本日の放送で、愛に狂った明美はついに比呂人を巻き込んで、桜の木の下で無理心中をしてしまいました。比呂人にとっては愛する桜子と桜を守るために、明美にとっては比呂人との愛を貫くための死でしたが、まさに壮絶といえるこの場面がどのように撮影されたのか紹介します。
桜子と比呂人の結婚式の後だけに、スタジオでまず目についたのが、女優陣の衣装。ウェディングドレス姿の笛木さんと、ヒョウ柄のドレスを着た中澤さん。衣装から対照的な二人ですが、撮影がハードなのは同じです。桜子は終始、明美に追われ逃げの一手ですが、ともにロングドレスの二人は動きづらさを何とかカバーしつつ、撮影をこなしていきます。ワンシーン撮るたび、肩で大きく息をする笛木さんら。自分の出番でなくても、徳山さんは二人のやりとりを真剣な表情で見つめていました。
キャストのテンションが途切れないよう、いつにもましてスピードを上げて撮影していく星田監督。連日、ハードなシーンの撮影が続く中澤さんには、ワンシーンごとにどんな表情をしてほしいか、分かりやすく説明を。笛木さんにも、遅れてやって来た比呂人を見つけたところで、「これで助かった、と一安心するような表情を見せて」とリクエストしていました。
撮影が進むにつれ、現場はどんどん熱を帯びていきます。ついに比呂人と明美が対峙するところでは、徳山さんに星田監督が「桜子とさくらを何としても守る、という決意を込めて、あえて静かな口調で明美に語りかけて」とのオーダーが。そんな星田監督、ワンカット撮り終えるごとに「今の表情、すごく良かったです」とキャストの皆さんに声をかけていきます。間近で見ていても、監督やスタッフの熱、それにキャストの皆さんの熱が伝わってきます。
この後、悲劇的な無理心中が起こりましたが、比呂人と明美が倒れたところでも星田監督は徹底的なこだわりを見せました。本作で心中が起こるのはこれで3回目。今までとは違った倒れた方にしようと、あれこれ試行錯誤をしたのです。
この心中は桜子、比呂人、明美だけでなく、もう一人の人物にとっても、あまりに大きな出来事になります。愛する父を失うさくらこそその人物ですが、演じる林さんに対して星田監督は時間を見つけては、「ここではこんな表情を見せて。というのは…」「父親の心中を見たことでさくらの人生観は大きく変わるはずだから…」と語りかけます。星田監督の言葉を受け止め、演技に反映させようとする林さんの姿も印象的でした。
こうして無理心中場面の撮影は終了。「さすがにここまでの展開となると怖いよね(笑)」と撮影後、つぶやいていた星田監督でした。