですか!?」
「美恵ちゃんがいると、どうしても頼りたくなっちゃうんですよ! それで監督に相談したら、『いつくになっても“女”の部分を捨てられないカマトトキャラでどう?』と提案していただきまして。そこからひとつ一つのしぐさに女性らしさが出るよう心がけ、歩いているときもちょっと腰をひねったりして(笑)」
宮田
「女性が見ていても、そういうしぐさはキュンときました」
「ホント!? もともとない色気をこれでもかっていうくらい絞った甲斐があったかな」 鈴木「私は勝手に弘美って実は訳ありの女性じゃないか、と思ってたんですよ。忘れたい過去があって、それを捨てるためフラッと金沢に来て、たまたま『かぐらや』の求人広告を見つけ、雇ってもらったのかな、と。面接のとき、大女将が何も言わなくても弘美の抱えてくれるものを察してくれて、そんな大女将について行きます! という気持ちで働いている、という設定を作ってました。だから普通に子供がいて、お母さんっぽい一面が出たときは『え、弘美って結婚しているの!?』って思っちゃいました(笑)」
――鈴木さんはコメディー調の演技が得意かな、と思うんですが。
鈴木
「とんでもない! 私は自分の演技をモニターで見るたび、『私ってまだまだなー』って思ってました。こういう作品って、ナチュラルだけど、なぜか視聴者の皆さんがクスッとしてしまうような演技こそ、必要だと思うんです。私はつい『何ですって!?』とオーバーリアクションをしちゃうんですよ!」
宮田
「そんなことないです。鈴木さんの演技ってとても楽しいから、一緒のシーンは『今度はどんな風に演じてくれるのかな』とワクワクしてました」
――宮田さんは和代をどんな風に演じようと?
宮田
「和代は現代っ子ですよね。お仕事はきちんと出来るんですけど、うまい具合に知子さん、弘美さんに甘えていて。大女将や奈緒子さん、それに照子さんや知子さん、弘美さんにも『ついて行きます!』という気持ちでいるんだけど、何か問題があると『私は関係ありません』っていう顔をしちゃう(笑)」
「で、和代はイケメンに弱いんだよね」
宮田
「実は私も和代って辛い過去の持ち主という設定を作ってたんです」
鈴木
「私と一緒だ(笑)」
宮田
「現実から逃げ出したくなるような出来事の経験の持ち主で、だから妄想癖があるのかな、と。イケメンを見てはしゃぐのは、別に本気で騒いでいるのでなく、素敵な男性が現れると、自分を主人公にして物語を作れるぐらい想像力がたくましいっていうことで(笑)」
――皆さん、役作りが深いですね。
「この3人でドラマのこととか、シーンのこととかいっぱい話し合ったよね」
鈴木
「もちろん、これまでもどの作品でも良いシーンを作るためにキャストの皆さんといろいろ話し合ってきましたけど、こんな深く話が出来るのって、そうないことだと思います」
宮田
「私は勉強になることだらけでした。その分、撮影のたび、自分の出来なさが歯がゆかったですけど」
「思うんだけど、この現場にはいっぱい“愛”があふれていたでしょ」
鈴木
「それは目には見ないものだけど、とても大切なものですよね。皆が同じ目標に向って、すぐに結束ができて」
宮田
「私、最初のリハーサルの日、緊張でガチガチだったんです。でも皆さんが優しくて。『もしかしたら私、ものすごく素敵な現場に出合えたのかも』とそのとき思えたんです」
「どうしよう、こんな話をしてたら、クランクアップするのがどうしても嫌になってきちゃった」
――突然ですが宮田さんに“無茶ぶり”をお願いします。棟さん、鈴木さんのちょっと変な一面を暴露していただけますか?
宮田
「えー! そういうの本当に困るんですけど…」
「どうぞ、どうぞ、遠慮なく(笑)」
宮田
「えーと、里佳ちゃんは、変じゃなくて、すごく素敵な面になっちゃんですけど、とても“乙女”なんですよ。持ってらっしゃるグッズが可愛いものばかりなんです。スリッパがウサギちゃんだったり、携帯のストラップがキラキラしていて、ファーがついていたり。いつも『それ、どこで買ったんですか!』って聞いてました」
鈴木
「私が持っても似合わないものばっかりだったね(笑)」
宮田
「鈴木さんは…。あのですね…。お腹いっぱいと言いながら…」
鈴木
「あははは。食堂ででしょ。いつも残さず食べてたって言いたいんでしょ(笑)」
宮田
「(小さい声で)ハイ」
鈴木
「このスタジオ(緑山スタジオ)は食堂の食事がおいしいんですよ」
――食べ物といえば、スタジオ前にはいつもいろいろと美味しそうな差し入れがありましたよね。
「撮影が終わったら、心を入れ替えて運動します」
鈴木
「撮影が終わって家に帰るじゃないですか。無意識にチョコとか探しているんです。それで、マズイ、マズイと(笑)」
――撮影はついに終わってしまいますが。
「すごく不思議なんですけど、これで終りって気がしないんですよ。あまりに現場の居心地が良くて、私はずっと前から『かぐらや』で働いていたような気がしていて。たまたまこの2カ月間、私たちが働いている姿がテレビで放送されただけで、これからも『かぐらや』での日常が続くような気がしているんです」
鈴木
「私の中に『かぐらや』のおもてなしの精神がしっかり根付いたと思ってます。それはすごく素敵なものなので、これからも心の芯に持ち続けたいですね」
宮田
「仲居部屋で皆さんとわいわいがやがや話しているとあっという間に時間が過ぎて、ゲラゲラ笑ってばかりでしたよね。私は女優としてまだまだ未熟なので、充実感とか達成感は感じられていないので、ぜひパート2をお願いします」
鈴木
「ついにその言葉が出たな!」
――共演者の皆さんはいかがでした?
「羽田さんも野際さんも、どうしてあんなに良い人なんだろう? 羽田さんとは、彼女がデビューした当時、共演したことがあるんです。そのときもとってもチャーミングで素敵な女優さんだったんですよ。久しぶりにご一緒したけれど、まったく、まったく変わってなかった」
鈴木
「誰もが当然、セリフを言うんですけど、そこに言う人の人柄の良さがにじみ出るんですよね。それでもともと素敵なセリフがもっともっと温かく素敵なものになって」
宮田
「野際さんがいつも現場を盛り上げてくださったんですよね。撮影が長引くと、冗談を言って周りを和ませて。大女優の野際さんが率先してそういうことをやられることがただただすごかったです。羽田さんのチャーミングな表情も素敵で、この現場で私は、たくさん目標となる先輩と出会えたことに感謝しています」
「みんながみんな素敵な現場ってそうないですよ。この3人だってそうです。普通、1+1+1は3じゃないですか。でもこの3人はそれが100にもなるし、千にもなるし、1万にもなるんですよ」
鈴木・宮田
「良いこと言いますね」
鈴木
「さすが、年の功(笑)」
「何!? 何の功って言ったの、今」
――ところでこの3人で唯一棟さんだけが金沢ロケに参加されたんですよね。
「ありがたいことに2回行かせていただきました」
宮田
「パート2で行きたいです!」
鈴木
「私を抜かさないで(笑)。棟さんの次は私でしょ」
宮田
「じゃあ、パート3で私が行って…」
鈴木
「パート4でみんなで行きましょうよ」
「それいい! パート4まで続くよう、これからみんなでプロデューサーさんにお願いに行こう(笑)」